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ドイツ、デジタル環境における子ども・若者の保護および参加を強化

 ドイツ連邦議会は、とくにデジタル環境における子ども・若者の保護および参加を促進する目的で、2021年3月5日、青少年保護法(Jugendschutzgesetzes)の改正案を可決しました。

★ Media@LSE - New youth protection law: PARTICIPATION of children is a top priority
https://blogs.lse.ac.uk/medialse/2021/03/12/new-youth-protection-law-in-germany-participation-of-children-is-a-top-priority/

 法案等の関連資料はこちらから閲覧できます。5月1日に施行されました。

 同法では、デジタル化によって新たに生じるようになったさまざまなリスクに対処するための、予防原則に基づく措置をプラットフォーム提供者に対して義務づけています。リスクの発生源として挙げられているのは次のようなものです。

・ コミュニケーションおよび接触のための機能
・ 購買機能
・ ギャンブル類似の機構
・ 過度なメディア利用行動を助長する機構
・ 同意を得ることなしに行なわれる、インベントリ情報および利用状況データの第三者への開示
・ とくに他のメディアへの広告照会を通じて行なわれる、年齢にふさわしくない購買訴求

 このようなリスクを防止するための措置としては、▼子どもにやさしい利用規約、▼年齢に応じて利用のリスクを限定する安全なデフォルト設定、▼サービス提供者から独立した助言・援助・通報機構に関する見つけやすい情報の提供などが挙げられています。自主規制団体は、このような防止措置に関するガイドラインを、子ども・若者の意見も踏まえて策定することが求められているとのことです。

 その他の主な改正点についてはこちらのプレスリリース(ドイツ語)も参照してください。

 今回の改正により、これまで設けられていた連邦青少年有害メディア審査会(Bundesprüfstelle für jugendgefährdende Medien)は、連邦子ども・青少年メディア保護センター(Bundeszentrale für Kinder- und Jugendmedienschutz)へと改組されます。同センターに設置される助言委員会には子ども・若者の代表も含めるとされており、法律の実効性に関する定期的評価にも子ども・若者が参加していくことになるとのことです。

 前掲英文記事を書いたユッタ・クロール(Jutta Croll)氏(ドイツ・デジタル機会財団理事長)は、ドイツが国連・子どもの権利委員会が2月に採択したばかりの一般的意見25号(デジタル環境との関連における子どもの権利)を実施する世界で初めての国になったとして、今回の法改正を歓迎しています。

 ドイツ政府によるプレスリリースでは子ども・若者参加についてとくに言及されていないのが少々気になるところですが、この分野における子ども・若者参加がどのように進められていくのか、注目したいと思います。

 昨年9月に英国で施行された年齢にふさわしいデザイン:オンラインサービスのための実務規範なども参照。

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