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子どもの権利をめぐる国際動向(2019年11月~2020年1月)

 この投稿は、私も代表委員のひとりである子どもの人権連の機関誌『いんふぉめーしょん 子どもの人権連』164号(2020年3月)に掲載された原稿です。関係者の了解を得て、有料記事としてアップします。私が Facebook にアップしている投稿のなかから、子どもの権利をめぐる国際的動向に関する主なニュースをピックアップして要約したものです(一部、日本国内の動きを取り上げることもあります)。該当する投稿にリンクしていますので、この間の国際的流れを概観し、関心のあるニュースについて詳細を確認するのに便利かと思います(見本として2019年11月分を公開しています)。よろしくお願いします。

【2019年11月】

■ASEAN、子どもの権利保障に対するコミットメントをあらためて確認
 ASEAN(東南アジア諸国連合)とユニセフは、11月1日、子どもの権利条約採択30年を機に『ASEANの子どもたち:子どもの権利条約の30年』と題する報告書を発表した。報告書は、この30年間でASEANの子どもたちの状況が相当改善されたことを振り返りつつ、まだまだ課題が残されているとして、▽協働の強化、▽子どもを誰ひとりとして取り残さないこと、▽ジェンダー平等の達成、▽子どもに配慮した気候行動の加速など10項目の勧告を行なっている。
 また、ASEAN各国首脳は11月2日に「ASEANにおける子どもの権利の増進に対するコミットメントの再確認」に関する共同声明を発表し、子どもの権利条約の全面的実施に対するコミットメントを再確認するとともに、▽子どもの権利に関する法的枠組みの強化、▽ジェンダー平等の達成および子どものエンパワーメントを図るための取り組み、▽条約13条(表現・情報の自由)に基づいて自己表現を行なう子どもの権利の保護、▽21世紀型スキルに対応する政策の策定・立案に子どもたちが参加・関与する機会の創設を含む9項目の行動をとることに合意した。あわせて、「移住の文脈における子どもの権利についてのASEAN宣言」「ASEANにおけるあらゆる形態のオンラインの搾取および虐待からの子どもの保護に関する宣言」も採択している。(11月8日投稿

■英国の子どもコミッショナー、子どもの権利の保障状況に関する中間レビューを共同で発表
 英国を構成する4地域(イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランド)の子どもコミッショナーは、2019年11月5日、英国における子どもの権利の保障状況に関する「中間レビュー」を共同で発表した。このレビューは、国連・子どもの権利委員会による英国の第5回報告書審査が2016年5月に行なわれ、次回の報告書審査が2022年に予定されていることを踏まえて、2016年の審査以降の進展と課題を振り返るために実施されたもの。▽心身の健康、▽経済的安定、▽家族の支援、▽子どもに対する暴力、▽デジタル関連の権利、▽刑事司法、▽教育、▽子どもの権利の尊重の各分野について、進展と課題が指摘されている。
 すべてのコミッショナーが今後の優先課題として最初に挙げているのは、国連・子どもの権利条約の全面的な国内法化(国内法への編入)である。英国では、条約は批准しただけでは国内法として直接の効力を持たず、裁判でも間接的に参照されるにすぎないため、このような対応の必要性が指摘されてきた。現在、スコットランドでは条約の国内法化のための作業が具体的に進められているが、他の地域でも同様の対応が求められている。(2020年1月3日投稿

■ユニセフ・スリランカ、大統領選候補者に子どもの権利へのコミットメントを要求
 11月16日にスリランカで行なわれた大統領選に向けて、ユニセフ(国連児童基金)・スリランカが「子どもたちのための投票」キャンペーンを実施。▽子供の栄養不良を根絶すること、▽若者が未来に向けて準備できるような教育制度を構築すること、▽子どもの貧困に終止符を打つこと、▽体罰を禁止すること、▽スリランカを万人にとってインクルーシブで平和な場所にすること、▽気候変動と闘うことの6つの重要課題を挙げ、35名の大統領候補に対し、これらの問題の解決に対するコミットメントを表明するよう求めた。
 カナダで10月に実施された下院議会選挙でも、非営利民間団体のチルドレン・ファースト・カナダが同様のキャンペーンを展開しており、このような取り組みが広がりつつある。(11月2日投稿

