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UP DATE-知識の更新-

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医学は常に進歩する。今日得た知識が明日には死ぬかもしれない。このマガジンは理学療法についての知識を更新していくためのもの。
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記事一覧

大腿筋膜張筋(TFL)は悪者ではない

今回は大腿筋膜張筋(以下,TFL)について学んでいきたいと思います。 突然ですが、あなたはTFLについてどんなイメージを持っていますか? Knee-out(膝内反)で過緊張することが多い TFLの過緊張により大腿外側部に疼痛が発生する 中殿筋MMT評価時にTFLの収縮で股関節屈曲の代償動作が出現する これらのイメージがあり、悪者にされる場面が多くある印象です。(私だけが思っていることかもしれませんが…) こういった印象からリラクゼーションなどを行い、筋緊張を緩めよ

中殿筋-前部線維と後部線維の重要性

中殿筋は片脚立位保持や歩行において骨盤側方傾斜を制動して安定させる重要な筋である。 しかし、臨床では中殿筋の前部線維と後部線維を一括りに訓練しているセラピストが数多くいる。 前部線維と後部線維と分けながら考えることで中殿筋の訓練がより効率的になると考えられるため、今回は中殿筋についてまとめていきます。 中殿筋の起始停止 起始:腸骨翼の殿筋面、腸骨稜外唇、殿筋腱膜 停止:大転子の外側面 中殿筋の作用 中殿筋は最も強力な股関節の外転筋である。 筋線維は上図のように前部

大腰筋の機能解剖-正しい姿勢を保持する最重要筋-

大腰筋は姿勢や動作に大きく関与する筋である。 筋の形状からして動作分析時に欠かすことができない筋となると考えられる。 しかし、大腰筋についての文献は少なく古いものが多い。 また、国家試験の出題率も極めて低い。 重要な筋であることは間違いないのですが、謎が残る筋の一つです。 文献を集め大腰筋についてまとめてみました。 起始停止 起始:浅頭 T12〜L5の椎体ならびに椎間    深頭 すべての腰椎の肋骨突起 停止:大腿骨小転子 上図のイラストは腰部を水平面からみた断面

「統合と解釈」を制す者は「臨床」を制す

皆さんは「統合と解釈」という言葉をご存知ですか? 私は学生の頃に実習先でこの言葉を知りました。 理学療法評価過程で何が一番大事であるかと問われると、セラピストの多くは統合と解釈であると返答するものが多いと言われているほど。 しかし、統合と解釈についての報告は少なく、分かりやすくまとめているサイトも少ないのが現状です。 また、セラピストによって少し考え方が異なっていたりするので、一概にこれが正解であると言うことは難しいと思います。 統合と解釈について、以下の文献や参考書

骨盤後傾-骨盤肢位による筋活動の変化を深く追求-

よくリハビリテーションでは骨盤後傾している患者をみます。 骨盤後傾していると何が良くないのでしょうか? 「臀筋や腹筋の収縮が入りにくい」 「腰椎の前弯が減少する」 これらがよく挙げられていますが本当にそうなのでしょうか。 また、骨盤後傾による影響はどれほどのものなのでしょうか。 今回このようなことが気になったので文献を探して調べてみました。 骨盤後傾が股関節外転筋の筋活動に与える影響 骨盤後傾により中臀筋の筋出力が低下し、歩行時の股関節側方不安定性に関与するのは、よ

内閉鎖筋-股関節安定性に寄与する縁の下の力持ち-

はじめに 今回は内閉鎖筋について学んでいこうと思います。 「内閉鎖筋」と文献を検索しても、文献の数が少ない印象です。 その数少ない文献や参考書(キネシオロジー等)から色々な情報を集めてみると、 内閉鎖筋の重要性に気付かされました。 明日からの臨床では、 深層外旋六筋を一括りに考えてしまうことも無くなるでしょう。 それぞれの筋に別々に治療していくことが外旋筋へのアプローチ効率化に繋がると考え、今回内閉鎖筋についてまとめていこうと思います。 起始停止/作用 起始:閉

大殿筋-上部線維と下部線維の重要性-

大殿筋は人体最大の体積を有する筋です。 歩行動作等に欠かせない筋となります。 あなたは大殿筋についてどれくらい説明が出来ますか? 今回大殿筋について最低限知っておいた方が良い知識を自分なりにまとめました。 私は大殿筋について説明しようと思ったときに自信が持てない部分がありましたので、勉強し直したことをここにまとめました! 起始停止 まずは起始停止からみていきましょう。 起始:腸骨稜、上後腸骨棘、胸腰筋膜、仙骨(後面外側部)、尾骨 停止:腸脛靭帯、殿筋粗面 そして