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癒やしの間

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キズを癒やせたら良いなと思い書いた作品です
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#自傷行為

多様性のない森で動物達はお互いを知る

穏やかな陽気が動物たちを森の広場に誘った。 厳しかった冬の寒さが和らぎ、若い芽吹は樹々のあちこちで春の訪れを祝っていた。 一番乗りは小鳥たち。いつもより賑やかで、春の訪れを祝いひとときも黙るつもりはないようだ。新緑の枝に並んだ色鮮やかに縁取られた羽毛は、午後の日差しを一層と輝かせた。 続いて野ネズミの親子がやってきた。でもしきりに辺りを見回して、心配そうだ。 「大丈夫、誰もいないよ。」 一羽の小鳥がそういうと、父ネズミは立ち上がり軽く頭を下げた。 「ありがとう。僕等にも小

生きにくい彼女のこと

その昔、動物たちが暮らす森に雌の若いヤマアラシが住んでいた。 その娘は毛並みも良く美人と評判だったが、厄介な問題をひとつ抱えていた。 その年の冬はいつもより寒くて、近くの川も端が凍るほどだった。吹きすさぶ風の強さに動物たちも凍えて日々を過ごしていた。 余りの寒さに、森の真ん中にある大木の洞はタヌキやウサギに人気の集会場となった。互いにひしめき合って暖を取るのだ。 「あんまり押すなよ、はみ出るじゃないか」 「文句言うなよ。後から来たくせに」 ワイワイ、ガヤガヤ、枝に集まった小

生きにくい彼女の恋物語

その昔、動物たちが暮らす森に雌の若いヤマアラシが住んでいた。 その娘は毛並みも良く美人と評判だったが、厄介なトゲのせいで他の動物たちと仲良くできずにいた。 彼女は日々苦しんでいた。もともとは彼女が幼いこどもの頃からだ。 家族同士、お互いのトゲが刺すからスキンシップのない家庭で育った。互いに傷つけ合う歪んだ関係は普通の家庭にはなかった。やがて父親が他所にその幸せを求めた。母親も散々悩んだ挙げ句、家庭を見捨てて安らぐ先で落ちついた。一人残された彼女に残ったのは人気のない広い家と

傷だらけのキミに伝えたい

少しの記事だけ 知ってるキミは 名前も顔も 分からないけど  助けて欲しい 言ってたキミに 届きますよう 願いをこめて 例えば、彼らは シカの群れ ついて行ったら 疲れてしまう 無理をしてたら 疲れてしまう  足はフラフラ 心はボロボロ 疲れちゃったら 休みなよ 自分のペースで 良いんだよ 人と比べて 悲しくなるより 自分を好きに なれたらいいね 自分を大事に できないと 大事なものを 大事にできない 心に余裕が ないからね 自分のことで いっぱいいっぱい キミはその