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句集「にれかめる」の鑑賞

庭に出た途端、すぐに11箇所も刺され
蚊に愛されているちりです。

そのすぐ横には
愛亀のチリちゃんが元気に歩いています。

うーん…じゃあ、仕方ないか😅


というような、
生き物への愛や想いを詠む
俳人さんはいっらしゃるのだろうか…

と以前から思っていました。

猫の句はよく見かけますが
それ以外の生き物は
あまり見ないような…🤔

と思っていたら、発見しました!
(私が勉強不足で知らなかっただけ)

鈴木牛後さんという俳人さんは
たくさん牛の句を詠まれるそうです。

俳号に牛が入っているので、
かなりの牛愛を感じます。

愛亀のチリちゃんの名を拝借して、
自分の俳号にした私は
恐れ多くも、親近感を持ちました😄

そして、ある日、
こちらの句に目が留まりました。

牛死せり片眼は蒲公英に触れて 鈴木牛後

牛が死んでゆく情景が
ありありと想像できます。

その横には死とは真逆の
今まさに生きている、たんぽぽ。

それによって、
死が暗い印象になっていません。

片眼が触れているたんぽぽが
その死を受け止め、
弔うような優しさを感じました。

悲しくも美しいシーンで
素敵な句だと思いました。

そして、いつものごとく
早速、句集を読みました。

鈴木牛後さんの
句集「にれかめる」✨


表紙はもちろん牛。

版画のような黒一色のイラストが
とても格好良くて、好きです💕

今回も好きな句がたくさん。

その中で五句を
鑑賞させていただきます。

一句目

花を見ぬ牛と花見をしてをりぬ

花見を楽しむ人間に付き合って
静かに横にいる牛を想像しました。

花を愛でるのは人間だけで
牛にとってはただの花。

でも、一緒にいる牛と人間との
優しい時間が流れています🥰

花・見のリフレインも「ぬ」の韻も
どちらも自然で優しい調べ。

穏やかな優しい句だと感じました✨

二句目

永き日やばふうと深き牛の息

牛もやるべきことを終え
長かった一日を
振り返っているのでしょうか。

人間がため息をつくように、
牛もため息をついているようで
面白い句です😊

ばふうというオノマトペも
まさにそんな感じでぴったりです。

人間だけでなく、どんな生き物も
一日一日を一生懸命生きている。

そんな気にさせられる一句でした。

三句目

干草を吸ひ込むやうに喰うて牛

「吸い込むように」という表現が
とてもリアルで好きです。

きっとかなり
お腹が空いていたのでしょう。

確かに愛亀のチリちゃんも
好きな食べものは
吸い込むように消えます😆

とてもよく観察されていて
状況が良く見えました。

こういった光景も句にできる
という学びになりました。

四句目

牛の名は女優の名前ゑのこ草

一頭ずつ名前をつけていく中で、
女優の名前をつけられた牛がいる。

それだけでも面白い句です😄

私も以前、
蝿に名前をつけたことがあり、
親近感が湧きました✨

どんな名前なんだろう。

エノコログサ(猫じゃらし)のように
ふんわりした優しい名前かな?
どこにでもあるような名前かな?
ゑのつく女優さんの名前かな?

そんな想像をして、楽しい句です。

五句目

牛生まる月光響くやうな夜に

出産は月の満ち欠けに関係がある
と聞いたことがあります。

特に満月に出産が多いとか。

でも、月光響くやうな・・・夜です。

仔牛が誕生したのは
満月ではなかったと思います。

でも、新しい命の誕生は
満月でなくても
神秘的で素敵なこと✨

仔牛そのものが満月のように
光かがやく存在だったことでしょう。

生命の美しさのようなものを
感じる句だなと思いました。


以上、好きな五句でした。

牛以外にも
蜘蛛や蝶、猫、山羊なども
詠まれています。

全体を通して、動物や生き物の
生と死を感じる句集でした。

そして、牛だけでも
こんなに詠めるなんてすごい!
と純粋に思いました。

やはり好きなものを詠むのが
一番ですね。

私も愛亀のチリちゃんを
詠みたくなりました💕

それには、やはり観察。

ということで、
寝ているチリちゃんを
見に行ってきまーす😉

良い刺激や学びがあり、
タイトルのように
何度も反芻して読みたくなる
素敵な句集でした✨

ありがとうございました。

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