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幼い子どもたちと相談するためのツールキット(スコットランド)

幼い子どもの参加:保育者向けのガイド(スコットランド)〉に続き、幼い子どもの参加に関してスコットランド(英国)で作成された資料をもうひとつ紹介します。3つの団体(Highland Child Protection Committee, Keeping Children Safe and Care and Learning Alliance)が共同で作成し、が2021年に発表した『もっとも幼い子どもたちとの相談ツールキット』Consulting our Youngest Children Toolkit〔PDF〕)です。

 このツールキットでは、幼い子どもたちとの相談(consultation)について次のように述べられています(p.3)。

幼い子どもたちとの相談は、単に子どもたちの意見を聴くだけに留まらず、本当の意味で子どもたちの声に耳を傾け、応答し、可能な場合は子どもたちの考えに基づいて行動するということです。また、自分に影響を与える事柄について影響力を行使する子どもたちの能力を、そして、大人が子どもの目を通して子どもたちの関心事や心配事を把握・理解し、子どもたちを危害から守る一助となれるように大人を支援する子どもたちの能力を、促進するということでもあります。

 さらに、幼い子どもたちの参加と意見表明のために必要な条件が、「空間」「やりとり」「体験」の3つをキーワードとして次のような図で説明されています(p.5)。

【空間】(Spaces)
・安全と信頼を促進する空間は、子どもたちが安心感を覚える支えとなる。
・子どもたちが意思決定への参加を奨励される、一貫したルーチンと適切な体験を提供する(例:「今日のおやつには何の果物を食べようか?」)。
・自制および社会情緒的スキルを促進する環境。
・子どもたちのレジリエンス、自信および表現の自由を支える環境は、自分のニーズや、誰および何が自分にとっての助けになるかを子どもたちが表明できるようにする一助となる。

【やりとり】(Interactions)
・豊かな成長に資する、愛情に満ちた、一貫性のあるやりとり。
・子どもたちとのコミュニケーション、オープンなボディランゲージおよび落ち着いた反応を引き起こすやりとり。
・子どもたちがボディランゲージや言葉を通じて反応するのを待ち、そのための時間を許すやりとり。
・すべてのコミュニケーションを――涙やかんしゃくも!――前向きにとらえて大事にしていることを示すようなやりとり。

【体験】(Experiences)
・探索や創造などのために用いる資源の選択肢が豊かな体験。
・子どもたちが物事を十分に試す機会を提供する体験。
・子どもたちの関心を反映する体験。

 続いて、幼い子どもたちとコミュニケーションをとるための手段としてパペットやクマのぬいぐるみ(Share Ted)を活用するやり方が紹介されています。詳細は省略しますが、「気持ちの絵文字棒」(Emoji Feeling Stikcs)を使ったものも含めてさまざまなアクティビティも提案されていますので、それらを参考にしながら独自のアクティビティを開発していくこともできそうです。

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