見出し画像

子どもに対する暴力解消のための国内行動計画は「策定の最終段階」――外務大臣政務官がオンライン国際会議で表明

「子どもに対する暴力を終わらせるためのグローバル・パートナーシップ」(GPeVAC)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックを受けて子どもに対する暴力の解消を加速させるための国際的キャンペーンTogether to #ENDviolence 」(ソリューションズ・サミット・シリーズ)立ち上げイベントをオンラインで開催しました(12月15日)。

 イベントの様子は You Tube で確認することができます。

 日本からも中西哲・外務大臣政務官がビデオメッセージを寄せています(前掲動画の34分43秒あたりから)。外務省の発表には発言要旨しか掲載されていないので、文字おこししておきました(太字は平野)。

 ご列席の皆様、外務大臣政務官の中西哲でございます。
 まず、今回のイベント開催にあたりご尽力いただいた開催者の皆様および参加者の皆様に感謝を申し上げたいと思います。また、こうした困難な時期においても各地で子どもに対するあらゆる形態の暴力の防止に取り組んでおられるGPeVACのリーダーシップに、あらためて敬意を表します。
 子どもに対する暴力は、子どもの心身の発達および人格の形成に重大な影響を与えます。その防止は社会全体で取り組むべき重要な課題であります。
 日本はこれまで、「子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する」というSDGsのターゲット16.2の達成に向け、あらゆる努力を行なってきました。一例を挙げると、わが国は2019年に、児童虐待防止対策を強化し、体罰を明確に禁止するために児童福祉法などを改正しました。本年の新型コロナウイルス感染症拡大の状況下においては、「子どもの見守り強化アクションプラン」を策定し、地域のネットワークを総動員し支援ニーズの高い子どもたちなどを見守る体制を確保することで、虐待を早期に発見し措置を講ずるよう努めました。さらに、パスファインディング国*入りを表明した2018年のソリューションズ・サミット以降作業を進めてきた「子どもに対する暴力撲滅行動計画」は、策定の最終段階にあります
 国際的には、日本は「子どもに対する暴力撲滅基金」を通じて財政支援を行なっています。この場をお借りして、ウガンダとナイジェリアにおける事業が昨年成功裡に完了したことをお知らせいたします。この事業を通じ、1,900人以上の子どもがボコ・ハラムなどから解放され、7万人以上の子どもや養育者などが心理的サポートを得ることができました。また、4万2,600人以上が地雷に関する研修を受けることができました。さらに、日本は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けやすい国を支援し、より多くの子どもたちが質の高い医療サービスを受けられるよう、ユニセフに対して支援を行ないました。
 日本は、こうした努力を継続していきます。また、他の国々がこうした取り組みに参加するよう呼びかけたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症は、人間の安全保障上の深刻な脅威です。国境を越えて広がり、子どもを含む社会的弱者を襲います。われわれは、新型コロナウイルス感染症対策としてだけでなく、あらゆる状況下において、子どもに対する暴力撲滅のための取り組みを強化していく必要があります。すべての子どもが暴力のないなかで育ち、将来への希望と夢を持てる、よりよい世界を築くため、本日のイベントが国際社会によるコミットメントを刷新する契機となることを心から期待しております。ありがとうございました。
* パスファインディング国(パスファインダー)とは、子どもに対する暴力をなくすための取り組みを開拓者として先導する決意を表明した国のことを指します。WHO(世界保健機関)の「INSPIRE戦略」を踏まえ、権利への焦点(rights-focused)、子ども中心(child-centered)、ジェンダーへの配慮(gender-sensitive)等の枠組みに基づいて自国の状況を自己評価したうえで、▼政府上層部の主務機関(focal point)の指定、▼さまざまな関係者が参加するプラットフォームの設定、▼データ収集の強化、▼ロードマップの策定・実施などの取り組みを進めていくことが求められています。

 国内行動計画の策定が他の国々に比べて遅れていることについては今年8月の投稿(Facebook)で指摘し、あわせて
「我が国としての子どもに対する暴力撲滅行動計画は、本年二〇二〇年中の策定を目指しております。引き続き具体的な議論を進めてまいりますが、その一環として、適切な時期に子どもに対する暴力撲滅円卓会議第二回会合も開催したいと考えております」
 という衆院外務委員会での政府答弁(5月20日)も紹介しておきましたが、現在「策定の最終段階」にあるということで、遅くとも今年度中には策定されると思われます。

 GPeVACの基礎となっているWHOの「INSPIRE戦略」はもちろん、「子どもに対する暴力についての国家的調整枠組み」に関する国連・子どもの権利委員会の見解(「あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利」についての一般的意見13号)、他の国々(たとえばフランス)の取り組みなども参考にしながら、可能なかぎり包括的かつ実効的な計画にしてもらいたいと思います。


noteやホームページでの翻訳は、ほぼすべてボランティアでやっています。有用だと感じていただけたら、お気持ちで結構ですのでサポートしていただけると、嬉しく思います。