シアターコントロニカ「回廊」を観てきためちゃんこフレッシュな備忘録

軽微なネタバレと、軽微なアンチコメがあります。ご了承のうえお進みください。

小林賢太郎が作演出を務める、シアターコントロニカ『回廊』をの初日を観てきた。
この記事を読んでいる人は“シアターコントロニカ”とは何か、については説明するまでもないと思うので、早速ふつふつと湧いた感情をだばだばと流していこうと思う。
軽いネタバレをするし、配信もあるのだから、公演を観てから読んでもらった方がいいだろう。

先に言っておくと、私は小林の全肯定ファンではない。『僕がコントや演劇のために考えていること』を読んで、「何様なんだ」とも思ったことがある。つまらんなあと思うコントはここ数年でいくつかあったし、求めている小林作品が供給されないことは多々あった。

そんな中で、後述するが彼には色んなことがあった。だからかなり『回廊』は不安だった。今まで一番期待しないで観に行った。



2020年4月、翌月末から予定していたカジャラ第5回公演『無関心の旅人』はコロナの影響で中止になった。
そしてこれは小林にとっての最後となるはずだった表舞台。つまり彼はパフォーマー人生を無念のままに終えることとなった。
(そしてなんやかんやで世界の意思によって名前を消される)

『振り子とチーズケーキ』やら、KKTVXやら、他にも色々“旅”を意識しているのがここ数年の小林だった。
本来迎えたかったであろう“旅立ち”が果たせなかった彼は、結局箱の中に閉じこめられたまま、目的もなく理由もなく終わりのない回廊をぐるぐると彷徨ってるのではないかと、そんな気がしていた。

まあもともと彼は“ループ”が大好きなので、今更『回廊』って名前付いてても何も不思議じゃないけど。「逆にまだやってなかったんかい」とすら思う。

さて、久々に来たKAAT。
前回は2020年版『うるう』だった。あの時はホールで、今回は大スタジオ。
少し狭い上に、私は二次プレ当選組でなんと最前の端っこだった。近い!(しかし観にくい!)

セットリスト(仮題)
・前説
・回覧板
・タイムスリップ
・道の達人
・劇団うらみ座
・久ヶ沢アニキのおふざけタイム with 
南さん
・人生すごろく
・そばをください
・回廊
※あとひとつあった気もするけど思い出せない。

前説には、南さんとクロコ郎が出てきた。予想ですが、日替わりでクロコ郎の相手は代わるのでは。
最前の端っこなので、クロコ郎の影ナレをしているの“彼の生きた声”がわずかに聞こえた。別にそれで感動することはなく、「この出たがりめ」と思った。表舞台から引退すると言ったのだから、潔く足を洗ったらどうだ。

他のコントについては深く言及しないが、ひとことで言うと“ほぼカジャラ”である。
雰囲気が、とか、出演人数に縛りがないというのもそうだし、全体的に“良くも悪くもすごい小林っぽかった”というのがカジャラたらしめていた。

ファンが軽率に喜ぶポイントを挙げると、
・客電が消えて徐々に大きくなる客入り音楽
・舞台装置はシンプル
・箱が出てくる
・幕間にセルフセッティング
・裸足
・衣装に統一感はあるけど、1人ずつ少し違う
・衣装替え頻度低め
・徳澤青弦

私?軽率に喜んだよ。
うわー、小林賢太郎だー!俺が見たい小林賢太郎はこれなんだー!と思った。
カジャラ『大人たるもの』を観た時もこんな気持ちになった。当時はポツネンが(海外向けということもあり)どんどん自分の好みから逸れていったことに不安を覚えていて、小林が「集大成のコント公演やるで」と言っても満足できるか心配だったのだが、そこにあったのは“我々の求める小林っぽさ”だった、という感覚が蘇った。

