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句集「シーグラス」の鑑賞

俳句を始めてから、
心穏やかに過ごせているちりです。

疲れたり、辛いことがあっても
俳句は癒しや楽しさ、喜びをくれます。

先日も嬉しいことがありました。

いつか買いたいと思っていた
句集をいただきました💕

それは…

金子敦さんの
最新句集「シーグラス」✨


これは本当に感動ものです🥺

今日の暑さを和らげるような
白と水色の爽やかな表紙。

そして、帯にはこちらの句。

ゆく夏の光閉ぢ込めシーグラス

夏の終わりは物悲しさがありますが
その楽しかった夏を
シーグラスに閉じ込める。

なんて素敵な表現🥰

きっとシーグラスを見るたびに
その光から夏の楽しさを
思い出すことでしょうね。

夏の終わりにも関わらず
ポジティブに感じられます。

最初の素敵な句で
中身の期待感もさらに高まります。

そして、当然、
今回も好きな句がたくさん💕

俳句歴の浅い私ですが、
五句、鑑賞文を書いてみました。

一句目

蜜柑描きクレヨンの先丸くなる

蜜柑の絵を描いてるのは
子供でしょうか。

橙色のクレヨンが鮮やかに
脳裏に浮かびます。

先が丸くなるほど
一生懸命に絵を描く姿が見え、
蜜柑の丸みさえも感じられます。

そして、
なぜかこたつに置かれた蜜柑を見て
絵を描く子供を想像しました。

どこにも書かれていないのに
そんな想像をしてしまうのが
脳の不思議&俳句の不思議ですね😊

二句目

強面が金魚一匹提げて来る

怖そうな人には怖そうなもの。
かわいい人にはかわいいもの。
優しそうな人には優しそうなもの。

そういう固定概念のようなものは
誰しもある程度あります。

その予想を外れたとき、人は驚きます。

金魚を持っていたのが
子供ではなく、強面の人だった。

その驚きには共感性があると思います。

すると次に、
なぜ強面の人が金魚を持っているのか
という疑問が出てきます🤔

もしかすると、
かわいいもの好きかもしれない。
ボスに頼まれたのかもしれない。
娘や息子のために買ったのかもしれない。

すべて言い切れない/言わないからこそ
こうして想像させられます😄

それが句の奥行きなのですね✨

シンプルに見えて深い句です!

三句目

つんつんと台風つつく予報官

こちらはユーモアのある句。

確かにテレビで予報官が
指し棒などでつんつんと指し示します。

最近は、風や気圧のマークなど
スタンプのようなものをつけたりして
天気の解説をしますね。

たくさん書き入れていると、
(私だけでしょうか)
ちょっと笑ってしまいます😆

台風をつついている様子は
まるで早く去ってくれという
雰囲気にもとれて面白いですね。

「つ」のリフレインも楽しく、
つんつんというオノマトペもひょうきんで
とても楽しい句で好きです💕

四句目

エッシャーの階段上りゆく朧

ついこの前の
俳句生活の兼題が「朧」でした。

天地人選の方々の句を見ても
掴みきれずに難しいと思っていた
季語を使われた句です。

エッシャーはだまし絵のような
錯視を利用した作品が有名ですね。

「ペンローズの階段」という作品は
階段を上っても上っても
頂上に着かない不思議な作品。

これがまさに朧なのでしょうね。

季語と響き合っていると思います✨

エッシャーは
無限を有限に表現しようとしました。

敦さんの句では
朧という季語を分かりやすくしてくれた
ような気がします。

ありがとうございます🙏

五句目

バトンパスのやうにバナナを渡しけり

先日、夫にバナナを渡すとき
まさにバトンパスのように渡したので
すごく身近に感じました😄

でも、それを句にできるなんて
まったく思いませんでした。

身近な出来事でも
こうして素敵な句になる
という良いお手本ですね。

バトンとバナナの「バ」の
リフレインも効いています。

切れ字の「けり」から、
渡してやったよ
という雰囲気を感じました。

バトンパスはリズムが大事です。

走り始めている人が
バトンを受け取った瞬間に
速度をあげます。

バナナの場合も
きっと食べる準備万端ですよね。

ということは、渡された瞬間に
もう食べ始めているかもしれませんね。

切れ字けりは過去の断定なので、
断定している間に
もしかすると食べ終わっているかも?🤣

なんてところまで、
想像するのは行き過ぎでしょうか。

切れ字だけで、
句の外の時間経過まで想像できるのは
楽しいですね。


以上、好きな五句、
いかがでしたでしょうか。

五句に絞るのが大変でした💦

あれもこれもまだまだ
素敵な句がたくさんあります。

今回も新たな学びや気づきがあり、
やはり俳句は詠むと読むの両方が大事だ
と改めて感じました。

素敵な句集をありがとうございました🥰

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