■韓国や台湾の学校における生徒の人権侵害状況が明らかに
 韓国「ろうそく青少年人権法制定連帯」と全国教職員労働組合(全教組)が全国の中高生2871人を対象として実施した「2019全国学生人権実態調査」で、中高生の2人に1人が「学校を辞めたい」と考えている(非常にそう思う=20.9%/ややそう思う=26.4%)ことが明らかに。その理由の筆頭に挙げられているのは成績関連のストレスで、生徒たちが教師に対して求めることの第1は「生徒を尊重する態度」だった。
 法律で禁止されている体罰も依然としてなくなっておらず、回答した生徒の16.5%が「手足や道具による体罰」を、4人に1人(24.4%)が教師による「身体的苦痛」を経験していた。携帯電話の終日使用禁止(65.7%)、服装規制(65.4%)、頭髪規制(53%)などの制限も広く行なわれており、学校の変化が生徒の人権意識の高まりに追いついていないと指摘されている(ハンギョレ〈「体が自然と拒否する」…中高生の47.3%「学校辞めたい」〉11月2日配信)。
 台湾でも韓国以上に深刻な状況があり、オルタナティブな教育のあり方の模索と実践に取り組む財団法人・人本教育文教基金会が10月3日に発表した調査結果によれば、体罰を受けた/目撃したことがある生徒は中学生(国民中学校)の68.6%、高校生(高級中学校)の28.7%、職業高校生(高級職業学校)の47.6%にのぼった。法律で明示的に禁止されていない暴言も蔓延しており、中学生の54%(2016年の33%から急増)、高校生の35.9%、職業高校生の46%が教師による暴言を見聞きしたと回答している。
 同会の調査によれば、このほか、▽子どもの人格・尊厳を傷つける屈辱的な罰やその他の強制措置、▽「頭からつま先まで」の規制(髪型・服装)と恋愛禁止、▽放課後学習や週末・季節補習への参加の実質的強制、▽プライバシーの侵害などの問題が依然として蔓延しており、校内苦情申立て制度も十分に機能していない。
 このため、同会は独自に「学生権利保障法草案」をとりまとめて法制化を提案した。草案のポイントは次のとおり。
(a) \法律で禁止されていない行為について生徒に恣意的制限を課すことはできず、また行なわなくてもよいとされている行為を生徒に強制することはできない。
(b) 法律による授権がない場合に生徒を恣意的に処罰することはできない。
(c) 生徒が権利を侵害された場合の救済経路を設けなければならない。
(d) 生徒に対して暴力を振るうことはできない。
 さらに、制度的保障として、▽「生徒の権利保護官」制度の導入、▽全国的に統一された苦情申立て制度の設置、▽安全な学習環境を維持する義務の法制化、▽教育問題に関する公益訴訟制度の導入を提案している。(11月3日4日5日投稿)

■子どもの権利条約について「聞いたことがない」大人が4割超――日本
 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(Save the Children Japan) は、11月14日、子ども(15~17歳)2,149人・大人27,851人の約3万人を対象として実施した、子どもの権利に関する意識調査の結果を発表。子どもの権利条約について知っているかどうかについて、「内容までよく知っている」と回答したのは子ども8.9パーセント/大人2.2パーセントに留まり、子ども31.5パーセント/大人42.9パーセントが「聞いたことがない」と回答するなど、条約が十分に周知されていない状況が露わになった。
 また、子どもの権利が十分に尊重されているかどうかについて、「尊重されている」と答えた子どもが18.7パーセントに留まる一方、大人は31.0パーセントが子どもの権利を「尊重している」と回答するなど、子どもと大人の意識のずれも明らかになっている(「ある程度尊重されている/している」と回答したのはそれぞれ子ども51.0パーセント/大人49.8パーセント)。(11月15日投稿

■フランスで子どもの権利に関するヨーロッパ会議が開催される
 11月13日から14日にかけて、欧州評議会の本部が置かれているストラスブール(フランス)で子どもの権利に関する地域会議が開催された。10か国から13人の子どもたちも招待された同会議のテーマは〈パワーを捉え直す:ヨーロッパの未来の鍵である子どもの権利の強化〉。今後の課題として、▽子どもたちの活動を、自分たちに関する決定に参加する子どもの権利の表現として歓迎すること、▽子どもに対する暴力への対応を向上させ、子ども同士の性暴力のような「タブー」視されてきた問題にも取り組んでいくこと、▽離婚をめぐる両親のとげとげしい争いの状況下で、子どもが交渉を有利にする材料として利用されないようにすること、▽ネット上の犯罪から子どもを保護することなどが挙げられた。
 なお、欧州評議会では「子どもの権利に関する戦略(2016~2021年)」を策定している。(1) すべての子どもにとっての平等な機会、(2) すべての子どもの参加、(3) すべての子どもにとっての、暴力のない生活、(4) すべての子どもにとっての子どもにやさしい司法、(5) デジタル環境における子どもの権利の5つを柱とする行動計画で、今回の会議ではその実施状況の中間評価も行なわれた。(11月16日投稿

