学校に何をどこまでどのように説明すべき?

これはTwitter(現X)での流れで、学校に対しての娘の病気の説明や注意点の説明をまとめたものになります。

あくまで我が家の娘の場合です。

それを理解した上でお読みください。

前提として、我が家の娘は「純型肺動脈閉鎖症」「右室低形成」「類洞交通」で「フォンタン手術済み」、学校生活管理指導表での運動区分は「C」です。

⭐⭐⭐

フォンタンっ子ならば、新入園新入学に関わらず4月には新担任との面談を行うことが多いと思うけど、何をどこまでどのように話すべきかというのは何年経っても悩みの種で、春休み後半はちょっと気が重かったりする。

フォンタンの状態にもよるし、合併症や運動制限の度合いにもよるし、本人の性格にもよるので、フォンタンという共通点だけで誰もが同じではないのが難しいところ。

何度も言うけど、これはあくまでうちの娘の場合として。

まず、子どもの心疾患の説明をする。

これは大事なポイントだけに絞って大丈夫。

元々の疾患の状態より、今の状態の方が重要なので。

相手は学校の先生なので正常な心臓の構造は理解してるものとして話はするけど、心室をポンプとか、動脈血を赤い血液とか、わかりやすく言い換えるのも良い。

娘の疾患は「純型肺動脈閉鎖症」と「右室低形成」と「類洞交通」。

⭐肺動脈弁が閉鎖している。
⭐右心室が小さくて使えるサイズではない。
⭐現代の医学では弁や血管は作れるが心臓そのものは作れないので、小さな心室を治す=正常な心臓と同じ形にすることは出来ない。
⭐1つの心室=単心室で循環が成立するように手術をしている。

類洞交通に関しては説明したところで……なので、省くことが多い。

次は「フォンタン」の説明をする。

先天性心疾患は100人に一人の割合で生まれるわけで、教員という仕事をしていれば一人も出会ったことがないということはあり得ず、ただ割合的に考えるとそのほとんどは手術なりで完治もしくは根治している元心疾患児だと思われ、先生方の先天性心疾患に対する認識もその段階の可能性が高い。

この認識を根底から覆しておかないと、後々の注意点が入りづらい。

だって治ってて元気なんでしょ?と。

小学生くらいのフォンタンっ子は結構普通に元気な子も多いから余計に。

というわけで「フォンタン」の説明。

⭐1つしかない心室=ポンプは大きな圧力が必要な体循環=心臓→全身→心臓の役割に使い、小さな圧力で足りる肺循環=心臓→肺→心臓は心臓内部を通さずポンプなしの自然の力で直接流れるように繋ぐ。
⭐この手術が「フォンタン手術」で、この循環が「フォンタン循環」である。
⭐治すというより作り替える手術。
⭐肺循環は心室を使わず、呼吸や重力や臓器の圧力差や手足の筋肉をポンプ扱いにして自然に流れるようにしているので、肺への流れやすさが重要になる。

普通に元気に見えるけど、心臓内部は正常と違うんだよ、と念押しする。

ここまでしておくと学校側も認識を改めて気を引き締めてくれるし、これだけで細かい注意点の理解が得やすくなる。

「先天性心疾患は100人に一人の割合で生まれるけど…」の説明からするときもある。

とにかく認識を改めてもらうことが目的。

特に最後がかなり重要で、後々効いてくる。

ここまでで子どもの心疾患についての基本的な話をしたら、具体的な学校生活での注意点の話に進む。

この辺は個人差もあるので、あくまでうちの娘の場合として、参考までに。

⭐脱水要注意。
⭐フォンタン循環は静脈血が心臓内部を通らず直接肺に繋がっている分全身の総血液量が正常より少し少ないので、同じ量の水分不足でも割合的に脱水になりやすい。
⭐血液の流れやすさが重要なフォンタン循環において、脱水になると血液がドロドロになって流れが悪くなり循環不全に陥る危険性がある。
⭐なので脱水要注意。

