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まいやー視点のシガーボックスの歴史

こんにちは、まいやーです。
この記事はshotaくんが作成した以下記事に影響され、「自分の視点でも書いてみたい…!」と記憶を掘り起こしながら書きました。
簡単ではありますが楽しんでいただけますと幸いです。

ありがとうshotaくん。

自己紹介

名前:まいやー
出身サークル:九州工業大学ジャグリングクラブピルエット
ジャグリングを始めた時期:2013年4月~
今は細々とジャグリングを楽しんでいます。


~2013年(自分がシガーボックスを始める前の歴史)

自分がシガーボックスを始めたのは2013年の4月からですので、それ以前のシガーボックスは実体験ではありませんが、
昔諸先輩方から聞いた話や、過去の動画を見て感じたことなどを下の世代に残す意味も含めて書き記したいと思います。
もし間違いがあったら指摘いただけますと幸いです。

まず、一番初期のシガーボックスとしてはKris Kremoのような、サーカスジャグリングとしての要素が強かったのかと思っています。
ナランハの教本でも基本技として紹介されている中抜きや外抜き、大回転など、オーソドックスなスタイルがここで確立されました。

その後、日本でいつ頃からシガーボックスジャグリングが輸入されたのかは分からないのですが、シガーボックスの開拓が進められ…

Youtubeで動画として残っているものとしては、
JJF2008年で古谷さんが出場したり

JJF2010でYAYAさんが出場したり

JJF2012のCSにほっしぃさんが出場したりしていました。

今となっては早い人はシガーボックスを始めてから半年とかからずに成功する人もいる技となってしまいましたが、
YAYAさんが色変えレインボーを、
ほっしぃさんがダンシーズをそれぞれCSで最初にやった方だったと記憶しています。
サークルで保管されていた動画にYAYAさんが出場した年のCS本番動画があったので見たことがあるのですが、
レインボーの色変えでめちゃくちゃ盛り上がっていた記憶です。
残念ながら2023年にHPが閉鎖されてしまいましたが、竜半さんが作成、公開していた「ドラゴンの挑戦」というサイトも当時のシガーボックスジャグラーが練習する上で大変参考になったと聞きました。

また、Youtubeでは動画を見つけられなかったので上記では言及しませんでしたが、
JJF2009ではジュリアンさんがシガーボックスでCSに出場しています。
ジュリアンさんのルーティンでは5シガーの大回転背面キャッチをしていたことから、
大回転の背面キャッチを「ジュリアン」という名前で呼んでいた時代もあったようです。
※ジュリアンさんの大回転背面キャッチは特徴的で、いわゆる膝を曲げてしゃがみ込んでだキャッチではなく、直立した状態でのキャッチでしたが、
この直立した状態での背面キャッチをジュリアンと呼ぶのか、大回転背面キャッチ全般をジュリアンと呼んでいたのか定かではありません…

また、JJF2012ではアーロンチルドレン(Yuさん、稲葉さん、秋田さん)もチームとして出場していました。
アーロンチルドレンの方々はJJF2016でも2度目のCS出場を果たしたほか、個人でもJJF CSに出場したり、optica( https://x.com/optica_PV ) やaube( https://x.com/aube_0218 )を設立、活動したりとシガーボックスだけでなくジャグリングの界隈に大きく影響を与えていました。
それぞれが様々な技動画を作成、Youtubeに投稿してくださったおかげで、その当時のシガーボックス界隈の技術の発展にも大きく寄与していました。
技の流行りなどについてはその後の章でお話できたらと思います。

このあたりの時代のシガーボックスとしては、総じてダイナミックな、静と動がはっきりしているルーティンが多かったという印象です。
テンポを取りやすいシガーボックスという道具の性質を生かして、挟んだり引っ付けたりしつつキレの良い動きを行う、というのが当時の流行りだったのかと伺うことができるかと思います。
ルーティン曲もJ-Popなど歌詞がある曲ではなく、スウィング系や和風のインストゥルメンタルなど歌詞がない曲が好まれていました。