■子どもの権利条約の実施に関する「誓約」を多くの国が表明
 国連・子どもの権利委員会は、2019年3月、締約国に対して、条約採択30年を記念して子どもの権利の促進・保護・実現のために「ひとつの具体的かつ測定可能な行動」を起こすことを奨励するとともに、子どもの権利に関するコミットメントや国内での取り組みについての情報を委員会に提供するよう要請していた。
 これに応じて、日本を含む47か国(2019年11月13日現在)が192項目の「誓約」(pledge)を表明している。日本の誓約内容は次のとおり。
「1.子どもに対する暴力をなくすための国内行動計画を策定する。
 2.現行の措置をさらに実施する。日本は、児童虐待の防止および体罰の明確な禁止を目的として、2019年6月、児童福祉法その他の関連法を改正するための法律を制定した。日本は、子どもの権利をさらに保護するため、現在進められている他の取り組み(2017年の「児童の性的搾取等に係る対策に関する基本計画」を含む)とともにこれらの措置を引き続き実施していく。
 3.市民社会と引き続き連携(engagement)していく」
 他の国の誓約内容を見ると、たとえばドイツは基本法(憲法)に子どもの基本的権利を明示的に盛りこむための努力を続けていくと表明している。英国は、各省庁が開始した/開始しようとしているさまざまな取り組みを網羅した61ページにおよぶ文書を、「CRC@30:子どもの権利の促進、保護および実現に貢献する政策イニシアティブ」と題して提出した。(11月14日投稿

■ユニセフ、報告書『岐路に立つ子どもの権利条約』を発表
 ユニセフは、11月15日、条約採択以降の30年間を振り返る新たな報告書『岐路に立つ子どもの権利条約』(The Convention on the Rights of the Child at a Crossroads)を発表。ヘンリエッタ・フォア事務局長は、発表にあたり、「これまでにないほど自らの権利のために声をあげている若者たちを見習い、私たちも今、大胆かつ創造的に行動しなければなりません」と強調した。
 また、ユニセフは国連・子どもの権利委員会とは別に「グローバル誓約:すべての子どもに、すべての権利を」への賛同を各国に呼びかけており、日本を含む80か国以上が賛同している(2019年11月19日現在)。そこでは、条約の完全実施に向けた具体的措置をとっていくことのほか、▽戦略やプログラムの策定・評価に子どもたちの視点を含めていくことの重要性、▽パートナーシップおよび調整の強化を通じて、そして子どもたち自身とともに、団結して行動していくことの重要性も強調されている。(11月19日投稿

■国連人権専門家、世界観光機関「観光倫理枠組み条約」の正式採択を歓迎
 国連世界観光機関(UNWTO)は、2019年9月9日~13日にロシア・サンクトペテルブルグで開催された第23回総会において、「観光倫理に関する枠組み条約」を同機関の全公用語で正式に採択した(英・仏・西・露・アラビア語)。1999年の「世界観光倫理憲章」をもとにしたもの。
 同条約は、第5条2項で人権、とりわけもっとも被害を受けやすい立場に置かれた集団(子どもを含む)の権利の促進について定めるとともに、同3項でとくに性的搾取(とりわけ子どもに対して行なわれるもの)と闘う必要性を強調している。メディアの役割について定めた第9条6項でも、メディアが「いかなる形でも観光における性的搾取を促進するべきではない」旨、規定されている。
 子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表、子どもの売買および性的搾取に関する特別報告者、とくに女性および子どもの人身売買に関する特別報告者をはじめとする国連人権専門家は、子どもの権利条約採択30年記念日の前日にあたる11月19日、枠組み条約の採択は旅行・観光における子どもの搾取との闘いにおける重要な一歩であるとして、すべての国に対して同条約の批准を呼びかけた。(11月25日投稿

