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ウェールズ子どもコミッショナー、親向けの子どもの権利条約ガイドページを開設
「子どもの権利アプローチ」を推進するためにさまざまな取り組みを行なっているウェールズ(英国)の子どもコミッショナーが、国連・子どもの権利条約に関する親向けのガイドページ "UN Convention on the Rights of the Child - Guide for parents" を開設しました(6月13日発表)。
![](https://assets.st-note.com/img/1656937521170-B5SxJyNhZW.jpg?width=1200)
ガイドページは次の4つのパートから構成されています。
● はじめに(Introduction)
● 発言権がある(Having a Say)
● 可能性を最大限発揮できるような育ち(Growing up to reach their full potential)
● 安全でいる(Staying Safe)
たとえば〈発言権がある〉のパートでは、
「すべての子ども・若者に、自分たちに影響を及ぼす決定における発言権があります。
つまり大人は、子どもに影響を及ぼす決定を行なうときは常に、意見を共有する真の機会を子どもに与えるべきですし、子どもの意見を真剣に考慮すべきだということです」
と説明したうえで、〈子どもは具体的にどのような権利を持っているか?〉として国連・子どもの権利条約の12条(子どもの意見の尊重)と13条(表現・情報の自由)の条文が紹介されています。
そして、最低限期待できなければならないこと(What you should expect - The Minimum)として、次のように説明しています(太字は原文ママ)。
子どもの発言権と情報提供の保障
お子さんが、州区・市議会であれ、学校であれ、それ以外であれ、公的機関と何らかの関わりを持つ場合、基本的な取り扱われ方として期待すべきことがいくつかあります。
その基本のひとつは、お子さんは発言権を行使できなければならないということであり、大人はお子さんの意見を真剣に受けとめなければならないということです。
● 大人は日常的にお子さんの意見を尋ねるべきで、一度きりで済ませるべきではありません。こんなふうに考えてみるとよいでしょう――大人は、子どものためにではなく、子どもとともに決定を行なうべきなのだと。
● 大人からお子さんに情報が提供される場合、その情報は、お子さんの年齢にふさわしい言葉または形式で用意されるべきです。また、お子さんの成熟度、文化、障害の有無も考慮することが求められます。
これに加え、他に期待できること(What else can you expect?)として、ウェールズには次のような取り組みを行なっている機関があることも紹介されています(Some real-life examples として具体例も2つ挙げられています)。
● 報告書や、通常は大人向けにのみ書かれることが多いその他の文書の子ども版を作成する。
● 国連・子どもの権利条約に基づく子どもの権利をその機関がどのように尊重していくかについての情報を、子どもたちに提供する。
● たとえば質疑応答セッションなどの一環として、幹部や意思決定担当者に直接質問する機会を子どもたちに提供する。
● 日常的にともに活動するユースフォーラムを設け、アイデアを出してもらったり、活動についてのフィードバックを受けたり、以前に行なった約束を思い出させてもらったりする。
● 子どもたちの関与を得て、自分たち自身でサービスのあり方を決めていけるようにする。
あわせて、2010年子どもおよび家族(ウェールズ)法の12条で、
「地方当局は、子どもに影響を及ぼす地方当局の決定への子どもの参加を促進しかつ推進するために適切と考える取決めを行なわなければならない」(1項)
と定められていることも付記されています。
また、〈可能性を最大限発揮できるような育ち〉のパートでは、子どもの権利条約の関連条文を紹介したうえで、▽障害、▽追加的学習のニーズ、▽差別、▽遊び、▽親の役割の各問題について。法制度や相談先などが紹介されています。
これらのパートでは子どもの権利条約を踏まえた法制度や取り組みを紹介することが主眼になっていますが、〈安全でいる〉のパートではもう少し具体的なアドバイスが掲載されています。たとえば、虐待との関連では次のように書かれています。
私には何ができる?
● お子さんに、安全でいる権利があることを教えましょう。誰かから安全じゃない思いをさせられたと打ち明けても、何も悪いことは起きない(たとえ相手が家族や友人であったとしても)と教えておきます。
● お子さんが、自分の体は自分自身のものだということを知っておくようにしましょう。NSPCC〔全英児童虐待防止協会〕のPANTSルールを見てみてください――性的虐待から身を守ることについてお子さんに話をするのに役立つかもしれません。
〔平野注/PANTSルールについてはたとえば遠見 才希子〈「パンツの中は大事大事」産婦人科医が実践!2歳でもわかる性教育の中身〉参照。〕
● お子さんに、いやな感じがすることをやるように誰かから言われたときは「いや」という権利があることを教えましょう。
他の人たちは何をすべき?
● お子さんの学校は、安全でいる権利についてお子さんに教えるとともに、安全ではないと感じたときは信頼できる大人に言うよう奨励するべきです。
● コミュニティのクラブは最新のセーフガーディング方針(子ども保護方針と呼ばれることもあります)を定めておくべきです。このようなクラブとしては、スポーツクラブ、ダンスクラブ、スカウト団(brownies and cubs)、信仰に基づくグループなどが考えられます。
● 心配な子どもがいるときは、私たち、NSPCCまたは地元のソーシャルサービスに連絡してください。
子どもコミッショナー/オンブズパーソンの重要な機能のひとつに子どもの権利に関する意識啓発がしばしば挙げられますが、その実践例のひとつとして紹介しておきます。
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