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現状の日本政府の大麻に対する姿勢を分析してみた

1/20に厚生労働省医薬・生活衛生局 監視指導・ 麻薬対策課が「第一回大麻等の薬物対策のあり方検討会」という討論の資料が公表され、その中から現状の日本政府の大麻に対しての認識と今後の方向性について、僕なりの考察をしたいと思います。書くモチベーションとしては、メディアやTwitter上で各方面の方々が様々な観点から部分的に論じられているのを見て、自分の中で一度政府の姿勢を包括的に把握した上で、自社としてどういうスタンスを取っていけば良いか言語化したくて書いてるだけなので、ちょいちょい考察足りない部分もあるかもですが、ご了承くださいませ〜

参照: 第一回検討資料

今回の討論の結論

1. 嗜好用大麻は完全禁止

2. 医療用大麻の一部解禁

3. CBDは議論の対象外

上記の結論に至ったロジック

今回の討論のアジェンダは以下でした

1.薬物対策の現状と課題
2.薬物関連法制の現状と課題
3.国際的な動向
4.麻薬取締部の現状と課題

1.薬物対策の現状と課題
スライドとしてはまず違法薬物の中でも特に大麻の検挙数、押収量、密輸が増えてきていることが述べられており、覚せい剤の検挙人数が減ったことから政府としては障害経験率が他の違法薬物よりも高い大麻を特に30歳未満の若者で蔓延している状況を解消したいという意図が伺える。


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【チル兄考察】

確かに大麻の検挙人員は右肩上がりに増えてるが、一方で覚醒剤の検挙数が減ってるのも明らかで、これは取締強化による成果とも受け止められるが、そもそも30歳未満の若者に大麻が蔓延している事実を見ればそもそも若者の中で覚醒剤は本当に手を出してはいけないという事実がそもそもの需要を抑えていてその反動として大麻に流れてきている可能性が高い。この場合大麻の取締を強化することによって、覚醒剤への需要が上がるのではないかという懸念はある…

2.薬物関連法制の現状と課題
目次の2ではそれぞれの違法薬物の具体的な説明とその比較から始まり、現状大麻の使用に対する罰則がない、覚醒剤に比べて実刑期間が短いことが指摘されている。そしてこれが今Twitterでかなり議論が巻き起こっている点である。(記事リンク

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この使用罪に関してはまだエビデンスが少ないのであまり論じることは難しいので推測ではあるが、これまで現行犯逮捕もしくは家宅捜索による物理的証拠を抑えることでしか逮捕が出来なかったが、もし使用罪が追加されれば尿や髪の毛などの身体検査、更に過去の発言などでも逮捕が出来るようになる可能性がある。目次1の前提条件と、この使用に関する法的措置のスライドから結論1で挙げた30代未満で蔓延する嗜好用大麻の完全禁止に向かって検挙数を上げるための法律改正をしていきたいという政府の意図が伺える。

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またCBDについての見解として

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○大麻に含まれる主な成分
THC・・・幻覚等の精神作用を示す成分。化学合成されたものは、麻薬
として規制。
CBD・・・物質としては規制されていない。

物質として規制されていないという文面から、CBDという成分は既に規制対象外で、これ以降討論の余地がないためCBDは議論の対象外と推測した。

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そして最後に医療大麻に関してEpidiolexが言及されており、現状の大麻取締法で種茎以外から抽出されたCBDは輸入が禁止されており、恐らく政府としては米国で認可された薬品であれば問題ないだろうという観点で、国外で製造された既に他国で認可のある茎や種子以外から抽出されたCBDも認可するという結論2の医療用大麻の一部解禁を進める方向性が伺える。ただしこれは自国で栽培して医療用大麻製品を製造するのではなく、あくまで他国で認証を受けた医薬品の輸入を許可するための部分的解禁となる可能性が高い。

【チル兄考察】

【参考文献】「薬物乱用・依存等の疫学的研究及び中毒性精神病患者等に対する適切な医療のあり方についての研究(主任研究者:和田 清)研究報告書」平成10年度厚生科学研究費(医薬安全総合研究事業)/ スライド 17

まず各薬物の依存性などの比較を23年前に国内で研究されたデータを元に論じているが、現状の他国の最新の研究結果を元にしていないため根拠が古い。後のスライドにも出てくるが昨今の各国の大麻合法化や国際機関の条項の変更は近年の研究結果によって得た科学的根拠による変化を起こしている中で日本政府がその最新の情報をキャッチアップできておらず、世界の流れに逆行してしまうのはこの理由なのではないかと思う。

大麻取締法上、「樹脂」の定義が定められておらず、規制対象が不明瞭との指摘がある。 / スライド21

次に大麻取締法の中でこの「樹脂」の定義が定められていないという指摘があるとのことだが、そもそも種子や茎など大麻草の部位を規制する大麻取締法は日本のみが世界で唯一規定しており、世界基準となっているTHC濃度という概念を含めずに法律改正を進めようとしているのも世界の流れと反する。今回の有識者検討会の座長に湘南医療大学の鈴木勉特任教授が選ばれ、そのコメントとして「大麻は多くの成分が含まれている。大麻がいいか悪いかではなく、その成分に着目して議論していく必要がある」と述べたのはまさに的確だと思うので、その点を踏まえた上での検討を強く願いたい。

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3.国際的な動向

目次3はCND(国連麻薬委員会)で大麻の規制のカテゴリーを変更された事実や、 アメリカでの嗜好用大麻の連邦法案で可決されたという事実を述べているものの、自国としては国際的に反対のスタンスを取っており、他反対国の意見や、現状国際条約に反するとされるカナダ、ウルグアイ、米国に対するINCBの見解が紹介されており、あくまで日本は国際条約の中では中立的なポジションを取っているという点が強調されている。

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【チル兄考察】

日本政府としては恐らく自国で大麻の研究を進めていこうという姿勢はなく、あくまで国際情勢の流れに合わせた法律改正を出来るだけ現行の法律を変えないで進めていきたいという意向が見られる。

4.麻薬取締部の現状と課題

現状の取締体制の中で大麻取締の人員を増やし、取締を強くしていくという点や過去の取締の成果に関して述べられているだけなので深堀りするのは割愛する。

総論

今回の検討が開始されることに関しては、これまでのように先の見えないそのばしのぎの改正が続くより、だいぶマシではある。
ただコロナに対する政策もそうだが、本当に国民の命や生活を守るために現状起きている課題に対して正面から解決していくのではなく、世界情勢に沿った他国の事例を形式だけ真似て、結果として事後対応しか出来ない政府には正直もうチルじゃなさすぎて呆れている。
ただ現状僕がそれを嘆いていたとしても、既に大麻のダイナミックな世界市場の変化はNowで起きているので、一民間企業として世界の動向に合わせて国際競争力を損なうことなく、着実に一人でも多くの人が本質的に幸せになれるチルな世界を創っていければと思います。

株式会社Chill&Heaven 代表取締役 坪井稜真

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