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ヨーロッパ:子ども参加推進のためのオンライン・プラットフォーム

 ヨーロッパで子ども参加を推進していくためのオンライン・プラットフォームが相次いで正式に開設されました。


EU子ども参加プラットフォーム

 まずは、EU(欧州連合)「子どもの権利戦略」(2021年3月)で構想されていた「子ども参加プラットフォーム」です。

-EU Children's Participation Platform
https://eu-for-children.europa.eu/home

 6月26日~27日にブリュッセル(ベルギー)の欧州委員会本部で同プラットフォームの第1回総会が開催され、欧州諸国16か国から60人の子ども(9~17歳)も参加して今後のプラットフォームの運用などについて話し合いが行なわれました。これをもって正式な開設・運用開始と考えてよさそうです。

 同プラットフォームは、▽10~20人の子どもから構成される「子ども委員会」(Children's Panel)、▽EU関連機関・欧州評議会・ユニセフ(国連児童基金)などの代表から構成され、子どもも参加する「アドバイザリーボード」(Advisory Board)、▽プラットフォーム事務局によって運営されていきます(こちらのページHow is the Platform structured? 参照)。

 事務局には、プラットフォーム等に参加する子どもの安全を確保する子ども保護担当者(Child Protection Officers)と、主として各国レベルで子ども参加を推進する子どもエンパワーメント担当者(Child Empowerment Officers)も任命されているとのことです。参加する子どものセーフガーディング(安全確保)についてはとくに気が遣われており、独立の項目が立てられています(同じページHow will the Platform keep children and teenagers safe from harm? 参照)。この点については、日本でもしっかり対応していくことが必要です。

ヨーロッパのための子ども参加(CP4E)

 もうひとつは、欧州評議会とEUの共同プロジェクト「ヨーロッパにおける国レベルの子ども参加の枠組みと行動の強化」(Strengthening National Child Participation Frameworks and Action in Europe、2021年4月1日~2023年6月30日)の一環として開設された「ヨーロッパのための子ども参加(CP4E)」というサイトです。6月20日ごろ正式オープンしたようです(追記〔2023年8月7日〕:Council of Europe - Newsroom on Children's Rights, Launch of the CP4Europe child participation web-platform, 21 July 2023 も参照)。

-Child Participation for Europe (CP4E)
https://cp4europe.org/

 子ども参加に関するさまざまなリソースが掲載されており、今後も随時追加されていくようで、参考になりそうです。これらの資料のなかには私のnoteなどで紹介したものもありますので、〈子ども参加をめぐる国際動向:こども家庭庁設立準備室の検討委員会に提出された資料〉のほか、マガジン〈子どもの意見表明・参加〉〈ヨーロッパにおける子どもの権利関連の動向〉などもご参照ください。興味深い資料があれば、今後も随時紹介していきます。

 なお、この間の流れを概観するものとして、平野裕二「ヨーロッパにおける子ども参加の動向─欧州評議会とEU を中心に─」子どもの権利研究第33号:67~72(2022)も参照。もうしばらくしたら電子版も購入できるようになる見込みです。

noteやホームページでの翻訳は、ほぼすべてボランティアでやっています。有用だと感じていただけたら、お気持ちで結構ですのでサポートしていただけると、嬉しく思います。