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【お仕事】日本ヘビ類大全(誠文堂新公社)のイラスト

【概要】
日本ヘビ類大全 (誠文堂新光社) という、とても美しいヘビの図鑑が2024年4月11日に発売となりました。書籍内のイラスト150点を担当しています。日本に生息するヘビが完全網羅されていて、たいへんボリュームのある図鑑です。ヘビの基礎生態を知りたい人はもちろん、ヘビを描くときに形態や生態を勉強しながら描きたい人にもぴったりだと思います。

表紙です(かっこいい)


日本ヘビ類大全 (Amazonに飛びます)

【イラストについて】
本書の150カットを担当しました。
うち、130カットは公開されている以下の資料の図を、許可を得た上で再調整しています(p.5に説明あり)。著者や編集の方と相談しつつ、全体的に線を細く、塗りをシンプルする形で調整しました。

本のトーンに合わせて再調整したイラスト

資料①『日本蛇類圖説 : 原色版』
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00031729#?c=0&m=0&s=0&cv=0&r=0&xywh=-5346%2C-161%2C12707%2C3182
資料②『琉球列島における陸棲蛇類の研究』
https://u-ryukyu.repo.nii.ac.jp/record/2006846/files/No9p001_1.pdf    (自動でDLが開始します)

上記の先行研究がなければ、イラストの大半は到底準備できなかったので、はじめにご紹介するとともに感謝申し上げます。

他の図は、著者監修の元、新たに描き起こしています。
イワサキセダカ/ヤエヤマヒバァ/ヤエヤマタカチホ/ミヤコヒバァ/ツシママムシ+ 第1章の一部の図

新たに描き起こしたイラストの例


【この本について(読者視点での感想)】
とにかく写真が美しいです。ちょっと見たことがないレベル…ヘビってこんなに美しい生き物だったのかあ〜〜と惚れ惚れします。白バックの図鑑的な美しい写真に加え、ヘビたちがいる環境にも焦点をあてた写真が数多く掲載されています(とても良い)。一見ヘビがどこにいるか分からない写真もあり、野外での佇まいを知ることができます(すごく大切)。図鑑のようでもあり、写真集のようでもあるのですが、情報ひとつひとつに引用文献が明記されていてレビュー論文のような雰囲気もあります。なんと最新の研究成果もしっかりフォローされています。これだけの情報まとめるのにどれだけの労力がかかったのでしょうか…。想像を絶します。原著論文の内容を、本に合うような言葉に統一・選択するのってものすごく労力のかかることだと思います。また、論文の内容を引用するとき、言い過ぎていないか・断定すべきかどうか…など全方位に気を遣って書かれているような気がします。それでいて最後は、この本を読む人全員に楽しんでもらいたいという気持ちが溢れ出ている、本当に親切で誠実な本だと思いました。人生でバイブルとなる本とは、入り口は広く、懐はふかい(?)、まさに本書のことだと思いました。フィールドワーカーだけでなく、ヘビのことについて知りたい子供も大人も、日本の方もそうでない方も、絵描きやクリエイターにも読んでもらいたい本です。

時に好きなのは、ヘビと人との関係についても紙面を割いているところ。私は沖縄でのダイビング中、何度かウミヘビに遭遇したことがあります。毒性の強いヘビであるという印象だけが先走り、恐怖を覚えました。でも、ウミヘビは好奇心が旺盛なだけで(フィンのにおいをかぎにきた説)、興奮させなければよかっただけみたい。この情報を知っていれば、もう少しゆっくりと観察を楽しめたかも。その他、文化的な情報もとてもよみごたえがあり、とても面白いです。こんな素敵な本が書ける人間に、いつかなりたいなあ(無理)。

こんな機会にイラストを使っていただいて光栄でした(感謝)。
ぜひご覧ください!

日本ヘビ類大全
日本で見られる種を完全網羅 分類から生態、文化まで、美しい写真で紹介
著者: 田原 義太慶、福山 伊吹、福山 亮部、堺 淳
定価(税込)6,050円
発売日2024年04月11日

↓ 以下から試し読みができます
https://www.seibundo-shinkosha.net/book/science/86313/


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