韓国国家人権委員会、芸能界で働く子どもの人権保障を強化するよう勧告
韓国国家人権委員会(人権委)は、4月14日、芸能界で働く子ども(児童・青少年大衆文化芸術人)の人権保障を増進させるための措置をとるよう、文化体育観光部長官と教育部長官に勧告しました(5月4日発表)。
★韓国国家人権委員会:아동·청소년 대중문화예술인의 인권 증진을 위한 제도개선 권고 - 휴식권 및 수면권, 건강권, 학습권 등의 기본권을 보장하고 권리구제 절차를 강화하여 아동인권에 대한 인식 제고해야 -(児童・青少年大衆文化芸術人の人権増進のための制度改善を勧告-休憩権・睡眠権・健康権・学習権などの基本権を保障し、権利救済手続を強化し、子どもの人権に関する意識向上を)
https://www.humanrights.go.kr/site/program/board/basicboard/view?menuid=001004002001&pagesize=10&boardtypeid=24&boardid=7607933
芸能人の労働環境の改善、とくに女性芸能人に対する人権侵害の防止などを目的として2014年1月に公布された大衆文化芸術産業発展法には未成年の芸能人の権利を保護するための規定も設けられていますが、人権委が2020年に実施した実態調査によると、このような子どもが依然としてさまざまな人権侵害を受けていることが明らかになりました。人権委は、たとえば次のような実態を挙げています。
このような結果を踏まえて人権委が行なった勧告は、大要、次のとおりです。
【文化体育観光部長官に対して】
〇 現行では週40時間まで認められている15歳以上の児童・青少年大衆文化芸術人の役務提供時間を、15歳以上18歳未満の者について勤労基準法で定められている週35時間の範囲内に制限するとともに、夜間の役務提供(午後10時~午前6時)は翌日が学校の休日の場合に限定するなどの方向で、大衆文化芸術産業発展法第23条の改正を推進すること。
〇 児童・青少年大衆文化芸術人の役務提供時間を、年齢による成長発達段階の特性を考慮して細かく分類し、それぞれに応じた1日の役務提供時間の上限を明示する方向で、大衆文化芸術産業発展法第22条および第23条の改正を推進すること。
〇 「児童・青少年大衆文化芸術人人権保護ガイドライン」を定めて次の事項を盛りこむとともに、 大衆文化芸術事業者がガイドラインの履行のために負担しなければならない費用を支援すること。
(1)大衆文化芸術企画業者は「児童保護責任者(仮称)」を置き、児童・青少年大衆文化芸術人の安全と健康を管理する。
(2)大衆文化芸術制作者は、制作中に度を超えた露出行為や過度に煽情的な表現行為などがある場合、児童・青少年大衆文化芸術人およびその親権者または後見人に十分な事前説明を行なって同意を受けること。
(3)児童・青少年大衆文化芸術人が保護者といっしょに滞在できる待合室を制作現場に設けること。
(4)児童・青少年大衆文化芸術人を対象として安全教育を行なうこと。
〇 児童・青少年大衆文化芸術人が大衆文化芸術事業者・従事者から人権侵害や差別を受けたときにとることができる申告・権利救済措置およびその手続を明示する方向で、大衆文化芸術産業発展法第24条の改正を推進すること。
○ 大衆文化芸術企画業者等が毎年受けなければならない講習課程に、大衆文化芸術産業発展法に規定された児童・青少年大衆文化芸術人の人権に関する内容を含めるとともに、講習対象を、児童・青少年大衆文化芸術人と大衆文化芸術用役契約を締結した大衆文化芸術企画会社所属職員、大衆文化芸術制作者およびその所属職員にまで拡大する方向で、大衆文化芸術産業発展法第29条および同法施行規則第1条の2第2項の改正を推進すること。
【文化体育観光部長官と教育部長官に対して】
○ 児童・青少年大衆文化芸術人が役務を提供する間に基礎学力の未達や学習欠損が発生しないよう、大衆文化芸術用役契約を結んだ児童・青少年大衆文化芸術人の学習権保障に関する事項を含む、基礎学力保障法第5条に基づく「基礎学力保障総合計画」を策定すること。
芸能界で働く子どもの権利保障措置としては必ずしも十分ではないのではないかという気もしますが、一連の勧告が誠実に履行されれば前進につながるのは間違いないでしょう。
この問題に取り組んできた民間団体の連合体「児童・青少年大衆文化芸術人である労働者の人権改善のためのポップアップ」も今回の勧告を歓迎するとともに、このような対応を伝統的な放送産業だけではなくデジタルメディア産業にも拡大しなければならないと指摘しています。
-미디어오늘:잠도 제대로 못자는 아역배우 인권 문제, 달라질까(睡眠もきちんととれない子役俳優の人権問題、変わるか)
http://www.mediatoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=303972