■デビッド・ベッカムさん、国連総会で世界の子どもたちに「新しい約束」
 11月20日、ニューヨークの国連本部で子どもの権利条約採択30年記念国連総会ハイレベル会合が開催され、元サッカー選手でユニセフ親善大使を務めるデビッド・ベッカム氏も登壇。ベッカム氏は、演説の締めくくりで世界の子どもたちに次のように宣言した。
「世界子どもの日であるこの日に、世界の子どもたちに新しい約束をしましょう。
 あなたたちの声を聴くと約束します。
 あなたたちから学ぶと約束します。
 あなたたちのために行動すると約束します。
 私たちはともに、あなたたちの夢を守るためにいっそうがんばると約束します」

 ハイレベル会合にはアントニオ・グテーレス国連事務総長もビデオメッセージを寄せ、これまでの前進を土台としながら、子ども最優先の姿勢をとること、1人ひとりの子どものすべての権利を守ることに対するコミットメントを再確認するよう、すべての国に強く促している。
 なお、ジュネーブの国連欧州本部(パレ・デ・ナシオン)でも11月18日~20日に「子どもの権利条約採択30年記念」会議が開催され、多数の子どもたちの参加を得て、▽子どもの保護、▽子ども司法、▽子どもの権利と女性の権利の関係、▽移住、▽テロリズム、▽環境、▽バイオテクノロジーなどの多岐にわたる問題について議論が行なわれた。(11月22日10月28日投稿)

■オーストラリア国家人権委員会、子どもの権利の保障状況に関する「スコアカード」を発表
 オーストラリア国家人権委員会の子ども担当委員、ミーガン・ミッチェル氏は、11月20日、同国における子どもの権利の保障状況に関する「スコアカード」を発表した。56ページ(A4版)からなる報告書では、若干の前進があったことは認めながらも、依然としてきわめて重要な問題が多数存在することを指摘し、それぞれの問題に関して今後とるべき対応についての詳細な勧告を行なっている。とくに、▽刑事責任年齢(10歳)を最低でも14歳まで引き上げるとともに、子どもの自由剥奪は最後の手段としてしか用いられてはならないという原則を徹底させること、▽権利を侵害されやすい立場に置かれたさまざまな子ども(アボリジナル・トレス海峡諸島民の子ども、障害のある子ども、養護の対象とされている子ども、村落部・遠隔地の子ども、文化的・言語的に多様な背景を有する子ども、LGBTIである子どもなど)の状況についていっそうの対応をとることなどが促された。
 このほか、自殺や自傷行為に表れるメンタルヘルス関連の問題、入管収容の問題、気候変動が子どもの権利・健康・十分な生活水準に及ぼす影響などについても取り上げられ、こうした問題に効果的に取り組んでいくための前提として、▽「子どものウェルビーイングのための国家計画」を策定・実施に向けて正式に閣僚評議会を設置するとともに、子ども担当大臣を任命すること、▽子ども関連の立法に関する「子どもの権利・ウェルビーイング影響評価」手続を導入すること、▽子ども関連のデータに関する全国的枠組みを発展させることなどが勧告されている。子どもの意見表明権との関連で、▽子ども担当委員が継続的に子どもたちとの協議を行なえるようにするための資源を配分すること、▽子どもの意見表明を保障するためにあらゆる関連の法律を見直し、改正することも勧告された。(11月23日投稿

■国連・子どもの権利委員会、個人通報の傾向に関する文書を発表
 国連・子どもの権利委員会は、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書(2011年)に基づいて行なわれてきた個人通報の傾向(2019年10月現在)をまとめた文書を発表した。委員会のもとに寄せられた通報は300件以上にのぼり、そのうち100件が要件を満たした通報として登録されている。登録された事案のうち、委員会は30件について決定を行ない、そのうち8件について条約違反を認定。14件については受理できない旨を宣言し、8件については審査を打ち切っている。現在、70件が審査中である。
 申立て対象国はヨーロッパ諸国(スペイン、デンマーク、スイス、フィンランド、ベルギー、ドイツ、フランス、アイルランド、スロバキア、ジョージアなど)が中心だが、その他の地域の国(アルゼンチン、チリ、コスタリカ、パナマ、パラグアイなど)を相手方とする通報も行なわれている。テーマ別に見ると、移住関連の問題を取り上げた通報がとくに多く、ノンルフールマン(拷問・迫害等が行なわれるおそれがある国への送還・追放の禁止)の原則、年齢鑑別、子どもの入管収容、親からの分離、家族再統合、庇護手続へのアクセスなどが争点となっている。このほか、▽子どもの連れ去り、監護権および面会権、▽代理母出産、▽少年司法、▽体罰、▽男児割礼の問題を争点とする通報も行なわれている。
 条約違反を認定された国のうち、ベルギーは委員会の勧告をほぼ全面的に受け入れ、必要な対応をとった。デンマークとスペインも委員会の認定を受けて一定の対応をとったものの、十分に満足できるものにはなっていないとされる。(11月27日10月7日投稿)