話は逸れますが、昔の動画と言えばKristian Kristofの1アップ4回転ピルエットの動画がありました。
日本人で3upトリプルピルエットまでは見たことがあるのですが、クアドラブルピルエットは見たことないですね。(というか海外のシガーボックスジャグラー含め、この動画以外の成功例を見たことがない)


2013年~2015年

前章の通り、これまでのシガーボックスはダイナミックさを求める道具という印象でしたが、
明確に変化したと感じるのはJJF2013CSのJINくんの演技からかと思います。

もちろんそれ以前もおっとりした曲でシガーボックスの演目を行っていた方はいましたが、従来のようなややガニ股気味に、膝の屈伸を使った動きではなく、
できる限り上下の屈伸を少なく、技をこなしていく姿に多くのシガーボックスジャグラーが影響を受けたことだと思います。

当時のJINくんが取り入れていた技の系統として、とんがりコーン(下から上に引っ付ける系統)やマニピュレーションは今でも演技に取り入れる人を見ますが、
スライド系(=スリップ系/横向きに引っ付ける)は技を拡張することが難しいからか、今ではあまりやる人を見ない印象です。

また、このJINくんの動画でサムネイルにもなっているポーズは決めポーズが不足しがちな悩めるシガーボックスジャグラーへの救済措置であり、
ここからしばらく数年の間はこのポーズが流行りました。(特に歴が浅い若手シガーボックスジャグラー)
クロスキャッチか、脚を曲げたり伸ばしたりくらいしか決めポーズのバリエーションがない...!と悩めるシガーボックスジャグラーはみんなやっていたし私もしていました、このポーズ。

またJINくんに限らず、同年にはサクユさんがEJC2013のOpen Stageに出演されていたり


翌年2月にRyan Mellorsがシガーボックスの動画を出したりと、急にマニピュレーションシガーの動画が増えた印象です。

また、後世のシガーボックスジャグラーに大きな影響を与えたといえば、たつるさんも外せません。
shotaくんのnoteでも言及されていましたが、先述のJINくんとはまた違った身体の柔らかさを取り入れた動きに加え、従来の技術とは異なった逆手持ちへのアプローチ、使い方が印象的でした。

特にこの「電車、滑り落ちる、ヘッドフォン」のルーティンはこの時代にシガーボックスをしていたジャグラー、特に若い世代で大きく流行りました。
このルーティン中にも行われている、逆手持ち(いわゆるスイングの持ち方)での左右のアウターバランスや、逆手持ちで2個保持しつつ、残りの1つでボディスローを行うシーケンスは今でも見かけることがあります。

今までは挟むor順手持ちで保持するのが一般的でしたが、逆手持ちでの保持が流行ったのはこのあたりからかと感じています。

また、3シガーで滑らかな身体操作が増えたのと並行して、ナンバーズ(4シガー、5シガー)も少しずつ界隈全体のレベルが上がっていったという印象があります。
先述のJINくんが4シガーの633や5ダイヤをCSで取り入れたことをきっかけに、多くのシガーボックスジャグラーがダイヤモンド、ダンシーズなど3-1の状態(ひっつけで片手に3個保持する)でのループ技を取り入れていきました。
今まで4シガーや5シガーをルーティンに組み込むとなると単発技か、テイクアウト系を連続で行うことが一般的でしたが
ダイヤループをはじめ、3-1からのシーケンスの方が好まれるようになった印象です。


2016年~2018年

2015年までの時代を経て、さらに4シガー、5シガーの技術はブラッシュアップされていきます。

2015年~2016年くらいになると、女性のシガーボックスジャグラーでも5ダイヤを成功した、という話をちょこちょこ聞くようになり始めました。
4ダイヤ、5ダイヤの練習方法が確立されていくことで、
筋力的に比較的不利な女性でも効率的に身体を動かし、成功させる方法ができたのかと思います。(もちろん本人の努力あってのものではありますが)

