プペルの感想/西野は今後地域通貨発行しそう/打倒ディズニーの真意とは?

えんとつ町のプペルを映画館で観てきました。中々語り甲斐の作品があるだと思いましたので感想を書きます。

普通に面白い。金ロー向き。

とりあえず観た感想としては普通に面白く観れました。とても金曜ロードショー向き。金曜の夜に家族や仲間とわいわい言いながら観るのに最適なビジュアルとストーリーといった感じです。
ジブリや宮崎駿を引き合いに出すのはちょっと怖いですが、ラピュタやトトロまでの引きの強さはないかもしれないけど、ポニョや風立ちぬよりは楽しく観れると思います。サマーウォーズを除く細田守作品にも勝ってるのでは思います。よかった点としては
・キャラや背景のビジュアルが作り込まててワクワクする
・話が分かりやすくて、映画らしい展開があって満足感がある
といったところでしょうか。

しかし、なんというか芸人、もしくは怪しげなビジネスしている西野というキャラが強いせいで、一部(たぶんサロンメンバー)には過大評価されて、多くの大多数には敬遠されているんじゃないかと予想します。この後も映画を3本ぐらい出せば、ようやくフラットな評価されるんじゃないかと思います。そこまで撮るか知らんけど。


あまり良くなかった所。その夢叶えて誰が喜ぶの?※以降ネタバレあり

「感動して涙が止まらない」「スタンディングオベーションした」等といったメンバーの絶賛コメントが気持ち悪いので、一応ダメ出しも書いておきます。

気になった細かい所をざっと上げると
・挿入歌に統一感がない
・食料生産どうしてる?
・心臓みたいなアレ結局何?
・なんでわざわざ船を気球に?
・劣化ワンピース的な印象
とか色々ありますが、この辺は第一線の監督でも起きたりするので気にしようとしなければ気にならないかと思います。

ひとつ作品の核に近い部分且つ、西野本人にも言えることなんですが

その夢叶えて誰が喜ぶの?

という疑問が沸いてしまいます。
もっと言うとその夢が実現したら結構困る人がいるんでは?ということです。

一応お話の設定を整理すると、えんとつ町は外部と閉ざされた孤立した町で、空は常に煙に覆われている。多くの人は煙の上には何もないと思ってるが、プペルは父親の受け売りで煙の上に星があると信じていて、星を見るのが夢。ついでに親父をほら吹き呼ばわりした一般ピーポーたちを見返したいという想いがある。
そこまでは分かります。

だけど途中でこういう状況(ネタバレ)もプペルは知ります。実は中央国家的なものがあって、かつて通貨発行権的なものを巡ってえんとつ町の創始者と中央が争いになって、中央から隠れるため煙だらけにしてこっそり暮らしている。

その閉ざされた状態で人々は平和に暮らしている様子なので、例えるなら巨人が攻めてこない進撃の巨人状態です。

なのでプペルが外の世界を見たいというのは自己責任でどうぞという感じなのですが、どういうわけか(すみません記憶が曖昧で何故そうなったか思い出せない)煙を爆発で吹き飛ばして住民全員に星を見せようとするのです。

プペルよ。中央国家との経緯聞いてなかったんか?

それやったら中央に見つかって戦争になる可能性もあるんだぞ。

そんなリスクは一切語られることなくプペルは実行します。煙は吹き飛びます。それはそれはキレイな星空でした。夢は叶いました。

…その後どうするんですかね?続編で「中央が攻めてくる!」という展開なら寧ろ面白そうなんですが。

西野は自分の夢として「ディズニーを倒す」と言ってるようですが、何をもって倒すと定義してるんでしょう?それこそ「ディズニー社を倒産させる」ことだったらマジで全世界のファンが阻止しますよ。当然そんなことではないですが。

仮に興行収入でディズニーを越えることが夢なんでしょうか?西野本人とメンバーはそりゃ喜びますよ。それ以外の人は正直どうでもいいですよ。

単刀直入に言うと「夢を語ると馬鹿にされる」とか言ってるようですが、それは本人の個人的なことなので他人からするとどうでもいいこと。或いはその夢が実現すると不利益を被る人が多く発生してしまうという場合だってある。

ありきたりですが多くの人がハッピーになるような夢を語れば、そこまで馬鹿にされずに、そのハッピーにする人の分だけ応援はしてもらえるんじゃないでしょうか?

