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ニュージーランド教育省、全国共通カリキュラムの見直しにあたって「若者の声グループ」を設置予定

 ニュージーランドでは現在、全国共通カリキュラム(The New Zealand Curriculum)の刷新が進められています(現行カリキュラムは2007年に策定されたもの)。刷新の詳細については教育省の特設サイト "Changes to The New Zealand Curriculum: Refreshing The New Zealand Curriculum" に掲載されています。新たなカリキュラムは2025年末までに全面実施される予定です。

 興味深いのは、刷新にあたり、若者や障害者を含む幅広い層から組織的に意見を聴こうとしていることです(Get involved のページ参照)。すでにテ・マタイアホ/カリキュラム枠組み(Te Mātaiaho;「学びの要素の観察と検討」といった意味合いのマオリ語)や「英語」「数学・統計」カリキュラムなどの草案が公開され、意見募集が始まっています。

 教育省は、次のとおり、子どもコミッショナー事務所と協力して3つの「若者の声グループ」(Youth Voices Groups)を設け、カリキュラム刷新などに関する意見を出してもらうことも表明しています(太字は訳者=平野による)。

 教育省と子どもコミッショナー事務所は、ニュージーランド・カリキュラムの刷新全体を通じて若者が意見を言える余地を確保するために協力することになりました。このユニークなパートナーシップは、アコンガ(児童生徒)がテ・マタイアホ/ニュージーランド・カリキュラムの中心であり、その声がそこに反映されるようにすることへのコミットメントを打ち出すものです。私たちは共同で、それぞれ「アオテアロア/ニュージーランドの若者の声ランガターヒ・マオリ〔先住民族マオリのティーンエイジャー〕および障害のある若者(注)を代表する3つの「若者の声グループ」を設置し、これらの若者が自分たち自身の視点、洞察および生の経験を共有できるようにします。このことは、刷新されるカリキュラムと、私たちがより幅広い文脈において若者たちと関わる方法の構想に貢献することになるでしょう。この共同プロジェクト全体を通じて取り組んでもらうため、若者参加支援スペシャリスト(Youth Engagement Specialist)を1名採用しました。(後略)

(平野注)障害者については別に「障害者の声グループ」(Disability Voices Group)も設置され、障害のある若者も参加することになっています。

https://curriculumrefresh.education.govt.nz/get-involved

 このような方針を踏まえ、ニュージーランド子どもコミッショナー事務所では「若者の声グループ」に参加するモクプーナ(若者)を募集中です(9月8日ごろ発表;その後若干変更があった模様)。

★ Amplifying Mokopuna Voices in the Curriculum Refresh
https://www.occ.org.nz/voices/supporting-young-people-to-participate-in-the-nz-curriculum-refresh/

 対象は15~17歳の若者で、定員は30人です。こちらの告知では、▼タンガタフェヌア(Tangata Whenua;土地の人々)・コーカス(マオリの若者)、▼パシフィカ・コーカス(太平洋諸島民系の若者)、▼新規定住者(Resettled)コーカス(難民・庇護・新規移住の経験を持つ若者)、▼障害者コーカス(障害のある若者)という4つのコーカスをまず設置することが予告されています。11月21日まで候補者募集を行ない、選定を経て12月2日にはメンバーが発表される予定です。2023年中に8回の会合を開き、2024年以降の予定はその結果を踏まえて決定することになっています。なお、選出されたメンバーには会合ごとに200ニュージーランドドル(約1万7千円)の日当が支給されます(経費別)。

 インフォメーションシート候補者募集シート(いずれもPDF)も紹介しておきます。

 15歳未満の子どもからも意見を聴くべきだと思いますが、今後そのような取り組みが行なわれるかどうかも含め、注目したいと思います。

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