また2015年末にきぞは工房より「かずはこ」の発売が開始されました。
これはこれまで使用されていたヘンリース社製のシガーボックス(6x12x18[cm])やdube社製のシガーボックス(6.3x13.3x19[cm])よりもさらに短くなったシガーボックスであり、
シガーボックスという道具の特性上、数が多くなると腕の長さが足りなくなる、といった身体的なハンデをかなり解消する道具となりました。
ここから先、現在に至るまでのシガーボックスのナンバーズにおいて、技術の向上に最も貢献した開発の一つではないでしょうか。

2013年~2015年の時代を経て、ルーティンとしてはさらにしっとりした世界観や動きを好む人が増えたように感じます。

前項でも紹介したJINくんのJJF2016予選動画や、JJF2018CSのまどころさんもそうですが、
シガーボックスジャグリングにおける動きが拡張され、各々がルーティンでの性格や個性を技の火力以外、身体の操作性などでも出しやすくなりました。

なお、JJF2017CSでのクロ助さん(動画無し)も上記のお二人とは別ベクトルですが、とてもキャラがたっていた演目でした。
クロ助さんの芸風をJapanese standard styleとして伝えた人がいるとかいないとか。


2019年~2024年(現在)

2019年に入ってからは皆さんご存じの通り、コロナ禍に入ります。
日本のアマチュアジャグリングという文化は半数以上が学生サークルで占めていたということもあり、コロナによりサークル活動が制限されてからは一気にそれまでの盛り上がりを失ってしまいます。
そのような中でもシガーボックスを続けてきたジャグラーは元々培ってきた技術をコロナ禍でそれぞれが更に伸ばしてきた、という印象であり
今までのような界隈全体の流行り、というのを個人的には感じ取ることができませんでした。

また、コロナによる規制が緩和され始めてから2,3年、
現在はスイングキャッチとトスシガーの複合技が現在の現役のシガーボックスジャグラーの中で流行っていると感じます。
従来の633やおときboxの拡張に加え、4シガーのファウンテンをこなす人も以前より増えたのではないでしょうか。
これらのトス技はどうしても大きいオブジェクトが不利になるため、かずはこの使用者も従来より増えていると感じます。

そこからさらに最近、この1年くらいはマグネ系統(複数のシガーボックスをくっつけてトスする技術)も増えてきました。
その前はまつながくん等がコロナ前くらいに技術を伸ばしていた系統ですが、
現在の学生シガーボックスジャグラーの中で再評価されたのか、いろいろな方が挑戦している姿を目にします。

ルーティンとしては求められる火力/難易度に合わせて、難しい技をこなすことを重視する人が増えたように感じます。
シガーボックスジャグリングとして抑えるところは抑えつつ、難易度の高いトス技で攻めていく感じでしょうか。

この難易度と動きを両方抑えつつ、今現在シガーボックスジャグリング界隈最前線を突き進むうちの1人がmtnくんですね。
従来の3-1に限らず、2-2の系統や高いトス技術、さらにそれを5シガーに拡張した技術などの高い技術力が評価され、JJF2022CSでは見事優勝を果たしていました。シガーボックスがJJFCSの男子個人部門で優勝するのはこれが初めてだったのではと思います。


終わりに

ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
ここから先のシガーボックスがどのような発展をしていくのかは分かりませんが、
個人的にはナンバーズの火力も上がりつつ、かつ身体操作を意識する2013年〜2015年頃の流れを踏襲していくのではと考えています。
そうなる場合、更にシガーボックスのサイズが小さくなるか、もしくは安定してシガーボックスをするための身体操作方法や筋トレ方法などが確立されていくのかもしれません。
ここから先のシガーボックスでどのような技が生まれるのか、未来が楽しみです。


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