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スコットランド(英国)の新たな子ども・若者コミッショナー、二コラ・クリンさんが正式に活動を開始

 2017年から6年にわたってスコットランド(英国)で子ども・若者コミッショナーを務めてきたブルース・アダムソンさんが任期終了にともなって今年5月に退任し、慈善団体「システマ・スコットランド」の最高経営責任者を務めてきた二コラ・クリン(Nicola Killean)さん*が次期コミッショナーに選任されたことを、〈スコットランド議会が次期子ども・若者コミッショナーの募集を開始〉でお知らせしました。英国王立スコットランド音楽演劇アカデミー(現・英国王立スコットランド音楽院)で音楽教育の学位を取得し、幼稚園(nursery)教諭として働いたあと、2007年から「システマ・スコットランド」に参加し、音楽教育・社会変革プログラム「ビッグ・ノイズ」などに取り組んできた方です。

* これまで「キリアン」と表記してきましたが、ご本人の発音は「クリン」が一番近いようなので、今後はそのように表記します。

 二コラさんの正式な着任まではコミッショナー事務所のニック・ホッブズ(Nick Hobbs)助言・調査部長がコミッショナー代行を務めてきましたが(5月17日付Facebookポスト参照)、9月4日から二コラさんがコミッショナーとしての職務を開始したとのことです。

★ CYPCS: Meet the new Children and Young People's Commissioner
https://www.cypcs.org.uk/news-and-stories/meet-the-new-children-and-young-peoples-commissioner/

 コミッショナーの「ボス」である子ども・若者向けのメッセージ動画が2本、公開されています(1本は低年齢の子ども向け)。

 二コラさんは、コミッショナーの役割について
「私は、私のチームとともに、みなさんの生活に影響する法律が公正なものになるように取り組みます。私たちは、力を持つ立場にある人たち(people in power)がみなさんと交わした人権に関する約束を守るよう、協力と要求を進めていきます。みなさんが、自分の人権がどのように貴重で重要であるかを理解できるよう手助けすることも、私たちの役割です」
 と説明したうえで、コミッショナー事務所の新たな戦略計画(2024~2028年)の作成に向けて子どもたちの協力を求めています。子どもたちからの意見募集はまもなく始まり、来年2月まで続けられる予定です(ウェールズの子どもコミッショナーによる同様の取り組みについて、〈ウェールズ子どもコミッショナー、1万人以上が回答した調査の結果と今後3年間の活動方針を発表〉も参照)。

 子どもの権利および子ども・若者コミッショナーの役割について子どもたちに説明する際に活用できるパワーポイントスライドもあわせて公開されており、前掲リリースからダウンロードできますので、ご参照ください(子ども・若者一般向けのスライドと低年齢の子ども向けのスライドがアップされていることになっていますが、内容は同じです)。

 たとえば〈人権って何?〉(What are human rights?)というスライドでは、次のように説明されています。

● 人権とは、安全で、幸せで健康的な生活を送るために、すべての人が必要としているものです。
● 子どもには、大人よりもさらに多くの権利があります。それは、国連・子どもの権利条約にリストアップされています。国連・子どもの権利条約は、世界のほとんどすべての国が賛成しているものです。
● あなたの権利が取り上げられることはありません。
● 権利には、安全で暖かい家に住む権利、意見を聴かれる権利、健康的でいる権利などが含まれます。
● 大人は、あなたのためのサービスを計画したり、あなたについて何かを決めたりするときに、あなたの人権を尊重し、守らなければいけません。

 法律家であったブルースさんとはまた異なる背景を持つ二コラさんのもと、スコットランド子ども・若者コミッショナー事務所の取り組みがどのように発展していくのか、楽しみに見守りたいと思います。

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