マガジンのカバー画像

癒やしの間

9
キズを癒やせたら良いなと思い書いた作品です
運営しているクリエイター

#自傷

多様性のない森で動物達はお互いを知る

穏やかな陽気が動物たちを森の広場に誘った。 厳しかった冬の寒さが和らぎ、若い芽吹は樹々のあちこちで春の訪れを祝っていた。 一番乗りは小鳥たち。いつもより賑やかで、春の訪れを祝いひとときも黙るつもりはないようだ。新緑の枝に並んだ色鮮やかに縁取られた羽毛は、午後の日差しを一層と輝かせた。 続いて野ネズミの親子がやってきた。でもしきりに辺りを見回して、心配そうだ。 「大丈夫、誰もいないよ。」 一羽の小鳥がそういうと、父ネズミは立ち上がり軽く頭を下げた。 「ありがとう。僕等にも小

ウサギたちの宴

ウサギ達には秘密の宴があった。 満月の夜更に他の動物たちに内緒で集まるのだ。 動物たちの住む森の向こう、小さな池のほとりには不思議な草が生えていた。満月の日に赤い実がなって、その実を口にするとウサギ達は気分が良くなった。 ウサギ達は集まって、この実を口にして盛り上がった。食べ過ぎると気分が悪くなる。先月も年頃の娘ウサギが無理に食べ過ぎて、意識がなくなった。それでもウサギ達はこの実の魅力に取り憑かれた。一つ食べれば気分がフワフワする。二つ食べれば嫌なコトも忘れられた。三つ食べ

昨日会ったヒト

昨日会ったヒトは、哀しい目をしていた 青い空が、悲しいと言った 夜の闇が、不安だと言った 毒親、貧困、悲惨な家庭 乱れたココロは 伝わるの 家族みんなで 壊れてく ヒトに馴染めず 居場所もないの 虐め、虐待、非行に搾取 僅かな希望は 削がれて消えた 自傷にクスリ 逃げ出す先に 救いも希望も 何も見えない 恋に依存し 傷つけ合って 孤独が私の お友だち 手首の傷は 生きてる証  私がココに いるシルシ 誰を好きでも 構わない 生まれる子どもは 大変なんだ 子どもは親を 

身勝手ワガママ思いやり、愛のカタチは十人十色

傷つけずには いられないキミ 右手に残る 傷痕見つめ 何か気分が スッキリするの えぐれたココロを 不器用に癒やす 傷つかないと いられないキミ もっと私を 愛して欲しい 甘えすがって 歪んだココロ お互い傷つけ お互い様 傷つくことが 怖いキミ 口にも出せず 諦め顔で 空想 妄想 怯えたココロ 夜に枕を 一人濡らした 傷つけるのが 怖いキミ 終わりにしよう、と黙り込む 万策尽きた 疲れたココロ 互いに離れ 傷つかぬよう   愛にカタチが あるのなら きっとイビツで