■欧州議会、子どもの権利に関する決議を採択
 欧州連合(EU)の主要機関のひとつである欧州議会は、11月26日、国連・子どもの権利条約採択30年を記念する子どもの権利に関する決議を採択した。子どもの権利はEU政策の中心に位置づけられるべきであると指摘したうえで(パラ1)、子どもの最善の利益の原則があらゆる法律・決定・判決等で全面的に尊重されることを確保するよう、欧州委員会およびEU加盟国に呼びかけるもの。さらに、▽子どもたちのために健康的な環境を確保し、かつ気候変動の悪影響と闘うための行動を強化する必要があること(パラ7)、▽子どもは消費者として被害を受けやすい立場にあり、不適切な広告やメッセージから子どもを保護するための措置が必要であること(パラ9)などを指摘し、子どもに対する暴力の解消、子どもへの投資など個別分野における具体的取り組みを促している。
 また、子ども参加の推進に関しては、「子ども参加の文化はあらゆる――家庭、コミュニティ、地方、広域行政権、国および欧州の――レベルで構築することが可能であり、かつ社会に短期的および長期的利益をもたらしうることを強調」したうえで(パラ47)、▽「立法への子ども参加を強化する」こと(加盟国への要請)、▽「欧州、国、広域行政権および地方の議会の活動における、とくに主要な政策分野への子ども参加を進めるための意味のあるしくみ(子ども評議会など)を創設する」こと(加盟国・欧州委員会への奨励)などが求められた(パラ48)。子ども・若者が主導して行なわれている気候変動関連の活動の重要性にも言及し、「子どもたちがますます公共政策に関与するようになりつつあり、かつ関心を持って変革を推進する市民として発言する意思をますます表明できるようになりつつある」ことの表れだと評価している(パラ50)。(11月28日投稿

■メキシコが体罰の全面禁止に向けて一歩前進
 メキシコ連邦議会(上院)は、11月26日、子どもの体罰を全面的に禁止する法案を全会一致で承認した。この後下院で承認されれば、メキシコも体罰全面禁止国(2019年末現在58か国)に加わることになる。ラテンアメリカ地域ではすでにウルグアイ、ベネズエラ、コスタリカ、ホンジュラス、ブラジル、ボリビア、アルゼンチン、ニカラグア、ペルー、パラグアイ、スロベニア、モンテネグロなど子どもに対する体罰(家庭におけるものを含む)が全面的に禁止されている。(11月29日投稿

■ユニセフ、デジタル技術と子どもに関する報告書を発表
 ユニセフ(国連児童基金)は、11月末、11か国の子ども(9~17歳)約1万5千人を対象として実施された調査に基づく報告書『つながった世界で成長する』を発表。「子どものインターネット利用の行き過ぎた制限は、子どもたちが学習とスキルを身に着ける機会を奪う」ことを強調したうえで、親が子どものデジタル世界に積極的に関わり、リスクについて話し合うことなどの必要性を指摘した。
 欧州評議会加盟国のうち34か国の43機関が参加する子どもオンブズパーソン欧州ネットワークも、2019年9月末に開催された第23回総会で「デジタル環境における子どもの権利」についての見解声明を採択・発表し、▽デジタル環境で行なわれる行動・決定に関する子どもたちの意見表明権を保障すること、▽すべての子どもが差別なくデジタル環境にアクセスできるようにすること、▽親・養育者がデジタル環境における子どもの権利を守れるようにするための支援を提供することなど、9項目の勧告を行なっている。欧州評議会は2018年7月に「デジタル環境における子どもの権利の尊重、保護および充足のためのガイドライン」(閣僚委員会勧告CM/Rec(2018)7)を採択しており、子どもの権利条約とあわせて同ガイドラインを参照・遵守することも促された。(2020年2月2日1月17日投稿)

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