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欧州評議会閣僚委員会、第4次子どもの権利戦略を採択

独立した国内人権機関を設置しておらず、人権条約の個人通報制度も受け入れていないアジアの国は、日本のほかに……?〉でも触れましたが、欧州評議会はこれまでに3次にわたる「子どもの権利戦略」を採択してきました。

「第4次戦略は今年4月に採択される予定」と書きましたが、戦略そのものは閣僚委員会によって2022年2月23日に採択されたとのことです。4月7~8日にローマで開催される会議で正式に発表されます。

★ Council of Europe (Newsroom): The new Strategy for the Rights of the Child (2022-2027) adopted by the Committee of Ministers
https://www.coe.int/en/web/portal/full-news/-/asset_publisher/y5xQt7QdunzT/content/the-new-strategy-for-the-rights-of-the-child-2022-2027-adopted-by-the-committee-of-ministers

 第4次戦略の対象期間は2022~2027年で、「子どもの権利の実践:継続的実施から共同的革新へ」(Children's Rights in Action: from continuous implementation to joint innovation)という副題がつけられています。策定過程には10か国から220人の子どもも参加したとのことです(2023年2月2日追記:詳しくは Defence for Children International Italy & Council of Europe, Report on child consultations informing the elaboration of the Council of Europe Strategy for the Rights of the Child 2022-2027 [March 2022、PDF] 参照)。

 戦略全文はまだ発表されていないようですが、今後6年間の重点目標には次の6つが挙げられています。

1)すべての子どもにとっての、暴力からの自由
2)すべての子どもにとっての、機会均等と社会的包摂
3)すべての子どもにとっての、テクノロジーの安全な利用へのアクセス
4)すべての子どもにとっての、子どもにやさしい司法
5)すべての子どもに対する意見表明の保障(Giving a voice to every child)
6)危機および緊急事態における子どもの権利

 参考までに、これまでの戦略の重点目標も紹介しておきます(一連の戦略の関連文書はこちらのページを参照)。

●第1次戦略(ストックホルム戦略、2009~2011年)
1)
子どもによる司法へのアクセスの促進
2)子どもに対する暴力の根絶
3)子ども参加および社会における子どもたちの影響力

●第2次戦略(モナコ戦略、2012~2015年)
1)子どもにやさしいサービスおよび制度(司法、保健および社会サービスの分野)
2)子どもに対するあらゆる形態の暴力の解消(性暴力、人身取引、体罰および学校における暴力を含む)
3)脆弱な状況に置かれた子どもの権利の保障(障害のある子ども、拘禁されている子ども、代替的養護下にある子ども、移住者の子ども、ロマの子どもを含むマイノリティの子どもなど)
4)子ども参加の促進

●第3次戦略(ソフィア戦略、2016~2021年)
1)
すべての子どものための平等な機会
2)すべての子どもの参加
3)すべての子どもにとっての暴力のない生活
4)すべての子どもを対象とする子どもにやさしい司法
5)デジタル環境における子どもの権利

 第4次戦略が公表されたら、あらためて詳しく紹介したいと思います。


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