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経費の不正や異常を検知する「Stena Expense」の誕生秘話。コロナ禍をきっかけに進む働き方の変化とデジタル化に対応する、お客様独自のAIカスタマイズ型サービスとは


ビッグデータから異常値を検出するAI技術を応用した経費の不正自動検知システムの誕生

株式会社ChillStack(チルスタッ​​ク)は、「自分たちが誇りに思える AI x セキュリティ ソリューションを創造し、企業が安心して前に進める社会を共創する」をミッション・ビジョンに掲げ、「カネ」「モノ」の領域における課題をテクノロジーの力で解決する事業を展開しています。
AIやセキュリティというと高度な専門性を持った限られた人材が対応するものというイメージがあると思いますが、これら技術を身近に感じていただきたいと思っています。ChillStackでは技術の活かし方のヒントは現場に埋まっているというスタンスで、技術を知ることで「現場のこんなことに使えるのではないか?こんな風に使うと便利で業務が楽になるのではないか?」といったことをお客様と一緒に考え、作っていきたいという思いを「共創」に込めています。
今回は、そのような考えのもと、現在の主力事業である不正経費⾃動検知クラウド「Stena Expense」が誕生したストーリーをご紹介します。


市場動向と背景について

〜コロナ禍をきっかけに進むデジタル化による不正経費精算〜

現在の主力事業である「Stena Expense」は、個人立替経費精算データに潜む不正・不備を自動で検知し企業のガバナンス向上に役立てるサービスです。

昨今、企業内における経費精算の不正は、経費の不正受給、水増し発注・キックバックなどによる横領など、その種類は数えきれないほど多数存在します。さらにコロナ禍をきっかけに急速に進むデジタル化や、テレワークやフルリモートなど働く環境が変化していく中で、従来のように管理監督の目が行き届かなくなる状況になっており、各社ともに対応に苦慮しています。

加えて、SNS等の情報拡散のスピードは早く、被害金額の多寡だけでなく、自社に関するネガティブな評判や噂が社会全体に拡散され、ブランド毀損や企業価値・信用の低下を招くリスクも懸念されます。

また、今年の10月から実装されたインボイス制度により、デジタルデータを中心とする業務プロセスへの変革と不正防止の取り組みがますます重要になり、経理部門は処理する証票が多く業務が煩雑である上、「ペーパーレス化が進み複製された証票に気付きづらい」「インボイス制度に対応していない領収書の確認に時間が取られる」など、不正防止の確認に多くの時間と労力が必要になっている事例もあります。
このような背景から、企業における不正な経費精算はますます進んでいくと考えられ、対応が必要不可欠になっています。

不正例とリスク

「Stena Expense」の誕生秘話

〜徹底的にPoCとヒアリングを実施し、プロダクトの事業化に確信を得た〜

某大手金融機関より、DXによる効率化とガバナンスの両立を図るための体制構築を行いたいとご相談を受け、PoC(実証実験)という形でスタートしたことがきっかけで「Stena Expense」の原型が生まれました。

<某大手金融機関からの要望>
・業務利用で生まれるデジタルデータの活用
・社員一人一人の行動を可視化
・必要十分なモニタリングと未然防止策の体制構築

この大手金融機関は、業態上ガバナンスを強く求められる一方で、DXによる効率化の面でも業界内でのトップランナーです。

そこでChillStackが得意とする大量のデータから行動を可視化し、異常値を検出するAI技術を活用することで課題の解決を行いました。

具体的には、金融機関独自の複雑な社内規定と実際の経費精算内容の突合、入退館データと出張経費との突合など、従来は人の目で一つ一つ確認されていたことをAIで自動化するとともに、膨大な量の経費精算データに対して統計的なAI解析を加えることで、経費使用額や使用頻度の異常者の抽出など、広範囲に及ぶ解析を行いました。

