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手間いらず×CHILLNN共同ウェビナー(第1部)

テーマ:旅の「目的地」になれる宿泊施設を目指して・・・

①Z世代のファン獲得について
②地域との共存で生まれる新しい宿泊形態について
③独自のスタイルを追求しているブッキングエンジンについて
④経営者としての龍崎様に、今だからこそ聞いてみたいこと
⑤これからの宿泊業界について 

※ こちらの記事は、2021年4月14日に行われたウェビナーを書き起こしたものです。
※ 本記事では第1部として、目次の①②までを掲載しています。 
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司会:眞田智子(手間いらず株式会社)

登壇者:
宇田川和久(手間いらず株式会社)
龍崎翔子・集治隆太郎(株式会社CHILLNN)
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司会(眞田):今回は、ホテル運営・システム開発をされている株式会社CHILLNNとの共同でウェビナーを開催させていただきます。今、まだまだコロナ禍が続き、また、近い将来には「2030年問題」が待ち受けているという状況です。

▼ 労働市場の未来推計 2030

その中で、宿泊需要をどのように獲得していけばよいのか悩んでおられる施設様のお声を聞いたことがきっかけで、このウェビナーを企画いたしました。

どのように現代の消費行動を捉え集客すれば良いのか。どのように未来の宿泊需要を獲得してゆくのか。少しでも参考にしていただければ幸いです

①Z世代のファン獲得について

眞田:これからの宿泊業界において、重要な顧客となっていくのが、現在20代の「Z世代」と呼ばれる方々だと考えております。「Z世代= SNS世代」と言われるほど、Z世代のファン作りにSNSは欠かせない要素です。ただ、施設様の中には、SNSに対して、二の足を踏んでおられるような方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そのような施設様が第一歩を踏み出すにあたり簡単に取り入れられるような方法、また、既にSNSを使われている施設様にもおすすめの活用方法について、龍崎様にお伺いしたいと思います。


龍崎:そもそも、「なぜSNSを使わないといけないのか」というところで、私の考える、SNSの2つの側面についてお話ししたいと思います。


1つ目は、「口コミ」と同じような側面。SNSは、いわば「おしゃべり」をするためのツールだと、私は捉えています。これまでは「会った時にしゃべればいいや」と思われていたところ、現代の若者、Z世代は、「会わない時でもおしゃべりしたい」という気持ちで、SNSをしているんです。そう考えると、SNSは「口コミ」と同じような機能を持つと言えます。
もう1つは、ウェブページ・公式サイトに近い側面。皆さん、普段からおしゃべり感覚でSNSを使われているので、「〇〇について知りたい」と思ったら、真っ先にSNSの中で検索をかけて調べます。そういう意味でGoogleやYahooのような側面を持っていると言えるのです。
まず、この2点を頭に置いていただければと思います。

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SNSにも色々ありますが、どれを活用したらいいのかは施設様によって違うと思います。私たちは(L&Gグローバルビジネスのホテルにおいては)、主にツイッターとインスタグラムの2つを使っています。なぜかというと、私たちの場合は、ツイッターやインスタグラムのメインユーザーである10〜30代のお客様が多いからです。フェイスブックを使っておられる施設さんもいらっしゃると思います。ただ、フェイスブックのメインユーザーは、4、50代の方々なので、私たちにとっては、ツイッター・インスタグラムに比べると優先度の低い媒体になってしまうのです。他にも、YouTubeやTikTokなどに挑戦しようという施設様もいらっしゃるかもしれませんし、ご自身に合った媒体や使い方を、トライアンドエラーしながら発見していただければと思います。
ただ、ユーザーが多く、かつ、効果的な運用方法のメソッドがある程度出来上がっているようなSNSが、初めとしては取りかかりやすいと思うので、これからSNSを始めるという方は、ツイッターかインスタからスタートしてみるのが良いのではないでしょうか。


では、ツイッターとインスタグラムの具体的な活用方法についてお話ししていきます。私たちは、この2つを大きく使い分けて運用しています。
まず、ツイッターは、言語情報が主となる媒体なので、その人の個性や人柄が出やすいです。そういう意味で、経営者や従業員の方が、個人のアカウントとして活用するのがいいのではないかと思います。例えば、私たちの会社には、ツイッターをオフィシャルに使っているメンバーが、私以外にも15名ほどいます。私はフォロワー6万人ぐらいですが、メンバーも、フォロワー数千人の人が多く、2万人を超えているようなメンバーも数人いますね。私経由の発信は、あくまで私の主観です。宿は、たくさんのスタッフ一人ひとりが集まって作り上げているものなので、スタッフそれぞれの目線、人柄、個性をベースに発信して、ファンを増やしていきたいと考えています。そういう、宿を中心としたネットワークやコミュニティを作っていく上で、ツイッターは力を発揮するSNSなのです。メンバーがつぶやいている内容は多種多様で、ホテルのことをつぶやく日もあれば昨日見た映画についてつぶやく日もあったりと、それぞれ自分の生活について、仕事もプライベートもホテルのことも織り交ぜながら発信しています。

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一方、インスタグラムは、視覚情報がメインとなる媒体なので、イメージをしっかり作り込むことが大事です。ツイッターのように日記的に使ってしまうと、統一感がなくパッとしないアカウントになってしまいます。インスタグラムでは、ビジュアルを起点にホテルの魅力や世界観を表現して投稿していくということに重きを置いており、アカウントを見にいくとまず表示される12枚の写真を一目見ただけで、ホテルのイメージが一瞬で湧くように作ることが大切です。そのためには、インスタグラム運用にはしっかり担当者をつけて計画立てて行う必要があります。

