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饒舌でドヤ顔、ゴルゴ13は●●ネーム、初登場はまさかの●●●●姿! 「ゴルゴ13」第1話を読み直してみたら衝撃だった/エンタメリカレント「1周回って知らないゴルゴ13」


日本のマンガの中でも既刊数の多いマンガといえば「こち亀」と「ゴルゴ13」というぐらい長期連載のマンガとして有名な「ゴルゴ13」

コロナ第1波の緊急事態宣言時はさいとうたかを先生以下、スタッフの皆さんの健康第一を考慮し、ゴルゴ13連載開始依頼初の休載がニュースになったぐらいの伝説のマンガです。

どんな困難な依頼でもミッションを遂行する謎の狙撃手(スナイパー)
し、
「ゴルゴ13」と呼ばれるが本名から素性から何まで不明の男。世界各国の政治情勢や紛争をテーマに描かれることが多いほか、女性との性描写のシーンも狙撃と同じぐらい描かれている「正真正銘大人のマンガ」です。

テーマごとの読み切りで十分なこのマンガはテーマごとのコンビニ読み切り版としても人気なようで、いつも時事ネタに近い過去の事件のものを含むぺーバーバック版が出されることでもお馴染み。

そんな「ゴルゴ13」の第一話ってどんな事件だったのか?
すっかり忘れていたので、愛蔵版の文庫タイプではあるが引っ張りだして
読んでみたらまたもや衝撃の事実が出てきました。

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初登場はまさかのブリーフ姿!


「ゴルゴ13」の登場といえばイメージは依頼人の背後から気配を消して登場と相場は決まっていますが、なんと長い連載の中で栄えある第1巻第1話「ビッグセイフ作戦」では、予想外の姿で初登場しています。

しかもPART01「狙撃者は!?」の前のまさに初登場シーン

売春宿の窓から外を寡黙に眺めるゴルゴ13
しかしそのいでたちはまさかのブリーフ一枚。


男女の営みの一戦交えた後の一服をしながらとはいえ、まさかの恰好での初登場です。さらに衝撃的な展開は続きます。

起き上がってきた飾り窓の売春婦にいきなり暴力をふるい
騒ぎを通報されかけつけた警察にあっさり取り囲まれて、ジ・エンド的に
立ち尽くすシーンで最初のチャプターが終わります。

この間、セリフらしいセリフはないのですが、それがおなじみの「・・・・・。」

という冷静沈着な様子のほかに

「うっ」「ちっ」の繰り返しが多用され、今のゴルゴ13には想像もつかない慌てっぷりが印象的です。


数えてみたら、

「・・・・・。」2回

「うっ」2回

「ちっ」2回

とまさに互角。捕まってここでは終わらないとはわかってはいるものの、初登場で捕まるわ、その際に戦略で捕まったとは思えない狼狽ぶりを表に出しているわ、予想もしないシーンの連続で衝撃でした。

その後、何を思ったのか、ちょっと鼻につくぐらい、異常なまでに自分が思っていることを、語しはじめます。
英国諜報部(グレートブリテン・サーカス)とのコンタクトの場所に用心して訪れず、彼らのアジトに現れ、

「俺をやとったのは、あんただろうね!?」と話しかけ
→(セリフに「?」が入ってるけど、もし違ったら赤っ恥もいいところです)

「案内なしによくここがわかったな!?」との問いにも
「おれのことをあんたたちが調べたように、おれもやとい主についてはうたぐってかかるようにしている。わなも多いし、仕事のあとで、いやな思いをしたくないのでね」

「だからまっすぐ案内人にはついてこないで案内人の車に道案内してもらったというわけさ」と自身の考えやら手の内あかし、その後も一足先にゴムボートで上陸していたとか
ペラペラと手口を披露してしまう軽率ぶり。余計なお世話ですが心配しちゃいます。

そしてお馴染みのゴルゴ13の後ろに立つことはNGというエピソードについても、説明なしでぶん殴って銃を向けた上で

「おれのうしろに音もたてずに立つようなまねをするな・・・」「おれはうしろに立たれるだけでもいやなのでね」

と、これだけ饒舌なら最初に説明すればいいじゃん!とツッコミさえ入れたくなる始末です。

最後に前金の受け渡しの際も
「たしかに 領収書はいらないだろうね」
→(そんな細かい確認、ゴルゴ13にしてほしくないっ!)
という器の小さい感じが否めないまま、物語は進んでいきます。

注文した分解された銃が届き、組み立てて標的に構えたところでも
「お花つきの2インチ機関銃らしいな・・・ フフフ・・・まだ戦時中のつもりでいるらしい・・・」とか

「しかし・・・こいつはちょっとした城おとしだなっ。」

とか無駄口の多いこと。

物語の後半は見事に寡黙なスナイパーとしての任務を果たすのですが、
それでもちょっと目を離すとすぐ饒舌になります。

「きつつき」こと自称「ウッドペッカー」として協力を申し出た女性に対して
「美人アシスタントくん、すぐセスナを1機、チャーターしてもらおうか」
相手を間違えたらセクハラまがいの台詞でミッションを開始します。

さらに、その「美人アシスタントくん」に裏切られて銃を向けられると、

「ほう、イギリスさん 金が惜しくなったとでもいうのかい?」
「しかし・・・こんな所でうったのじゃあホテルじゅうさわぎだすぜ・・・」
と喋る、喋る。

そして銃撃戦を制した後にも
「人を殺す時にはつまらんおしゃべりをしている間に引き金を引くことだ」
とどの口がいうとツッコミ満載の台詞をはきつつ、自身のミッションではない金庫の爆破のボタンを渡して

「それじゃあな 美人のアシスタントくん…」

と背中に「ドヤ顔」の文字が透けてみえるほどの饒舌ぶりで去っていくゴルゴ13に空いた口がふさがりませんでした。

そんなところまで聞いてないよと思ってしまうくらいの初エビソード「ビッグセイフ作戦」のゴルゴ13.でもその後、1巻の間は饒舌さは続くのですが、次第に余計なことは口にしなくなります。人間誰しも学ぶんですね。

いい意味でゴルゴ13に共感を覚えました。

思い込みだったものが実は異なる事実だったこともあり
新しい発見と学びがあるなと感じたゴルゴ13初登場エピソードの「リカレント」でした。またいつかゴルゴ13についてもテーマごとに「リカレント」できたらと思います。

それではまた。


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