そもそもクリエイターの本懐として絵本描くんだったら、読んだ人の思い出になればいい。ちょっと人生がよりよくなればいい。そういったことに全集中すべきで、ディズニー超えるとかは後から副次的についてくるもんです。

説教老害みたいなこと書きまくってますが、まとめるとプペルも西野も世間を見返したいみたいな欲だけで、薄っぺらいので共感できません。ということです。

デマ、陰謀論、社会の分断を加速させかねない懸念

ここからは作品そのものというより、取り巻く環境や信者も含め書いていきます。

見出しにあるよう「デマ、陰謀論、社会の分断」は昨今特に注意すべきワードですが、このプペルという映画はこれらを煽って加速させかねない内容になってます。といっても「政府の陰謀」とかそういったお話はよくあるテーマなので別に王道といえば王道なんですが。これが信者的なサロンメンバーと掛け合わせられるとすこぶる相性が悪いんじゃないかと思います。

多少偏見はあるかもしれませんが、信者って感情優先で自分の見たいものを見る傾向があります。ルビッチもブルーノもそういうタイプですね。外の世界があると推測するのはいいんですが、客観的に検証して社会混乱を招かないよう注意すべきです。あれじゃテロリストと変わりません。
昨今の問題も踏まえ、しかも信者が多い西野があんな表現してしまうのは危ういな…と。

鬼滅キッズと揶揄された状況がありましたが、所詮はキッズ。せいぜいネットでイキる程度のかわいいものでしょう。ところがプペルおじさんプペルおばさんが現れたら、マジでシャレにならないことになりそう。

そこはちゃんと自分の影響力を鑑みて、ペンギンハイウェイの主人公のように、未知のものに対し私情をはさまず(といってもやっぱりはさんでしまう)慎重に客観的に調査するような描写をすべきだと思いました。
自分の仮説を常に疑うことの重要性を今の時代の影響力ある立場のある人なら発信すべきです。

と書いてたら既に手遅れの例があったようです…。まあまだ若いみたいなので失敗を糧にしてほしいもんです。


自然減価型電子地域通貨/地域通貨発行/ニシノーランド建国

実はそもそもプペルはテレビかアマプラで観ればいいやと思っていましたが、ポッティアニメのネタにしたくなってきたので少し内容を調べていたんです。そしたらにわかに興味を引く設定が出てきました。

何やら「腐るお金」というものが出てくるらしい…

常々ポスト資本主義について興味を持っていた自分としては「自然減価型電子地域通貨」なのか??と気になりだし、すぐに観たい!と思い映画館に行きました。

結果、映画の中ではとてもさりげなく自然に出てきて、あまり物語の本筋に大きく関わってきませんでした。なのに何故そんな設定出したのか…?真意が気になってちょっと調べたら出てきました。

よもやよもやここまで意図があったとは…!

ちなみに僕は結局「シルビオ・ゲゼル入門―減価する貨幣とは何か」は読んでなくて↓をちらっと読んだ程度です。

たぶん資本主義の構造的問題点を僕と似たように捉え、似たような結論に達していたんでしょう。

これはそのうちプペルマネーを発行してプペル経済圏を作っていく計画マジでありそうです。
その計画の第一歩がこの映画だとしたら実に巧妙に出来ています。絵本や映画はその過程に過ぎません。西野の本当の目的は西野国家、ニシノーランドを創ることだったのです!そこはディズニーランドみたいなアトラクションではなく、独自の通貨が流通し、法律は西野とカジサックが独自に制定し、朝昼晩そこで生活を完結する国民がいます。

これは確かにディズニーを越えますね。

恐ろしい…恐ろしい男やで!!!

追記

この記事にイイねくれた仔虎さんの記事を見てみたら、似たような内容でしたwwwそこまで突飛な推察じゃないということです!こちらのがしっかり読みやすく書かれているのでおススメです。

最後にポッティアニメを張り付けて終わります。

https://youtu.be/TODCQZCjhEc

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