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宇田川:ツイッターで、つぶやく回数というのも、重要だったりするのでしょうか。


龍崎:回数そのものより、継続してつぶやくことの方が重要かと思います。1日3回くらいの、ほどよい回数でつぶやき続けると良いのではないでしょうか。2、3日つぶやかないと、フォロワーが減っていたり、次につぶやいた時に反応が良くなかったりするのを感じることはありますね。


宇田川:インスタグラムの場合、プロのカメラマンが撮った写真を載せるよりも、素人っぽい写真を載せた方が良い、と聞きます。それは、ハッシュタグ検索したときに、実際に行った人たちが撮った写真の方がリアリティがあって魅力的に見えたりするからかと思います。この点に関して、施設様がSNS始めるにあたっては、やはり、プロの綺麗な写真だけでなく、もう少し親しみの湧くような素人の写真も載せた方がいいのでしょうか。


龍崎:難しいところですが、「素人による素人の写真」よりは「プロの写真」の方が良いです。でも、1番良いのは、撮るのがうまい素人、いわば「プロ素人の写真」だと思います。「素人による素人の写真」と、「プロ素人の写真」って、結構大きな差があるんですよね。いわゆるインスタグラマー的な活動をしている方やトンマナを理解している若い女性の方など、プロ素人が社内にいらっしゃるのであれば、その方が撮って載せるのが良いと思います。ただ、そういう人が身の回りにいない場合、インスタグラムに素人の方が撮って載せても、どうしてもZ世代には響きにくくなってしまうので、それなら、プロの撮った写真を載せた方が良いのではないでしょうか。

②地域との共存で生まれる新しい宿泊形態について

眞田:コロナの影響もあり、今、宿泊施設の運営には大きな変化が求められています。その中で注目したいのが、ここ1年よく耳にする「マイクロツーリズム」、つまり、地域との共存です。先ほどのZ世代にも注目されている旅行スタイルである、「コト消費」にもマッチしたスタイルではないでしょうか。


HOTEL SHE, さんでは、コロナ禍以前から、宿泊体験に「地域との共存」を率先して取り入れておられたということですが、どのようにして取り組まれてきたのか、また、お客様や地域の方々の反応についても教えていただければと思います。


龍崎:私たちがホテルを始めた当初、インバウンドの方が非常に多く、特にHOTEL SHE, KYOTOを始めた2016年は、95%ぐらいがインバウンドのお客様でした。素敵な方々ばかりで、たくさんの良い思い出がありますが、一方で、外国の方々がまた来てくださるか、あるいは母国の友達に紹介してくださってその友達が来てくださるか、と言われると、期待はできませんよね。そう考えると、事業をする上では、地元地域に密着していくことが重要だと思ったのです。
2017年にオープンしたHOTEL SHE, OSAKAでは、日本人の方の割合が80〜90%にまで上がりました。その時、偶発的に宿泊プランとして始めたバースデーのお祝いプランが好評で、関西圏のお客様にもたくさんご利用いただけるようになったんです。


地域の方にホテルを好きになっていただければ、例えば梅雨や冬といった観光の閑散期や災害時など、遠くのエリアの方に来ていただけない時でも、近隣の地域の方が泊まりに来てくださります。そのような地域と共存するホテルになれると、経営も非常に安定しますよね。
また、ホテルが旅行者の為だけではなく、いちサードプレイスとしても機能できたらより面白いなと考えるようになり、色々なことに取り組んできました。例えば「HOTEL SHE, KYOTO」では、詩人・最果タヒさんやイラストレーター・たなかみさきさんとコラボして企画したり、「HOTEL SHE, OSAKA」で平成最後の夏の日に宿泊型のオールナイト音楽イベントを開催したり。それらには、遠方からだけでなく、近場や関西の日帰りできる距離からもたくさんのお客様が足を運んでくださいました。そのようにして、地域のお客様が定期的に泊まりに来てくださるような仕組みを作ることで、色々な側面で大きなメリットがあることを実感し、私たちは地域と共存するような宿泊体験づくりに力を入れるようになったのです。


地域共存型のお宿に取り組まれている事業者さんは、他にもたくさんいらっしゃいます。例えば、私たちも仲良くさせていただいている、岡山の「DENIM HOSTEL float」さん。もともと、地域でデニムのブランドを運営されていたご兄弟が始められたお宿さんで、着なくなった自分の服を藍で染め直すような体験や、地域の素敵なカフェを貸切にできるプランなどを作っておられ、岡山・瀬戸内地域の方々もたくさん泊まりに行かれています。


宇田川:そのような特色ある施設様同士のコミュニティは多いのでしょうか。


龍崎:そうですね。数年前までは、私たちのような新しいホテル業界では、みんなが各々で頑張ってるような感じだったのですが、最近は、経営者やスタッフ同士で交流して、お互いに学び合ったりするような動きも増えているように思います。


眞田:地域と共存することで、施設様にとっては近隣地域のファンを獲得できたり、また、施設様の繁栄が地域の繁栄に繋がったりと、色々なメリットを生むのですね。私も、地域と共存されているような施設様に、積極的に足を運びたいと思います。

※第2部、第3部はこちら

【CHILLNN note 編集部より】
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