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WGP2023攻略連載を終えて

WGP2023という機会に、これまでの参戦タイトルを振り返る連載を無事完走する事が出来ました

このような取り組みをしようと思ったのには理由があります

完全に個人の感想ですので、暇な方はお付き合い頂けると幸いです


執筆に至った経緯

無印WSを長くプレイしてきた中で感じている事があります

それは「情報の露出が少ない」という事です

この状況に一石を投じる事ができれば…という想いで今回の連載に踏み切りました

これはWSに限らずここ十年前後のTCG、もとい対戦ゲーム全般で珍しくない現象となってしまっているのですが、所謂強豪にカテゴライズされるプレイヤーが、調整チームという閉じたコミュニティを形成し、その中で知り得た情報を秘匿し、独占してしまうのです

Discordサーバー等が一般化してからは、更にこの流れは加速しました

勝つためにやっている事なのでとやかく言える事ではないのですが、こういった活動を続けていると新規、及びカジュアル層のコンテンツ離れが加速する恐れがあると私は思っています

新規層が大型大会に出よう!と思いたった時にやれる事はいくつかあります

・自分のデッキの内容を見直してみる
・プレイの練習、考察をしてみる
・友人にアドバイスを仰ぐ

ただ、これをやる為に絶対に必要な材料があり、それこそが情報なのです

何をやるにしても、まずはゴールを設定しなければ走り出す事はできません

それゆえ、TCGではどんなデッキが強いのか?流行しているのか?という事を知る必要があります

近年のTCGであれば、SNSの発達により流行のデッキリストを探す事は割と簡単で、もちろんWSでもリストの公開は比較的よく行われています

ただ、WSの場合「リストの発見」以降の情報を探すことが極めて困難なのです

小規模な大会で結果を残したよ、その時はこんな事を考えながらプレイしたよ、相手は○○だったよ

他TCGではこの程度の情報を記事にして共有しているプレイヤーは多くいるのですが、WSではそれが極端に少ないように思います

動画投稿などで情報提供してくださる方もちらほら見えますが、WSは何通りも正解があるアドリブ力の要求値が高いゲームなので、試行した内の一回を切り取った動画をみても得られる情報量はごく僅かなんですよね(直感的にわかりやすいのは良いことですが)

またSNSで話題になる内容も、

・新規タイトルに光景がある・ない
・どこかの大会でイカサマがあった
・フロアルールに変更があった

こんな事ばかりで、デッキやプレイの考察というものはほとんど見かける事はありません

15年続いてきたTCGでここまでゲーム面に関しての情報が閉ざされているのは異常だと思います

デッキリストだけ発見できても、使い方がわからない、強みもわからない、採用理由もわからない…

いざ大型大会が始まってみれば、リストさえ情報が露出していない新デッキを調整チームのプレイヤー達が複数人で使用している、なんて事も少なくありません

一握りのプレイヤーのみが情報を共有している状態で大型大会シーズンを走り抜き、シーズン終了後にやっと解説記事が投稿され、目に見える形での情報となるのです

これでは攻略記事ではなく答え合わせ、もとい感想文ですね

当然次のシーズンになれば別の環境へと変遷していくため、この情報をそのまま活用する事はできず、考え方の引き出しを増やす助けになるくらいの価値しかありません

こんな状態で新規プレイヤーが定着するとは到底思えないのです

事実、大型大会に行くと経験年数5~6年ほどのプレイヤーまではルーキーに分類されるほど、同じ顔しかみかけません

新しい顔がいるな、と思ったら高確率でどこかの調整チームのメンツと仲良く話をしています

考え方の引き出しが乏しい新規プレイヤーが情報を得る為に出来る事が強豪プレイヤーと仲良くなる事くらいしかないって、冷静に考えて悲しくなりませんか?

こんな状態を続けていても、キラータイトルさえ参入させられれば一部のコレクター層がパックを大量購入するため、新規プレイヤーは増えないのに売り上げは伸びるという謎の構図が出来上がり、閉鎖的なコミュニティを続けていてもコンテンツが相続している、というのが今のWSの実体だと思います

商品としてのブラウ

前置きが長くなりましたが、ここからはブラウの話となります

ブラウのメインターゲット層というのは、熱心なコレクターとまではいかないけれど、ボードゲームのような対人ゲームが好き、且つオタク女性向けコンテンツも好きな方達であると思っています

そのため参戦タイトルも一枚で数十万円になるような高額カードを血眼になって集めるようなコレクターが多いコンテンツではなく、広く一般的に人気があるコンテンツが多いように感じます※個人の感想です

したがって、顧客一人から集金できる金額は少額になる傾向にあり、アクティブユーザーの絶対数=コンテンツの体力に直結すると考えます

推しキャラで楽しく遊ぼう!というコンセプトを前面に押しだしてはいますが、これにはある危険性が付きまといます

それは、新しいパックが売れなくなる事です

なぜインフレが起きるのか

いつまでも同じカードで遊べる、所謂ボードゲームのような感覚で既存ユーザーが楽しむ事ができるのはWSの魅力の一つ

しかし、商業としては新しい商品が売れなければ、次の商品を企画、展開する事は難しくなります

コンテンツの相続=新パックをリリースする度に売上目標が達成できる、というTCG産業の宿命からは逃れられず、あの手この手で新しい商品を売る努力をする訳ですね

WSをはじめとするキャラクターTCGはキラータイトルを参入させるだけである程度売り上げが担保される為、雑多な国産TCGより売り上げを確保しやすい傾向にあるようです

ここで一つの疑問が生まれます

新弾を出す=別のコンテンツからの参入という図式が成り立つのであれば、その度に新規層が増え続ける事になり、いま頃WSはもっと大きなコンテンツになっているはずですよね?

