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カナダ政府が初の若者白書を発表――「若者のために、若者とともに、若者によって」

 本日8月12日は国際青少年デー(International Youth Day)ということで、カナダ政府が8月11日に発表した2021年版若者白書State of Youth Report)を紹介します。

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 これは、2019年5月に発表された「カナダ若者政策」Canada's Youth Policy)に基づいて作成された最初の白書です。今後4年ごとに作成・発表されることになっています。

 カナダ若者政策については以前Facebookで簡単に紹介しましたが、
「若者が健康的で充足的な生活を送るための備えを整え、かつ自分たち自身、自分たちのコミュニティおよび世界のために前向きな変革を起こしていく力があると感じられるようにすること」
 というビジョンのもと、
1)若者の意見が聴かれ、尊重される意味のある機会をつくりだすこと
2)若者の変化しつつあるニーズを満たすアクセシブルな支援を提供すること

 を目的として、さまざまな施策を打ち出したものです。さらに、
・あなたには意見を聴かれ、尊重される権利がある
・あなたには、さまざまな機会および支援に平等にアクセスする権利がある
・若者がその可能性を最大限発揮できるようになることは、カナダ人全員にとっての利益である

 という3つの指導原則が掲げられています。

 このような理念に基づき、今回の白書も、さまざまな背景/アイデンティティを有するカナダ全土の若者(13~36歳)1000人近くと協議したうえで、彼ら自身の言葉を用いながら作成されました。白書の表紙に「若者のために、若者とともに、若者によって」(for youth, with youth, by youth)と掲げられているとおりです。この点については次のようなインフォグラフィック(PDF)も作成されています。

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 白書では、若者自身が選んだ次の6つの分野ごとに、現状の分析および政府等がとるべき対応についての勧告が掲げられています。

1.真実・和解(Truth and reconciliation):先住民族に対して行なわれてきた人権侵害への対応を含む、先住民族コミュニティの権利保障
2.環境・気候行動(Environment and climate action)
3.健康とウェルネス(Health and wellness)
4.リーダシップとインパクト(Leadership and impact):若者が主導して変革を起こせるようにするための機会の増進等
5.雇用(Employment)
6.イノベーション、スキルおよび学習(Innovation, skills and learning)

 白書の概要を説明したビデオも作成されています。

 子ども・若者育成支援推進法に基づく年次報告書として作成されている「子供・若者白書」のあり方を考えていくうえでも、参考になる取り組みではないかと思います(今年3月に意見募集が行なわれた「子供・若者育成支援推進大綱(案)」への意見も参照)。

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