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欧州評議会「子ども参加アセスメントツール」チャイルドフレンドリー版

 先日の投稿〈ヨーロッパ:子ども参加推進のためのオンライン・プラットフォーム〉で紹介したCP4E(ヨーロッパのための子ども参加)というサイトには、いろいろと興味深い資料が掲載されています(Council of Europe - Newsroom on Children's Rights, Launch of the CP4Europe child participation web-platform, 21 July 2023 も参照)。

 時間を見つけて順次紹介していくつもりですが、まずは欧州評議会「子ども参加アセスメントツール」(2016年)のチャイルドフレンドリー版を取り上げます(2023年7月1日発表)。

 欧州評議会「子ども参加アセスメントツール」の概要は2021年1月14日の投稿で紹介しておきましたので、そちらをご参照ください。そこでは、子ども参加に関して10の指標を設定し、各国がそれぞれの進捗状況を自己評価できるようになっています。

 今回のチャイルドフレンドリー版は、同ツールを(子ども参加に関する)通知表のようなもの」と説明したうえで、10の指標の内容を簡潔に説明したものです。以下、訳出します。参照しやすいよう、各指標の原文の日本語訳も囲みで載せておきます(前掲noteに掲載したもの)。

 以下、各指標の小見出しで【 】がついているのは、原文で青字で強調されている箇所です。また、1~3の小見出しの原文には「~がある」「~がいる」に相当する単語がありませんが、最終ページ(p.5)に掲載されている小見出し一覧にはあり、そのほうがわかりやすいので、そちらにしたがいました。

1.すべての子どもが意見を聴かれ、真剣に受けとめられなければならないという【ルール】がある。
 ルールでは、すべての子どもが、差別なく対象とされるようにされなければいけません。子どもは、子どもに影響を与えるすべての問題について、意見を聴かれるべきです。

1.意思決定に参加する子ども・若者の権利の法的保護が国の憲法・法律に反映されている。

2.国として、子どもが意見を聴かれ、真剣に受けとめられるようにしていくためにどうするかについての【計画】がある。
 計画では、子どもが大事だと思っている問題について変化を起こすうえで役立つように子どもたちのアイデアをどのように活用するか、説明しています。

2.意思決定に参加する子ども・若者の権利が、子どもの権利を実施するための部門横断型の国家的戦略に明示的に含まれている。

3.子どもの権利に目を配る【人】がいる。
 できるかぎり最善の教育や保健ケアに対する権利など。このような人は、政府とは別の存在です。「子どもオンブズマン」や「子どもコミッショナー」と呼ばれます。

3.独立した子どもの権利機関が設置されており、法律で保護されている。

4.法律が関わる議論に、子どもが【安全に参加】できる。
 家族生活、ケア、犯罪、新しい国に来て暮らすことに関する決定など。子どもには、何が決められるか、子どもがどのように安全でいられるかについての情報が提供されています。

4.子どもが司法手続・行政手続で参加権を安全に行使できるようにするためのしくみが存在する。

5.子どもは、間違っていることについて何でも【不満を言える】。
 子どもには、納得できないことについて担当の人たちに相談する簡単な方法が用意されています。

5.子どもにやさしい苦情申立て手続が設けられている。

6.子ども参加に関する大人向けの【研修】。
 教師、ソーシャルワーカー、警察、裁判官、医者、そして子どもとともに働くすべての人が、子ども参加について教えられています。

6.子どもとともにおよび子どものために働く専門家を対象とした着任前養成・研修プログラムに、意思決定に参加する子どもの権利が組みこまれている。

7.自分のアイデアを真剣に受けとめられる権利についての【情報】を、子どもたちが持っている。
 子どものアイデアが決定にどのように盛りこまれるべきかについての情報が、子どもたちに与えられています。

7.子どもたちに対し、子どもの参加権に関する情報が提供されている。

8.子どもがアイデアをシェアし、変化を起こそうと試みることのできる【グループ】がある。
 学校評議会、子ども議会、参加グループなどが考えられます。

8.子どもたちが、学校、地方・広域行政圏および国のレベルにおける話し合いの場で代表されている(子どもたち自身の団体の代表によるものを含む)。

9.【地方のサービスに関する決定】に子どもたちが参加できる方法がある。
 学校、病院、交通機関、コミュニティセンター、警察のようなものに関することが考えられます。

9.地方で提供されるサービスに関する、子どもをとくに対象としたフィードバックのしくみが設けられている。

10.国がどのぐらいちゃんとやっているかを理解するのに役立つように、【子どもたちのアイデアが活用されている】。
 子どもたちが正しく扱われているかどうかについて、子どもたちが〔あなたの国の〕みんなに話すことなどが考えられます。

10.子どもたちが、国連・子どもの権利条約(条約に関するシャドウレポートの作成・提出を含む)および欧州評議会の関連文書・条約のモニタリングに参加するための支援を受けている。

 各指標に、3段階で評価するための☆☆☆マークがついていますが、最後のページでまとめて評価できるようにもなっています。

 日本でも、多少の修正や追加説明は必要になるでしょうが、活用できそうです。

noteやホームページでの翻訳は、ほぼすべてボランティアでやっています。有用だと感じていただけたら、お気持ちで結構ですのでサポートしていただけると、嬉しく思います。