実際にはコンテンツ人気だけではすぐに飽きて辞めてしまう興味本位の層しか取り込めない為、アクティブユーザーの絶対数というのは中々伸びないものです

結局のところ、アクティブユーザーというのは既存タイトルで遊びつつ、新規タイトルも買ってみる、というユーザーであり、ここにカテゴライズされる方は多少なりともゲーム性に興味を持ってプレイしている層になります

この記事を読んでくださっているあなたのような方ですね

そういったユーザーを飽きさせない為の起爆剤として度々起こるのがインフレであり、ゲームの根幹を維持しつつ、ユーザーの成長に合わせてカードパワーを上昇させていく事で、常に新しい体験を提供してくれるという訳です

強いカードを出せばゲーム性を楽しんでいるプレイヤーは興味を持ちますし、何より勝ち続ける事を目的としているプレイヤーは購入せざるをえなくなります

既存のカードでどうにか戦い抜けないか考えるより、新規の強力なデザイナーズデッキを丸々揃えてインフレの恩恵を受ける方が遥かに簡単に勝利に近づく事ができる為です

こういった層に向けて商品を売り込む為に一番手っ取り早い方法こそがインフレである、という事ですね


メインターゲット層との乖離

Disneyあたりから始まったインフレの速度は凄まじく、WSでは3年以上かけて行われたアップデートが2023前期~WGP2023までの僅か数ヶ月で行われてしまいました

その為、2023前期環境のような「一枚のアドバンテージを取り合う駆け引き」を重視するようなデッキでは到底太刀打ちできなくなり、楽しく遊んでいるだけの既存タイトルでは新規タイトルのカードパワーに圧倒されて手も足も出ない状況になってしまったのです

先日開催された東京会場の様子も外野から観戦させて頂いたのですが、純粋な対戦ゲームとして見た時に環境に適応していなさそうなカードを相当数採用している方(=ファンデッキ)がほとんどでした

実際に入賞したのも最新タイトルのヒプノシスマイクであり、それも無印WSのプレイヤーでしたね

雑多なファンデッキに対して「楽をさせない」寂雷と、「負けの目を潰す」独歩の組み合わせの8枝での入賞は順当であると言えます

これを見てもわかる通り、推しで楽しく遊ぼう!というのは実はTCGにおいて一番高いハードルであり、型落ちしたタイトルで勝つ為には色々と試行錯誤して環境にデッキを適応させ続ける能力が求められます

これを身に付ける為には経験値を積むしかありません

同じデッキで何回も遊んでいると、強み、弱みがわかってきます

また、対戦相手からも得られる情報は多い為、対人戦の試行回数=経験値とここでは定義します

経験値が多いほど考え方の引き出しが増える為、新しいタイトルが参入した際にもカードプール全体を見渡して独自のデッキを組み上げる事が可能になります

この能力が一番大事で、カードプールを見てこんな事するデッキは強いだろうな、と目星をつけられれば、自分の使用タイトルに回答となるカードはないかな?と探す事ができ、自分自身でデッキを改良することが出来るようになります

結果として推しで戦い続ける能力=経験値という図式が成り立つ訳です

ブラウではこの経験値を積む期間を設けず、急激にインフレを加速させてしまったが故、強いデッキに太刀打ちできないどころか、ブラウから始めたユーザーは突然未来からやってきた来たカード群に適応できず、デッキを組み上げる事すらままならないという状況が作り上げられてしまいました

このままこの流れで新弾がリリースされていく限り、近い将来に推しで戦い続けられるプレイヤーは淘汰されていくでしょう

その先に待つのはコンテンツの衰退です


対人戦が成立しない環境もある

新規層をターゲットとしたTCGで1番のネックともいえるのがこれ

都心部でプレイしているユーザーは考えた事も無いかもしれませんが、ショップ大会で集まる人数は2~3人、もっと過酷であれば大会すら開催されないような地域は珍しくありません

そういった対戦相手を渇望しているユーザーのサポートとして公式のDiscordサーバーなどがある訳ですが、やはり対面で意見を交換できる場で得られる経験値というのは計り知れないものがあります

対戦環境に恵まれているユーザーと、オンラインでしか満足にマッチングも成立しないユーザーとでは情報の格差はどうしても生まれてしまいます

オンラインがメインのユーザーが情報を収集する手段はネット検索などがメジャーになると思うのですが、びっくりするくらい情報が出回っていないんですよね

ショップ大会の奮闘記など、状況を細かく振り返りながら結果が記してあるものがあれば、最高の教材となるのですが…

もうほんとうに感想文みたいなレベルのものでもいいんです

別に大型大会で結果を残してなくてもいいので、面白いギミックやデッキを見つけたら拡散してください

そういった情報を求めているプレイヤーもたくさんいるのです


おわりに

今回の連載で紹介したデッキは、Disneyを除き全て私一人で構築、試行、言語化を行っています

実物のカードを持っているのは友人のDisneyと自前のsideM、うたプリくらいで、残りのタイトルはプロキシ(=効果が認識できる代替カード)で補っています

そのため、情報の精度はあまり高くないかもしれません

そんな中でも、何を使ってもWGP2023を勝ち抜けるレベルには仕上げたつもりです

公開が直前になってしまったのは申し訳ありませんでしたが、対面する可能性のあるタイトルの情報だけでも共有できれば…という想いで投稿しました

今後、ブラウ界隈にも筆者のような活動をする方が増え、情報の交換が活性化する事を切に願い、筆を置かせていただきます



ではでは


※おまけ
無印WSで情報の拡散をしてくださっている方は少数ですがもちろんいらっしゃいます

リンクを貼っておきますので、ブラウから始めて、無印もプレイしてみたいなぁ…と興味を持たれた方は覗いてみると勉強になりますよ


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