見出し画像

スコットランド「子どもの権利条約編入法案」に関する意見募集

 スコットランド(英国)で「国連・子どもの権利条約(編入)(スコットランド)法案」が議会に提出されたこと(9月1日)を以前の記事で紹介しました。

 これにともない、スコットランド議会の平等・人権委員会が法案に関する意見募集を実施中です(9月7日~10月16日)。とくに18歳未満の子ども・若者の声を聴きたい様子がうかがえますが、それ以外の人々も対象となっています。11月か12月に公聴会を開催し、議会への報告書を作成するとのことです。

 募集要領に掲げられた法案の説明が全体像をつかむのにわかりやすいと思うので、参考までに抄訳しておきます。日本でも、子どもに直接(または相当程度)関連する法案や政策案については、チャイルドフレンドリーな資料を作成したうえで、子どもに特化したパブリックコメントを実施するようにする必要があります。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

法案

 この法案は、国連・子どもの権利条約(UNCRC)をスコットランドの法律の一部にしようとするものです――これはしばしば「編入」(incorporation)と呼ばれます。つまり、政府はUNCRCを法律として尊重しなければならなくなるし、裁判所は、政府がUNCRCという法律を尊重したか、それに違反したかを決める手助けをできるようになるということです。

 UNCRCは、子どもたちの権利を守ると約束した国々による大切な合意です。UNCRCは、子どもの範囲、子どもが持っているすべての権利、そして政府の責任について説明しています。そこでは、次の権利のような、子どもの生活のすべての部分がカバーされています。

● 意見を聴かれる権利(12条)
● 教育を受ける権利(28条)
● 遊んだり休んだりする権利(31条)

 つまり、こういうことです。

● スコットランド政府は、国を運営するときに常に子どもたちの権利を尊重しなければならなくなる。
● 子どもたちの権利は、学校や病院で、警察によって、そして子どもたちの生活に影響を与える決定をするその他の人々によって、尊重されなければならなくなる。
● 子どもたちは、自分の権利が尊重されなかったと思ったときは、不満を言えるようになる。深刻なケースでは裁判所に訴えることもできるようになる。

(中略)

法案はほかに何をする?

 法案は、UNCRCの編入とともに、子どもたちの生活が変わるようにするための他のことも行ないます。

● 18歳未満の子ども・若者全員の権利が尊重されるようにする。
● 公的機関(地方議会、警察、保健機関など)に活動のなかでUNCRCを尊重させる。
● 子どもたち、若者たち、そして子ども・若者を支える人たちが、UNCRC上の権利がきちんと「執行」されるよう、裁判所に頼むことができるようにする(つまり、自分の権利が尊重されなかったと子どもたちが考え、裁判所も賛成したら、裁判所は公的機関に対して行動を変えるように言うことができる)。
● スコットランドの大臣たちに、子どもたちの権利のためにどんな活動をしようとしているかを示す報告書(子どもの権利計画)を公表させる。
● 子どもの権利計画がどのようにうまくいっているか確認するため、スコットランドの大臣たちに毎年見直しを行なわせる。
● その他の公的機関に、UNCRCをどのように尊重しているかを説明する報告書を3年ごとに公表させる(このことはすでに「子ども・若者(スコットランド)法(2014年)」という別の法律にも書かれている)。
● 新しい法律やこれまでの法律がUNHCRと「両立している」(UNHCRを尊重している)かどうか決める力を裁判所に与える。
● スコットランドの法律がUNHCRと「両立している」(UNHCRを尊重している)ようにするため、スコットランド政府が法改正を行なえるようにする。
● スコットランド子ども・若者コミッショナーが子どもたちに代わって裁判所に訴えを起こし、またUNCRCについて裁判所に助言できるようにする。

noteやホームページでの翻訳は、ほぼすべてボランティアでやっています。有用だと感じていただけたら、お気持ちで結構ですのでサポートしていただけると、嬉しく思います。