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平隊士の日々 文久四年(元治元年)弥生二十九

文久四年(元治元年)弥生二十九  


昨夜は襲撃は無かった。
森を起こして、いつも通り、布団をかたずけ、掃除して、稽古。
昨日は、刀を抜くこともなく、浪士に逃げられてしまった。
やはり、日々の鍛錬が巡察ではものを言うのだろう。
少しは京都の役に立てるようになりたいものだ。
今日は、死番なので、十分稽古をして、飛び込めるようにしよう。

井上組長が森を呼んで、何か話している。
聞いてみたら、良い刀を買ったとほめられたらしい。
なんでも、永倉組長が無理やり四両の刀を二両ちょっとまで負けさせたと、
井上組長は刀が好きだが、そんなに良い刀を持っていないので、
新人について刀屋に行き自分に合う刀を探しているとのこと。

朝食、焼き豆腐の澄まし汁、漬物、ご飯。

本日の隊務割、昼まで当直、午後から二番隊と東巡察。
当直という事なので、いつでも出れるようにして、稽古。
土方副長が浪士役でかかり稽古をする。
副長の浪士役は、
どこから竹刀が飛んでくるかわからないので、避けきれない。
防具の上からでもあたるときつい。
稽古の途中、井上組長が抜ける。

昼食、魚の味噌汁、きんぴら、油揚げの煮物、漬物、ご飯。

今日の賄は十番隊、原田組長は良く知らないが、美味しい。
昼食の後に、井上組長より伊木八郎を紹介される。
午後の巡察に一緒に回るとのこと。
森に伊木を前に入れて巡察するように言う。
嫌そうだったが、
どっちにしろ五日中には死番は来ると言い、納得させる。

東巡察、少し雨、寒い。
井上組長も、永倉組長も、大したことはないとそのまま出かける。
二条城のあたりで本降り、町屋から傘を借りる。
浪士に遭遇することもなく、屯所に戻る。
組長が、傘を集めて、後で返しに行けと言われ、
傘を集め、土間に広げて乾かす。
夕食前に次郎作と返しに行く。

夕食、セリ鍋、魚の煮つけ、きんぴら、漬物、ご飯。
きんぴらは残り物らしい。
森と伊木と新選組の生活について話していたら、
井上組長がお酒をもって現れた。
みんなと地元の話で盛り上がり、結構飲んだ。
気持ちよく寝る。

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