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平隊士の日々 元治元年皐月七

元治元年皐月七   


昨日は飲みすぎて、頭が痛い。
組長に起こされ、朝食の準備。
ご飯を炊くのが多くて手間がかかる。
昨日買った、煮豆を皿に盛り、
前川邸の蔵にある壺から梅干しを出す。

朝食、煮豆、梅干し、ご飯、味噌汁。

本日の隊務割。
午前が南巡察、午後が東巡察、夜が当直。

土方副長が、何かを抱えて、勘定方と戻ってきた。
土方副長が、
「小手と腕、肩当が出来たので、着けてみてくれ。
すでに、防御用の竹は付いている。壊れたら竹は各自で付け直してくれ。
肩あてには、肩のところに鉄の板が入っており、首の後ろでつながっている。
前側には皮がひも状になっており、結んで使う。
肩のところにも腕あてを結べるように、三本ひも状になっていて、
腕あてを結ぶ、腕あてから、小手にもひもで結んで着ける。
一人では付けられないので、皆で協力して着けてくれ。」
言われた通り、着けて見ると、
肩から、腕、小手まで皮と竹と鉄で防護されているので、安心感がある。
土方副長が、
「ハチガネはまだできていないので、もう少し待ってくれ。」
と言われ、そのまま、
二番隊と南巡察。
永倉組長が井上組長に、
「歳さんの防具で、平隊士の怪我が少なくなれば良いがな。」
「一対一の斬り合いでは、役に立たないだろうが、
逃げ腰の浪士の打ち込み程度なら、十分役に立つし、
隊士の怪我の多くが肩と小手の傷だから、隊士の安心感が違うだろう。」
「まぁ、竹で軽いから、走れるしな。」
と永倉組長が言いながら歩いていると、
七条通りの東堺町の方に、浪士らしい集団が見える。
井上組長が合図をしたので、六番隊は組長の後を追いかけて路地に走る。
浪士の集団の後ろに出たところで、刀を抜いて、息を整える。
永倉組長が誰何すると、いきなり、刀を抜いて、斬りかかってきた。
こちらに浪士三人が向かってきた。
隣の、村上万次郎と隙間を作らないように、少し前後に並ぶ。
一人目は竹内伍長が斬りつけ、西岡が捕縛し、
二人目は死番の加藤が斬りつけ、阿部が捕縛、
三人目は僕が斬りつけ、村上が捕縛した。
僕の腕に刀が当たったが、防具のおかげで、怪我はない。
残り三人も二番隊が捕縛したので、番所に連絡して、屯所に戻る。

昼食、しゃもとネギの煮つけ、お茶漬け、漬物、味噌汁。

三番隊と東巡察。
防具があると、怪我の心配が少なくなるので、
最初の斬り合いに踏み込みやすい。
下丸屋町の材木問屋に浪士らしき人物が入ってくのを、
斎藤組長が見つけ、井上組長の合図で、六番隊は走って裏手に回る。
なかなか、何も起きないので、井上組長が中に入って行くと、
入口のところで、斎藤組長が浪士と話をしている。
なんでも、屋敷の修理を依頼に来た紀州藩士とのこと。
この防具は簡易的な鎧なんだろうと思う。
走れるのが良い。
巡察を続けて、屯所に戻る。

夕食、牡丹鍋、お浸し、梅干し、ご飯。

当直なので、いつでも出れる準備をして、稽古。
監察方と一番隊が戻ったので、今日の当直は終了。
加藤と今日の防具について、話している内に眠くなり、寝る。

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