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手間いらず×CHILLNN共同ウェビナー(第3部)

テーマ:旅の「目的地」になれる宿泊施設を目指して・・・

①Z世代のファン獲得について
②地域との共存で生まれる新しい宿泊形態について
③独自のスタイルを追求しているブッキングエンジンについて
④経営者としての龍崎様に、今だからこそ聞いてみたいこと
⑤これからの宿泊業界について 

※ こちらの記事は、2021年4月14日に行われた主催のウェビナーを書き起こしたものです。
※ 本記事では第3部として、目次の④⑤を掲載しています。

④経営者としての龍崎様に、今だからこそ聞いてみたいこと

眞田:「未来の宿泊券」や「ホテルシェルター」などのサービスは、一度目の緊急事態宣言が始まった直後、大変スピーディにリリースされたという印象があります。この発想からリリースに至るまでの裏側やチームプレイといったところについて、教えていただけますでしょうか。


龍崎:「未来に泊まれる宿泊券」は、2020年4月7日頃にリリースしました。それがどういう発想や経緯で実現したかについて、まずお話しします。最初にこの企画を着想したのは、弊社のCTOでした。ロックダウンや緊急事態宣言の影響で、観光業界の流動性は極端に下がり、ホテル業界がキャッシュに非常に困る状況は容易に予想できました。そこで、お宿さんたちが皆様にサポートしてもらいながらも事業を続けられるためのプラットフォームが必要だ、と彼が発想したんですね。そこから7日間、ほぼ不眠不休といっても過言ではないくらいに、みんなで寝食を共にしながら準備し、1週間後にリリースすることができた、というような形です。
これは、表面的に見ると、「思いついてすぐ始めて急いでリリースした」という風に見えると思いますが、実は、CHILLNNのシステムの基盤は、それ以前から1、2年かけてずっと準備していたものです。当初の予定では、4月1日付でCHILLNNという新しいサービスをリリースしようと思っていました。その矢先でのコロナショックで、そこまで走ってきた思いや準備の延長線上で、突っ走っていったような感じですね。よーいドンで走ってゴールというより、ずっと走ってきた持久走のランニングゴールという方が近いような気がします。


もう1つの「ホテルシェルター」は、4月5日頃に着想し、4月15日にリリースしました。もちろん、アイディア自体は4月に思いついたのですが、こちらも、私たちがずっと前から、ホテルという空間のよりよい活用方法を模索し続けてきたからこそ実現できたものだと思っています。例えば、長期滞在できる点でホテルは病院にも近い業態だと捉えれば、「ホテルは人が人をケアする場所」という風に読み替え、それを活用したビジネススキームを考えることができます。このようなことを、過去数年間に渡って考えてきたんですね。私たちにとって、ホテルはただの旅先の宿泊の場所ではありません。ホテルは、「人が人をケアする場所」「ライフスタイルを試着する場所」「オールナイトで過ごせる場所」…といったことを考える習慣が付いていて、私たちの中には無数にホテルの定義があるんです。
コロナによって、世の中の何十億という方々が同時期に突然不便な思いを強いられ、社会的な大きな「負」が生まれている状況です。それをホテルという空間を使って解決することが出来ないかと考え、思いついたものの1つが、この「ホテルシェルター」でした。ひらめきは一瞬ですが、このように取り組んできた長い期間があるからこそ、外部変化があった時にすぐにひらめいて行動に移せるというところが大きいように思います。そこからリリースまでの10日間は、「未来に泊まれる宿泊券」と同様、チームで本当に努力しましたし、ホテルシェルターに関しては、自分達だけでは実現できていなくて、感染症の専門家の方の監修や大手企業さんの協賛など、たくさんの方々にご支援いただきました。


今、世界的に、観光業やホテル業全体が非常に大きな危機に直面しています。その中で、自分たちだけの力で生き残るのは難しくても、色々な方々と連帯することで、新しい市場を作れるかもしれないですし、新しい課題に対して良いソリューションを提供できるようになるかもしれない。私たちは、当時から連帯することで生まれる大きな可能性を信じており、また、そのことに気づいていることへの使命感も大きかったので、チームで一丸となって急ピッチでリリースにこぎつけることができました。
あと、細かいところでいうと、例えば私たちは今回「Wix」というノーコードでウェブを作れるサービスを使ったりしたのですが、このような、世の中にある色々な便利なサービスも活用して、時短できるところは時短していくのも、基本的なことではありますが重要なポイントだと思います。
ちょうど1年が経ちますが、当時はただただ必死でした。でも、逆にその危機的状態に置かれているからこそ生まれるパワーというか、難しい課題に立ち向かっている時ならではのアドレナリンのようなものが出ていたように感じます。


眞田:外から見ていると、「やっぱり頭の良い方たちはすごいな」というイメージを抱いていましたが、そこには長い時間をかけて作り上げられてきたベースとなる部分があって、それが非常に大切なのだなと今実感しております。手間いらずも、そのような視点を持って頑張ろうと思います。

