いくつ諦めていくのだろう…by Umeko

以前、 
友達のうめこについて書いたことがある。 

うめこをざっくり説明すると、面倒くさい女だ。 

モデル張りの肢体とアイドル並みの顔を持つ、それなのになぜ彼氏が続かないと悩んでは、相談してきた。  

それは、お前の性格に問題があるからだろうとは思ったが、良い友達の自分は言わないで、だまって酒を飲みかわす。 奢るだけの財力はあるうめこ。  

ソープに売る予定をしていた女子高生に逃げられ、組の金にも手を付けちまい、金に困って、最後の頼みの綱、うめこに電話をする。  

「広島に仕事で行くから会えませんか」 

いつもの様に馬鹿丁寧に電話をかけて見ると、いつもの様に上から目線で返事が来る。 

「近所に来たら連絡して、出ていくから。でも、短時間しか時間はとれないわよ、忙しいから。」 

畜生、こんな奴に金を用意させるのか。 めんどくせーなぁ、おい。 

軽く互いの近況を話し 
いつもと変わらなかった、そこまでは 

「じゃね! ばいばい」なんて別れ際 
「付き合おう」 と冗談ぽく言う。 

まさかの言葉が返ってきた。 

ひと呼吸置いて 「ごめんね」と謝った  

相変わらず、めんどくさそうな思考を繰り返しているのだろう。  

目つきが定まっていない。  

ちっ、こいつぐらいしか金を持っているやつがいない。  

たぶん、一呼吸する間に、 

自分が自分を幸せにするために 
この人は必要なのか、考えた 
に違いない。  

なにか、めんどくさそうな結論を出したようだ。  

くそ、これじゃ、指をつめるしかないのか。  

広島に逃げても、数日で捕まる、どうする。 自分。 

外から、まばらにセミの声がする 
遅れて羽化したセミが鳴く 

見たくない 兄貴の顔 を覗き、小指 を拾い、俺 は泣いた 

手に入らないものを、いくつ諦めていくのだろう 


うめこから、20万借りられたら何とか小指はつながっていたのに。 






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?