<具体的な活用方法例>
・金融機関独自の複雑な社内規定と、実際の経費精算内容の突合
・入退館データと出張経費との突合
・経費使用額や使用頻度の異常者の抽出

従来は人の目で一つ一つ確認されていたことをAIで自動化するとともに、膨大な量の経費精算データに対して統計的なAI解析を加えることで、広範囲に及ぶ解析を行いました。

PoCでは、大手企業特有の様々な要件を確認しながらAIへ落とし込むこと、自分たちでは想像できない多種多様なデータセットの存在やその構造が複雑であること、ガバナンスに対する高い意識とそれを実現するための規定や運用ルールなどの細かさなどを肌で感じるとともに、その全ての条件をクリアするために何度もPoCを繰り返しながら、サービス化できるレベルにまで到達することができました。

〜事業成長のきっかけはニーズに合わせてカスタマイズできるAI〜

PoCの成果を通して、同じような課題を抱える大企業は多いのではないか?という仮説のもと、類似する顧客へのヒアリングを実施しました。その結果、同様の課題を感じている企業がとても多いことがわかり、汎用的に展開ができるITプロダクトでより多くのお客様に届けられるSaaS型の「Stena Expense」に成長させたことが事業成長につながる大きなターニングポイントとなりました。

〜唯一無二のAIカスタマイズで他社製品と差別化〜

通常のSaaS型のサービスは、カスタマイズができないため個々の企業の要件に応えられないという課題がありました。しかし、エンジニア(データサイエンティスト)はデータ解析の視点で、カスタマーサポート(以下、CS)はお客様の視点で、お客様の言葉の裏側にある背景や意図を汲み取り、お客様がまだ気づけていない本質的な課題を解決することが重要だと考え、当社はカスタマイズ可能なAIモデルやロジックを提案します。

バックオフィス部門が保有する様々なデータを活用した検知事例

「Stena Expense」はSaaS型プロダクトでありながら、個々の企業で内容が異なり、中身が同じ「Stena Expense」は一つとして存在しません。1社1社の課題に合わせて進化し続けている、それが「Stena Expense」の特徴であり、当社が拘っている大きなポイントです。

顧客と伴走しながらそれぞれの課題を解決していく

ChillStackは技術で課題を解決するというスタンスで、顧客自身が気づけていない課題を一緒に発見し、それを解決するAIモデルを提供することを通して顧客に伴走します。
そのため、通常分断しがちなビジネス部門とエンジニア部門のコミュニケーションは活発で、どのような解析をすることがお客様にとって良いのか?分かりやすいのか?それはお客様の現場で使えるモノなのか?どこまでを技術で解決すべきなのか?という会話を絶えず行っています。

実際に導入いただいたお客様からは、「業務スピードと品質の両方を劇的に向上してくれた」という喜びのお声を多くいただいており、工数削減は従来比97%減といった事例もあります。また、AIがマイナスの作業を機械的に行ってくれることによる心理的負担の軽減も副次的な効果としてあるというお声もいただいています。

現在の不正・異常の検知機能は、財務・経理部門が抱える課題のごく一部の領域でしかありません。日々の各部門・従業員が使うコストや活動のデータを効果的かつ効率的に解析し、データドリブンで攻める財務・経理部門へ変革するために新たな機能の実装を進めてまいります。

今後のアップデートについて

今後のアップデートは、以下の2つを実装予定です。
①請求書のデータの取り込み機能
②経費全体を分析する機能

これらのアップデートを通して、企業のコスト面についてあらゆる確度から解析・分析できるプラットフォームへ昇華してまいります。
その先には、生成AIを活用することによるインサイトの提供などますます便利になる機能も検討しております。

「AI(ITツール)の活用」と「人間が担うべき機能・役割」の分担

今後もAIをよりよく活用すること、「AI」と「人間がすべき判断・思考」を棲み分け、お客様がサービスを通して得られる価値を最大化し、企業の屋台骨である財務・経理部門の皆様をサポートしてまいります。


▼ ChillStack公式サイト

▼ 不正経費自動検知クラウド
「Stena Expense」


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