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マンガのデジタル制作化までの道 その2(脱線アシスタント時代の話)

comicSTUDIOという、漫画ソフトが出たことで業界は

一気にデジタル化したと言える。

いいソフトが出て、待ってましたと言わんばかりに

安い仕事でキュウキュウしていた人たちやパソコンが得意で

好きな人たちが続々とデジタル化していった。

そう、アナログ制作は単純に莫大な経費がかかる。

紙、インク、ペン先、筆ペン、ミリペン、マジック…

画材で一番でかいのがスクリーントーン…

このスクリーントーンという奴は1枚280円~720円という

出している会社で値段も違うし、会社によって柄や効果的な処理が

出来るものなので、そのトーンが欲しければ1枚720円でも

ガンガン買って使うことになる(-_-;)

100P~200Pもの読み捨て作品の仕事をもらってた私には

1作品で10万円~15万円もの経費を出費することとなっていた(-_-;)

私はそれでも少ない方だと思う、中には私の何倍も使う人もいるので。

少女漫画出身なので、さほど貼らずにいる私でさえもそうなので

大量に使う人はさぞかし出費も多いだろう(-_-;)

そして、一番大きな経費となるアシスタント

人気のある先生や仕事量の多い人は何人も使って背景や小物を

描いてもらって、スクリーントーンを貼る作業に何人も雇えるだろうけど

私の原稿料からは、人件費など使ったら稼ぎがなくなるので

できるだけ自分でやるしかないのだ。

幸い、私はアシスタント経験も長く、チーフアシスタントを勤めて

見開き背景みたいな重要な背景も任されてきたし、人物絵と違って

背景には正解があるので、背景は資料さえあれば何でも描ける。

上手いかどうかはさておき、描けることは描ける。

得意かどうかはさておき、描けることは描ける。

ですが、仕上がりを考慮してアシスタント時代に知り合った

プロアシの友人たち数人に

他よりも少し高め設定で支払い、大変そうな…彼らの方が

上手いであろう背景を頼んだりする。

そう、私はお友達価格などというセコイ発想は嫌いだし

むしろ仲がいい友人にはきちんと技術を評価して多く払うし

臨時収入があれば微々たる金額でも還元して、プラスして払う。

そこをケチるようなクズには成り下がれない。

アシスタントを漫画家の奴隷かなにかと勘違いしている作家もいた。

アシスタントというのは技術業であって、

なんでもいう事を聞く奴隷やとりまきでもなければファンでもない。

ましてやご機嫌取りなんかする余裕などないし、あんたの信者でもない。

が、時々これらを期待している作家がいるんだけど、

なんか勘違いしてない?

私自身デビューしてからも年に数本の読み切りだけでは

とても食べていけないので、アシスタントと自分の仕事を平行していた。

アシスタントに行った作家さんは、大御所の連載作家さんから

青年誌、レディコミ・TL,BLと幅広く一日限りの先生もいれば

13年近くお世話になった先生もいる。

自分の仕事で忙しくなってアシスタントに行けなくなってから

10年以上たつが、仕事と仕事の間のわずかな準備期間に

お世話になった先生のところへアシスタントに行くこともある。

かつての仕事仲間や大好きな先生に会いたいから。

私はいい先生に出会えたし、よくしてもらったので

アシスタント業を修行か下積みだとは思っていない。

私を使ってくれた先生たちは、ちゃんと評価してくれて

きちんと払ってくれたし、返せないくらいに

とても良くしてもらってきたので、私が返せる恩は自分が人を

使う立場になった時には、先生たちにしてもらったように

キチンと評価してキチンと対価を支払うのが当然だと思っているのだ。

アシスタントの横つながりや、あちこちにフリーで行く

プロアシスタントをなめている作家は多いようだが、(編集者も)

解かっているのだろうか。彼らはあちこちで、ひどい仕事場の

話をすることになるんだよ?

そして、腕のいい人や技術の高い人ほど、仕事場が選べるので

要注意な作家のところには行かなくなる。

つまりは、技術を得ることがなくなるんだからね。

評判の悪い編集部への仕事もしなくなるし、出版界の情報は

作家なんかよりもアシスタントの方が数人の情報を総合している分

信憑性も高くなる。

実際に、私とは長い付き合いで一緒に旅行に行くほど親しい

プロアシスタントの友人がいるのですが、彼女は有名な先生に

高額な専属契約を結んでもらえるような技術の人なのにも関わらず

ひどい扱いを受けた経験があったりする。

その作家は、連載しているのに、金がない金がないと連呼して、

アシスタントの方からギャラをいらないと言わせていたそう。

(1人が言い出すと全員貰うことが悪いという雰囲気になる)

その作家に共依存している1人を残してアシスタント全員が

一気に辞めたのに本人はチャリティだとか人道支援だとかして

善人気取りしているうえに、アシスタント代を遠慮した子を

「あの子はアシスタント代をいらないというようないい子なのよ」

なんて他の作家に言っているらしい…(言われたほうはドン引き)

個人事業なので基本は何をやっても許されるけど、私はこんな

クズ作家のところには行かずに済んでいるので、驚くばかり。

さんざん働かせておきながら「あなたは使えないからギャラなしで」

なんてことを最後に言い出す奴までいたらしい・・・

(その人はプロアシで、使えなかったはずなど絶対にない事を

私が保証する)

アナログアシスタント時代にはけっこうこういう噂が流れてきて

うっかり悪名の高い先生のところに行くことになると、プロアシ仲間で

「ダメ!絶対に行ったらダメ!いちゃもんつけられてギャラ1000円で

交通費もなく帰されるだけだよ!今から親を重病にさせて、断るの!!」

な~んて場面も頻繁に遭遇する。(本気だからね?)

そのせいで私は変な仕事場とかケチな先生のところに

行かずに済んでるという事もあると思う。

そうか…デジタルでアシスタントとなると、変な先生との遭遇率も

ガクンと減るというメリットもあるわけだ。

ただ、デジタルアシスタント料は価格破壊していて異常に

安くなっていると聞いている(-_-;)

私は人を使うお金がないなら自分でやる!

自分で背景も描くし自分で小物も面倒なものも、面倒がらずに描く!

そのプロ意識を捨てたら、プロである意味も資格もないと思っている。

描けないものがあるなら人を雇わないといけないのだから

借金してでも払うべきだし、お金がないなら自分でやるべき!

デジタル仕上げになってからというもの…そういえばアシスタントは

外注の背景をプロアシの友人たちにお願いするだけになっちゃった。

仕上げは人を頼んでない。全部1人でやっているけど…

もともと人件費が捻出できなくて100ページ超えている作品でも

1人でやってたので、「絶対にアシスタントを雇わないと!」という

意識はないし、徹夜もしないし(できないし)

連載していたり、月産30P超える人は雇う必要あるんだろうけど

私にはそんな余裕がないので1人でやってきたのだ。

つづく

この先もずっと作品を描き続けたいので、どうかサポートお願いいたします!