生きにくい彼女のこと
その昔、動物たちが暮らす森に雌の若いヤマアラシが住んでいた。
その娘は毛並みも良く美人と評判だったが、厄介な問題をひとつ抱えていた。
その年の冬はいつもより寒くて、近くの川も端が凍るほどだった。吹きすさぶ風の強さに動物たちも凍えて日々を過ごしていた。
余りの寒さに、森の真ん中にある大木の洞はタヌキやウサギに人気の集会場となった。互いにひしめき合って暖を取るのだ。
「あんまり押すなよ、はみ出るじゃないか」
「文句言うなよ。後から来たくせに」
ワイワイ、ガヤガヤ、枝に集まった小