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平隊士の日々 元治元年卯月二十六

元治元年卯月二十六  


昨夜は、近藤局長と沖田組長、永倉組長、井上組長、
一番隊、二番隊、六番隊の隊士全員で角谷で宴会。
近藤局長も酔っぱらっているようで、
永倉組長に、
「京都の治安の悪さを松平様に訴えているのだが、
なかなか、幕府まで伝わらず、
新選組も怪我人が多数出ているのに、隊士を増やせない。
大きな問題は幕府が実情を理解していない点だ。」と、
沖田組長は、酔っぱらって、厠に行き、廊下で寝ている。
森も酔いつぶれ、一番隊に行った荒木が介抱している。
二番隊へ行った石井が、
「六番隊より東西の巡察が多く、走ることが多く、足が鍛えられた。」
と足を叩いて見せた。
阿部は屯所で留守番、皆、たくさん飲んで酔っ払って戻って寝たので、
井上組長に起こされるまで、寝ていた。

朝食の準備、
ご飯を炊いて、漬物を出して、味噌汁を作り、
昨日のうちに買っておいた、毛馬胡瓜でザクザクを作る。

朝食、毛馬胡瓜のザクザク、漬物、味噌汁、ご飯。

本日の隊務割。
午前は南巡察、午後は当直、夜は東巡察。

土方副長より、当分の間、隊数を減らし、各隊の人数を増やし、対応するとのこと。
一番隊へ行った藤沢が阿部の代わりに、六番隊に戻った。
四番隊と九番隊の半分を各隊に配分し、
松原組長と鈴木組長が二人で一隊を見るようになる。
四番隊は組長二人の少数精鋭部隊かな。
一から三番隊に剣術が巧みな隊士を集中して、
巡察時の浪士の取り逃がしを防ぐようだ。

四番隊と南巡察。
小人数なので、浪士に逃げられないように注意しろと土方副長に言われた。
先頭をぶらりぶらりと歩いていた松原組長が戻ってきて、
「塩小路の高瀬川の橋の向こう側から浪士らしき集団が歩いてくる。
逃げられるとまずいので、いったん下がりるので前にでるな。」
井上組長が六番隊は路地に潜み、
浪士が通り過ぎたら、後ろに回る様に指示をする。
組長に従って、路地に潜む。
朝から、酔っているのか、どこかのなまりでしゃべっている。
組長が小声で、
「薩摩なまりだ、注意しろ。」
何日か前に、原田組長が言っていたことを思い出した。
平隊士は逃がさないことを第一に考え、斬り込みは組長、伍長、死番に任せよう。
死番で僕の前にいる森にはかわいそうだが、仕方がない。
松原組長が浪士に誰何していると、いきなり、きぇーっ、と言う掛け声が聞こえた。
慌てて、浪士の後ろに回り込む。
松原組長と鈴木組長と伍長が浪士と斬りあっている。
井上組長が後ろから、おとなしくしろと言いながら斬り込む。
同時に伍長と死番も斬り込み、浪士二人が斬られたが、
残りの二人がこちらに向かってくる。
夢中で刀を突き出したら、刀をはたき落とされた。
すかさず、藤沢と加藤が斬りつけ、腕を斬られ刀を落とした浪士を捕縛する。
浪士は全員どこかに傷を受け、何とか捕縛できた。
四番隊の伍長中村小三郎が肩を斬られ重傷、森もうでにかすり傷。
松原組長が指を斬られ、軽傷。
鈴木組長の刀は折れてしまった。
示現流の打ち込みの速さは凄い、僕が死番なら、完全に切り殺されていた。
四番隊が怪我人と中村伍長を大八車に乗せ、南部先生の所に行き、手当をする。
六番隊は浪士を連れて、屯所に戻る。

監察方に浪士を引き渡し、
昼食、しゃもの味噌漬け焼き、お茶漬け、漬物、味噌汁。

当直なので、いつでも出れる準備をして、軽く稽古。
森が戻ってきたので、伍長の状態を聞く。
「一か月は隊務に戻れそうもない。
松原組長は、刀のつばで指の傷は大したことはない。」
森はかなり痛そうにしているが、前の時より傷は大きくない。
稽古が良かったのだろう。
森の分の昼食は、取っておいたので、森は嬉し、痛たそうに食べる。

夕食、牡丹鍋、お浸し、梅干し、ご飯。

夜は十番隊と東巡察、
森が休むので、代わりに、五番隊から西岡万助が来た。
いきなりで悪いが、西岡が死番だと言うと、
仕方がないと、少し残念そう。
東巡察は特に問題なく屯所に戻る。
西岡と少し酒を飲み、寝る。


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