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WHO・ユニセフの欧州事務所が学校再開と安全確保措置の強化を呼びかけ

 欧州諸国で9月から新しい学年が始まるにあたり、WHO(世界保健機関)欧州地域事務所とユニセフ(国連児童基金)欧州・中央アジア地域事務所が8月30日付で声明を発表し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のデルタ株が主流となるなかでも、安全確保措置を強化しながら学校を開き続けることを呼びかけました。

★ All schools in Europe & Central Asia should remain open and made safer from COVID-19, say WHO and UNICEF
https://www.unicef.org/ukraine/en/press-releases/all-schools-europe-central-asia-should-remain-open-and-made-safer-covid-19-say-who

 安全確保措置としては、たとえば次のようなものが挙げられています。

● 教職員をワクチン接種の優先対象とすること
● 重症化リスクの高い基礎疾患を有する12歳以上の子どもにワクチンを接種すること
● 教室の換気の改善、学級規模の縮小、物理的距離の確保、子どもおよび職員の定期的検査を通じた学校環境の改善

 また、WHO欧州専門諮問グループが2021年6月末にとりまとめた「COVID-19中の学校」に関する勧告(Schooling during COVID-19: recommendations from the European Technical Advisory Group for schooling during COVID-19, June 2021)を支持し、その活用を促しています。

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 そのポイントは次の8項目です。

1.学校は、最後に閉鎖され、最初に再開されるべき場所のひとつである。
2.検査戦略を整備する。
3.効果的なリスク緩和措置を確保する。
4.子どもたちの精神的・社会的ウェルビーイングを保護する。
5.もっとも脆弱な立場および周縁化された状況に置かれている子どもたちを保護する。
6.学校環境を改善する。
7.意思決定に子どもたちと青少年の関与を得る。
8.子どもたちが学校に通い続けられるようにするためのワクチン接種戦略を実施する。

 基本的に、これまでWHO、ユニセフおよびユネスコ(国連教育科学文化機関)が維持してきた方針(たとえばこれら3機関が1年前に発表したガイダンスを参照)を踏襲していると言えそうです。

 日本でもおおむね同様の方向性がとられていると思いますが、デルタ株をはじめとする変異株の流行状況、ワクチン接種の進み具合、検査体制の整備状況などを勘案し、地域の実情に応じた臨機応変な対応をとる必要があるでしょう。また、7の子ども参加については著しく取り組みが遅れています。この点に関するWHO欧州専門諮問グループの助言(前掲勧告p.11)を訳出しておきます。

● 各国に対し、あらゆるレベルで子ども・青少年の権利を承認するとともに、パンデミック中の通学および介入との関連で子ども・青少年の声を重視するよう促す。
● さまざまな年齢層およびあらゆる背景の子ども・青少年(とくにより脆弱な立場に置かれた子ども・青少年)に対し、自分たちに影響を与えている措置に関する見方と、それらの措置が役に立っているかまたは妨げになっているかについて質問するべきである。
● 子ども・青少年は、学校における意思決定プロセスに積極的に参加できるようにされるべきである。
● 子どもの健康・教育分野における政策の策定に、若者団体の積極的関与を得るべきである。


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