まあとはいえ、カジャラはカジャラで理想とはかけ離れていくんだけど。
これは全然余談ですが、#1『カドマツ君』と#4の『焼肉屋』のテーブルのメニュー見てくださいよ。『カドマツ君』はほぼ無地なのに『焼肉屋』は結構書き込んであるんですよね……。あれ見たときガッカリしたわ。そういうディティールを減らす美学だったんじゃないんですか?『地球よ』はなんかめちゃくちゃセット組むし(そのくせ全然面白くないし)、『倉田は働く』もセブンみたいな制服着てて「白いエプロン着てたらお客さんが自分のよく行くコンビニだって思ってくれるから」とかなんとか得意気に言ってたのはなんだったんだよ。いやまあこれは敢えてディティールを入れた方が面白かったってことなんでしょうけど!でもセブンに限らず後半のカジャラは衣装替えも増えてきて、結局なんだかなって思ったよね。
余談終わり。

とまあ、そんなこんなで、やっぱり“我々の求める小林っぽさ”があるかどうかが気掛かりで仕方なかったが、『回廊』を観終えた私は安心したのだった。

しかし許していないところが1つある。
最近やっているYouTubeでの告知だ。
小林作品でまともに積極的な宣伝施策を打っているところなんて見たことないのだが(それでもチケット売れるんだからすごいよね)、ここで急に、しかもYouTubeという時代を意識した宣伝をしてきてびっくりした。
今回は配信公演だから不自然でもないし、時流に乗るのは大いに結構なのだが、動画の作りが甘くて非常に残念だった。
私は映像関係に従事している人間なので、世に出る作品やらプロモーション映像やら目にする機会が多いのだが、最初にクロコ郎が出てきた動画に関しては修正すべき箇所がいくつもある。
https://youtu.be/xlbySeh1W2E

ただ、本当はクオリティ面であれこれ言いたいのではなく、ブランディングの方向性として、この動画はどうなんだ?と疑問だった。
配信公演であったとしても、彼がパフォーマーでなかったとしても、そして宣伝に使う動画だったとしても、シアターコントロニカの名前が付く以上、小林作品に変わりはないはずだ。
彼がこれまで積み重ねて来たブランドイメージ(アーティスティックでカリスマ性があって美して少し奇妙でみたいな)をもっと大事にしてほしかったのだけど、あの動画で全部ぶち壊れたと思っている。
子供の「イェーイ!」って声、デザイン性の薄いテキストレイアウト……。なんだこの絵に書いたようなYouTubeは。どうか手弁当ではなく、しっかりしたクリエイターに頼んでほしかった。

Q.じゃあどういう映像にすれば良かったんですか?
A.教育テレビ、というかピタゴラスイッチとかテクネみたいなやつにすれば良かった。


嫌なところで締めると後味が悪いので、『回廊』で好きだったところも書いておこう。2つある。

1つめ、ちゃんと舞台公演でもあったこと。
名目上は配信公演なので、来場者にフライヤーやアンケートが配られなかったし、劇場の公演案内がチラシサイズのビジュアルしか貼っていなかったのを見るに、ポスターも作ってないらしい。
ちょっとそこは残念と言えば残念だったが、一部のコントは舞台を最大限に使っていた。具体的に言うと客席に来たりする。
「配信公演と言えど、やっぱ舞台好きなんじゃ〜ん」って思った。

2つめ、カキワリ。
厳密に言うとカキワリではないと思うのだけど、大道具として背景の役割を果たしている壁がある。
『劇団うらみ座』は劇団がテーマのコントで、“舞台裏感”を演出するために、わざと壁の裏面(木の枠とかが見えてる方)を見せていた。
「ああ、こういうところが好き」と思った。

あ、あとはね、今回小林作品初参加だった高崎さんと松本さんは結構ハマってました。南さんも勿論良かったです。

そんな訳で、以上が『回廊』の感想。自分のために書いたので、読みにくくてもご愛嬌。

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ポツネン回とKKP回がそれぞれ1回ずつ。
参加者の予定次第で日程を決めます。

■配信場所
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■どういう人がいいの?
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・しゃべり中心なので、普段から配信やってる方とか、そういうのに苦手意識のない方。

■どこに連絡すればいいの?
ちみしらのTwitterのダイレクトメールでお気軽にご相談ください。怖くないよ。

■配信の雰囲気が知りたい!
ラーメンズ語り配信 #1

ラーメンズ語り配信 #2

『回廊』が発表された時のソロ配信
(マイクの調子がよくない。)

何卒よろしくお願いいたします。
ではでは。

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