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平隊士の日々 元治元年卯月十二

元治元年卯月十二  


やっと、普通に起きれる。
吐き気もなく、熱もないので朝稽古に参加する。
六番隊では、森がまだ寝込んでいる。
朝から井上組長が咳をして、顔色が悪い。
「組長、大丈夫ですか。」
「あぁ、大丈夫だ。稽古をすれば治る、治る。」
打ち込み稽古、井上組長の掛け声が小さい。
大丈夫だろうか。

朝食、白和え、煮浸し、ご飯、味噌汁、漬物。

本日の隊務割。
午前が当直、午後が東巡察、夜が西巡察。

いつでも出れる用意をして、軽く稽古。
どの隊も一人、二人、休んでいる。
食当たりは怖いなぁと思う。
明日は、僕が死番なので、稽古に励む。

昼食、焼きウナギ、いちじく、大根の餡かけ、漬物、味噌汁、ご飯。

一番隊と東巡察に出ようとしたら、
山南総長が声を掛けてきて
「源さんの調子が悪そうだから、俺が代わりに、六番隊を見るよ。」
沖田組長も、
「確かに、源さん顔色悪いから、休みなよ。」
「そうか、そうするか、今日は、山南さんが組長だ、良く働けよ。」
「じゃあ、行くか。」と山南総長を先頭に出かける。

木屋町通りの先斗町あたりで、浪士二人がこちらに歩いてくる。
山南総長が誰何すると、紀州藩士とのこと。
総長が無礼をあやまり、丁寧な対応をする。
「紀州藩は親藩なので、怒らせるとまずいからなぁ。
君たちも、少しは、世界のことを勉強すると良い。」
総長に、
「将軍さまに敵対しているのは、長州藩のほかにどの藩がありますか。」と聞くと
「藩で、敵対しているのは少ないが、今、活発に活動しているのは、
土佐藩や薩摩藩の脱藩浪士かな。」
などと話しながら巡察を続け、屯所に戻る。

夕食、九条ネギのしゃも鍋、梅干し、蒲鉾、漬物、ご飯。
しゃも鍋はまだ苦手だが、食べられるようになってきた。

西巡察、午後と同じように総長と八番隊と出かける。
藤堂組長が総長と同じ北辰一刀流を学んだ仲間なので
巡察より、昔話ばかりしている内に、屯所に戻る。
森が寝ているので、起こさないように、寝る。


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