離婚までの道程 弐

意地になってしまった私

仲のいい友達に「元夫くんと付き合うことになった」と報告した時、大反対された。「なんで急に元夫くんと?好きなの?」と言われても、まだ好きになってもないのに激怒されてあおり運転の助手席に乗った事もあり、はっきり返事が出来ない。何故かと聞かれても曖昧にしか答えられない。こないだまでKの事が好きって言ってたのに。そら反対されるわ。

トラックあおり運転の件やじわじわと感じていた違和感のことは、みんなに話したら大反対超えて超反対されるし心配されるだろう。この不安な気持ちを後押しされて別れる方向に向かうかも。でもそしたら「絶対別れるなよ」と言ったKに申し訳ないと思ってしまい、仲のいい友達に元旦那の不満や愚痴を言うことをやめてしまった。代わりに「でもこんな事してくれる」「こんなとこにも連れてってくれる」と良いことばっかり話して幸せアピールしてたと思う。

本音を言うと、友達には私の気持ちを全部聞いて応援してほしかったし味方になってほしかった。でも速攻大反対さたことで「絶対別れない」と何故か意地になってしまい、誰も私の気持ちなんかわかってくれないと自分勝手に孤独な気持ちを抱えることになってしまった。

このこじらせた自分勝手な考えのせいで、結局友達には長年心配ばっかりかけてしまいました。


再就職と元旦那の束縛

元旦那と付き合い始めて1ヶ月経つ頃、やっと仕事が決まった。美術学校講師アシスタント業務という名目だったけど、中身は校長をしている作家さんの仕事をアシスタントする業務だった。デザインのデータ起こしや修正など仕事内容や環境は自由で、やりたいことも好きなこともやれてとても楽しかった。しかし!この校長である作家がとんでもねーセクハラ野郎だった。

元旦那は私と付き合う前からフリーター。コンビニで0時〜朝までバイトしていた。私が働き出したら旦那が休みの日の夜にしか会えなくなってしまうなぁ〜と思っていたけど、なんのことは無い。ほぼ毎日、寝る時間をずらしたり時間を見つけては会いに来た。私は頼んで無いけどとにかく会いにきた。

私の平日は、起床→仕事(9:00〜18:00くらい)→元旦那に会う→22時頃帰宅→風呂飯就寝1:00くらい と、友達に会いに行くとかそういう事ができないくらいほぼプライベートな時間が旦那に占領された状態。深夜の休憩中メールがきたら即返信、電話が来たら寝てても出ないと怒り出す。話し中だったら、誰と何のはなししていたか説明しないといけない。週末は金曜日仕事終わりの夜から元旦那がバイトへ行く数時間前の日曜日夕方まで拘束。

そして言う「お前に会うせいで全然寝れん」

じゃあ一日くらい会わなくてもいいんだよと言っても「そうやって俺に会わんようにして、男に会いにいくんだろ?」「つまり、俺に会いたくないって言いよるようなもんだけど、それで良いと?」と言って不機嫌になる。仕事先に男の作家や先生が居ることも耐えられないらしく、毎日何した何話したの報告をさせられ、途中で「もうええ!!男の話は聞きたくない!!わかれよそれくらい!!」と中断される。どうしろて言うと笑

毎日毎日なにか小さな一言や出来事で怒り出すので、私は一生懸命選んで選んで選びぬいた必要最低限の安全な言葉しか出せなくなってしまった。それでも「お前の話はくだらんけん黙れ」と言われるけどね。もちろん男関係の話は禁句。なので職場でのセクハラ話なんか絶対死んでも言えなくて「人間関係がちょっときつい」とだけ伝えていた。

家族と話す時間も無ければ、友達に相談したくても会いに行く時間がない。もし電話で話してる最中に元旦那が電話かけてきたら、話し中になったことでめっちゃ怒るしめんどくさいし。

自律神経失調症

誰にも相談できない+元旦那の束縛+職場のセクハラという三重苦によって、就職から2ヶ月後に胃をやられてしまった。なにか食べたら激しい胃痛が来て吐いてしまうのに、お腹は減るという不思議な症状。体重もガンガン減っていって見たこと無い数字になり、息するのもきつかった。食べられるものはウィダーinゼリーのみ。

とにかくこの辛い症状を治したくて、病院に行って胃カメラ検査した。でも胃はツヤッツヤでめちゃくちゃきれいな状態。先生は「これに病名は付けれないんだけど、たぶんストレスで胃が動かなくなってるね。あえて言うなら自律神経失調症。ストレスの原因に思い当たることはあるかな?今は胃だけど、ひどくなると腸にも影響出だすよ。とにかく休んで」と言った。処方は消化剤と、胃の動きをよくする薬。

先生!私、思い当たる節、めっちゃくちゃあります!!!!!

