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英国の4つの子どもコミッショナー、国連・子どもの権利委員会に共同報告書を提出

 英国を構成する4法域(イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランド)の子どもコミッショナーは、2020年12月、英国における子どもの権利の保障状況に関する共同報告書を国連・子どもの権利委員会に提出しました(12月18日発表)。

スコットランド子ども・若者コミッショナーのサイト
イングランド子どもコミッショナーのサイト
ウェールズ子どもコミッショナーのサイト
北アイルランド子ども・若者コミッショナーのサイト

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 この報告書は、英国の第6回・第7回統合定期報告書の審査に向けて、4法域のコミッショナーが共同で作成したものです。子どもオンブズパーソン/コミッショナーや国家人権委員会が設置されている国では、このような機関が政府とは独立した立場で委員会に報告書を提出することがしばしばあり、公的機関による情報として委員会からも非常に重視されています。

 英国はすでに簡略報告手続(Simplified Reporting Procedure)を選択しており、報告前の事前質問事項に対する文書回答を提出したうえで本審査に臨むことになっています。報告前の事前質問事項は、2021年2月の会期前作業部会で作成される予定です。本審査はこれまで2022年9月に行なわれる予定とされてきましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でずれこむ可能性があります(なお、委員会が英国に関して採択してきたこれまでの総括所見の日本語訳は私のサイトを参照)。

 4法域の子どもコミッショナーは2019年11月に共同で「中間レビュー」を発表しており、そこではとくに▼心身の健康、▼経済的安定、▼家族の支援、▼子どもに対する暴力、▼デジタル関連の権利、▼刑事司法、▼教育、▼子どもの権利の尊重の各分野について進展と課題が指摘されていました(Facebookへの以前の投稿を参照)。

 今回の報告書では、委員会が定めた定期報告書ガイドラインの構成に沿って、30項目の問題が指摘されています。それらの問題を一覧できるようにしたインフォグラフィックも作成されています。

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 COVID-19パンデミックが英国の子どもたちに及ぼしている影響についての報告も付属文書として添付されているほか、各コミッショナーが活動の過程で接してきた子ども・若者の声も盛りこんだ、共同報告書の子ども・若者版も作成されています。

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 以下、共同報告書で取り上げられている問題とはどのようなものか、見出しを訳出して紹介します(この先は有料にさせていただきます)。〈子どもの権利と利益が意思決定で優先されていない〉のように各見出しで端的に問題点を指摘するスタイルは、私がコーディネーターを務めた子どもの権利条約NGOレポート連絡会議のレポート(連絡会議編子どもの権利条約から見た日本の課題アドバンテージサーバー・2020年)とも共通しており、興味深い点です。事前質問事項に盛りこむべき質問案も、各項目ごとに記載されています。

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