⭐疲労は大敵。
⭐循環は成り立っているが無理やり辻褄を合わせているだけなので、酸素飽和度は正常値にはならず、健康な人なら救急車を呼ぶレベルの数値で生活している。
⭐本人はその数値に慣れているが低いことに変わりはないので、普通より疲れやすい。
⭐フォンタンはその循環の特性上将来的に他の臓器に影響を及ぼす危険性が高いので、そんな日を一日でも遅らせるために、負担は減らしていきたい。

⭐感染症に要注意。
⭐感染しやすいという事実はない(娘は無脾症ではないので)が、感染すると重症化しやすく長引きやすい。
⭐元気に見えても正常な心臓とは違うので、高熱などは心臓への負担も大きく、回復には時間が掛かる。

⭐コロナに要注意。
⭐コロナの主な症状に肺炎があり、フォンタン循環は肺までの流れやすさが重要なので、肺炎になると血液が流れにくくなる可能性がある。
⭐重症化した場合の治療法である人工呼吸器は、肺に直接空気を送る機械で肺の圧力が上がってしまうためフォンタン循環との相性が悪い。
⭐フォンタンだからといって罹患したら必ず重症化するわけではないが、極力避けたい。

毎回こんな感じの説明をしている。

ちょっと脅してる感が無きにしもあらずだけど、多少盛っても良いし、極端な話をしても良い。

最悪の場合であるだけで、嘘ではないから。

細かいニュアンスは違っても、伝わりやすさの方が大事。

娘は運動制限がC区分で、逆に運動をどこまでするかのすり合わせがあまり必要ないので、その辺の内容はありません。

どんな内容でも大事なのは、注意点だけお願いするのではなく、軽くでいいのでなぜそうする必要があるのかも説明すること。

理由がわかるだけで理解も進むし、危機感も抱いてくれる。

飲み込みの早い先生だと、「…ということはこういうときも注意が必要ですね。どうしたらいいですか?」などと向こうから相談してくれることもある。

最後に、これは娘の主治医から何度も言われていて、学校側にも毎年お願いしてること。

⭐本人の申告が最優先。
⭐疲れた、しんどい、もうやめたい、やりたくない、横になりたい、座りたい、休みたい、など。
⭐本人の体のことは本人にしかわかり得ず、大人でもなんとなく気分が乗らないと思ったら実は風邪を引いていたなんてこともあるわけで、本人もよくわかっていない体調不良が隠れてる可能性もある。
⭐子どもは一度自分の訴えを受け入れてもらえない経験をしたら、もうその大人のことは信用しなくなって何も言わなくなるので、それが怖い。
⭐本人からの訴えは、甘えに見えてもワガママに見えても必ず最優先してもらいたい。

うちの娘の性格だと、先生から「もう少し頑張ってみようか」なんて言われたら、次からはもう何も言わなくなる。

言っても無駄じゃん?と、先生に何も期待しなくなる。

甘えかも知れないしワガママかも知れないけど、それは誰にもわからないのだから、先生との信頼関係を崩さないことの方が大事。

娘の主治医はもうちょい辛辣で「学校側に判断してもらうことなど何もない」と一刀両断。

それをやんわりと、でもしっかり学校側に伝えるのが親の役割だと思ってる。

⭐⭐⭐

以上が、娘との小学校生活6年間でたどり着いた学校への説明になります。

これで全部ではないですが、今回はこれが限界。

実際はこの後に具体的な「じゃあどうしたらいいのか」の話をしてます。

水筒を持参するとか、たまに疲労回復のためのお休みをするとか、本人が疲れたと言い出したら保健室で休ませてほしいとか、感染症が流行したら連絡がほしいとか、諸々。

1年生の時からこの説明をしてきたわけではなく、娘は運動制限がガッツリなこともあって重く見られた方が過ごしやすいという結論にこの6年間で達したため、最終的にここまで説明するようになりました。

軽く扱われて命の危険にさらされるよりいいかなと。

みんながみんなここまで説明する必要はないですし、逆にこれでは足りないという人もいるはずなので、あくまで参考ということでよろしくお願いします。

運動できるタイプのフォンタンっ子の場合は重く見られ過ぎない方が良いかと思いますしね。

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鍵アカなのでフォロワーさんのみで。


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