とりあえず、いろいろあってなんとか職場は退職前提の休職に入ることができた。たったの2ヶ月ちょいで…と親は残念がっていたけど、嘔吐して痩せ細り辛そうな姿を見てそれ以上は何も言わなかった。

問題は元旦那。「ストレスからくる自律神経失調症だった。仕事はとりあえずしばらく休む事になったよ」と伝えたら

「ハァ!?なんがストレス!?俺がどんなに眠くても仕事前に時間作って毎日会いに来よったのに、ストレスとかお前が言う?ていうかたった数ヶ月で休職て、お前ほんとクズね!よくそれで今まで生きてこれたね!こんな奴と付き合えるの、俺ぐらいだろうね(笑)クズと付き合ってストレスなのこっちだし(笑)まじ感謝してほしい」

とおっしゃいました。でも「じゃあこんなクズとは別れてくれていいよ」と言って揉める元気が私になかった。その時も激痛が起きていて、体を縮めながら痛みに耐えてる私には何も言い返せないだろうと踏んで余裕のこの発言だったと思う。目の前で嘔吐したり苦しんでる姿を見ててもこれ。声高らかに私を非難する言葉を述べる元旦那を、薄笑いで眺めることしか出来ませんでした。


この頃の忘れられないエピソード

なにか食べると激痛・その後嘔吐するのに空腹を感じるという不思議な症状に数週間苛まれてウィダーinゼリーしか食べられないでいた私は、とにかくなにかまともなものを食べたくて常に飢えていた。もちろんその事は元旦那にも伝えている。私なら、そんな症状がある彼氏の前で御飯食べれないと思う。
でも元旦那は違う。敢えて食べる。目の前で美味しそうにこっちをチラチラ見ながら食べる。コンビニでおにぎり買ったり、マックのドライブスルーしたり、なんか小腹がすいたな〜と自分の分だけ買ってきてとにかく食べる。真横で。

ある日、元旦那がドライブスルーでテリヤキバーガーのセットを買って、運転しながら食べだした。誰でも2週間くらいまともに食べられなくてお腹が減ってる時に美味しそうな食べ物の良い匂いがしたら、余計にお腹すいて我慢できなくなって「ごめん小さいポテトでいいけん一本頂戴」と、つい言ってしまうじゃん?そんなもんじゃん?誰しも。だよね?

すると「え?食べると?後で痛いとか言っても知らんよ〜笑」と嬉しそうに私にポテト一本を差し出す。よく噛んでチマチマ食べても、しばらくすると痛くなり、嘔吐。「ホラね言ったたい。痛くなっても知らんよって」と、得意げに笑いながらテリヤキバーガーをガブっと頬張った。

すると「はふぇあ」みたいな声を出して口からポロッと何かを出した。出てきたのは元旦那の前歯。もともと虫歯でもろかったんでしょう。
その姿を「隣の人テリヤキバーガーで前歯を折ってる」「隣の人はテリヤキバーガーのバンズの硬さに耐えられない強度だった前歯が、折れた」「前歯だけん丸見えの人」と頭の中で考えながら、笑いをこらえて眺めていた。

…まじザマァみろ笑
神様は見てくれてるんだなぁ〜!

という感情は一切顔に出さずに「えーーーーっ!大丈夫?歯欠けたの?歯医者いかないといけないね」と優しく微笑んだ。元旦那は歯欠けが恥ずかしいと笑って、その日はそれからとても静かでした。

バンズの神様、あの時はありがとうございました。

ちなみに、22歳の男が欠けた歯を補修するために歯医者へ通ったのはトータル3回でしたが、何故か全て付き合わされました。

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