⑤これからの宿泊業界について


眞田:これからの世の中、コロナや天災と共存する生き方が必要になってきています。宿泊業界としても、急な変化への対応を求められている時代です。そのためには、常に最新の情報をキャッチアップすることや行動をすぐに起こすことが、重要なキーワードになるのではないかと思います。とはいえ、施設様の中には、どのように行動を起こせばいいのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そういったところでの考え方や対応の仕方について、龍崎様から何かアドバイスをお願いできればと思います。


龍崎:実は、私たちは、自分たちがホテルを運営するための会社・組織だとは思っていないんです。では、どんな会社なのかというと、世の中の課題やインサイトを発見して、それを解決したりより良い方向に導いていけたりするようなサービスやプロダクトを作るための会社だと考えています。だから、危機的状況の時にも、自分たちや社会が抱えている不満や課題を、自分たちのサービスで解消することが出来ないだろうかと考える習慣が付いているんですね。メンバー全員が常にそのようなマインドを持って仕事や事業に取り組んでいるからこそ、ホテルの可能性を広げられているのだと思います。
ただ、これは私たちの会社やホテル業に限った話ではなく、ありとあらゆる業界や事業でもそうだと思うんです。世の中の誰かの課題を解決するサービスやプロダクトがしっかりと事業化されたものが、良いプロジェクトになっていく。そういう、課題を探そうとする視点、発見した課題をどう解決したらいいかを考える視点を、常に持って取り組んでいれば、世の中の変化に翻弄されず、むしろチャンスにすることができるのではないでしょうか。このようなマインドや視点の切り替えをしてみると、何かヒントに繋がるかもしれません。


眞田:ありがとうございます。
手間いらずをご利用いただいている約4000施設様の中でも、急な変化への対応に取り組まれている施設様がたくさんいらっしゃいます。その1つをご紹介させていただきたいと思います。


宇田川:伊豆にある、「桐のかほり咲良」様をご紹介させていただきます。この旅館さんは、ブライダル写真で有名な小野写真館が手がけられており、そのきっかけになったのがコロナだったそうです。大切な結婚式も旅行もままならない生活が続く中で、「大切な人と過ごす特別な時間」がいかに大切かということを深く深く考えられたそうです。ちょうどそのような時に、運営を手放そうとされていた一軒の旅館さんと小野社長が運命的に出会い、社長の想いも伝わって、2020年10月、小野写真館が大切に引き継いで運営されることになりました。

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現在、桐のかほり咲良さんでは、「大切な人と過ごす特別な時間」の演出を実現されています。例えば、2泊3日貸し切りのウェディングプラン。「一生に一度の大切な日を、大切な人たちと心ゆくまで過ごせるように…」という願いを込めて販売されたそうです。先日、テレビでも紹介され、弊社の担当営業が小野社長にインタビューさせていただいて、その熱い思いをお話しくださいました。私も実際に、こちらに伺ったのですが、非常に良い雰囲気で、「この場所で、大切な人と過ごせたら、すごく素敵な思い出に残るな」と感じました。

▼ 桐のかほり 咲楽様はこちら


龍崎:手間いらずさんの方から、宿泊業界に対して今後どういったアプローチをされていくのかなど、何か展望はありますか。


宇田川:手間いらずの運営を始めてから14年経ち、今、約4000施設様、累計ではもっと多くの施設様にご利用いただき、ここまで成長してまいりました。ここ数年、オンライントラベルのマーケットが急成長してきたのに伴って、サイトコントローラーの重要さも増し、これは今後もより増していくように思っています。これまでは、在庫や予約を管理するためのシステムツールという要素が大きかったのですが、今では、施設様の売り上げを上げていくようなシステムに変化してきています。まだまだ今後改善できるところもたくさんありますし、本日お話聞いていたら、改めてもっと頑張らねばと思いました。
今後は、日本だけでなくグルーバル目線でのテクノロジー進化やトレンドに敏感にならなければいけないと思っております。手間いらずは、新機能の開発やネットとの連携に強みを持っているので、施設様の理想のオペレーションを実現するための機能開発に引き続き取り組みつつ、さらに、業界全体の習慣や業態を変化させるような開発や発信にも力を入れていきたいと思っております。
今、宿泊業界は苦しい状況が続いており、なかなか先が見えないと思います。ただ、先ほど龍崎様がおっしゃっていたように、だからこそ生まれる新しい取り組みもある。我々はシステム会社なので、どうしてもシステムの目線が強くなってしまうのですが、コロナ禍の中、多くの施設で、スマートホテル化や非対面非接触のシステムの導入に取り組まれており、今後さらに急成長していくと思います。さらにその先には、2030年問題があり、日本の人口の3人に1人が65歳以上になってますます労働力が減る。そうなると、今以上にスマートホテル化、DX化の必要性が増すのではないでしょうか。そう考えると、我々のような宿泊業界にサービスをご提供しているシステムのテクノロジーの進化は、今後の宿泊業界において大切になるように思っております。


眞田:ありがとうございます。本日のお話が、何か施設様のお役に立てればと願っております。

※第1部、第2部はこちら

【CHILLNN note 編集部より】
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