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平隊士の日々 元治元年皐月三

元治元年皐月三  


濱口のことが気になって、早く目が覚めた。
布団をかたずけ掃除して、稽古に行く、
井上組長が、
「おっ、早いな、良いことだ。」
「今日は、総長は来ますかね。」
「多分来ると思うよ。 総長がどうかしたのかね。」
「いえ、少しお伺いしたいことがあるので。」
「そうか、呼んでこようか。」
「大丈夫です。」
「稽古してれば、来るよ。」
稽古をしていたら、山南総長が来た。
「総長、おはようございます。」
「おはよう。」
「総長、すいませんが、一番隊の濱口から、相談を受けませんでしたか?」
「あぁ、一番隊から、変わりたいと聞いたな。」
「昨日から、濱口が居ませんが・・・」
「監察方の話では、濱口が居たあたりに、血だまりがあったそうだ。
もしかしたら、大怪我をして、戻れないのではないかとのことだよ。」
「そうですか。」
「あまり心配しないで、稽古でもしよう。」

稽古が終わり、
朝食、煮豆、竹の子の煮物、いもの甘露煮、すまし汁、かす漬け、ご飯。

本日の隊務割。
午前が南巡察、午後が非番、夜が当直。

十番隊と南巡察。
井上組長に
「昨晩、一番隊が待ち伏せされた場所に行きたいのですが?」
「だめだよ、午後の非番の時にしな、心配なら、僕も一緒にいくから。」
「はい、そうします。」と言い巡察を続ける。

東九条中札辻町で、浪士らしき集団を発見、
井上組長が十番隊が路地を回って後ろに回る時間を稼ぐようにゆっくり歩く。
原田組長が向こう側に見えたところで、誰何する。
加賀藩士と分かり、礼をして、巡察を続け、屯所に戻る。

昼食、きんぴら、天ぷら、いり卵、長芋昆布、味噌汁、ご飯。

昼食後、組長が
「じゃ行くか。」と言うので、一緒に出掛ける。
「総司の話じゃ、大蓮寺の仁王門通りから、
三条の方に追われるように斬りあいになったらしい。
寂光寺の裏の方で隊士達の声が聞こえた。」と言っていた。
「そのあたりの町屋は監察方がしらべているから、
もっと、南の方を調べて見よう。」と組長。
あちらこちらを調べてまわったが、濱口が居た様子はない。
組長が、
「斬られて死んでいたら、番方から連絡があるので、
死んではいない、そのうち戻るから、心配するな。」と言われ、
屯所に戻る。

夕食、芋煮鍋、なめ味噌、生麩のお浸し、漬物、ご飯。

当直なので、いつでも出れる準備をして、稽古。
監察と二番隊が戻ったので、
西岡と少し飲んで寝る。
話題は濱口のこと、もしかしたら脱走したんじゃないか?
いや、大怪我をして町屋で手当を受けているんじゃないか?
など、わからないながら、心配する。

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