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「君のコレクションにはテーマがない」

37年前の昔話だ。切手収集が趣味だった。大手町にあった逓信総合博物館(現在は郵政博物館)に行っては切手販売ブースに立ち寄るのが楽しみだった。ある日、切手商のおじさんに私のコレクション(ストックブック)を見せた際にそんなことを言われた。「花とか生き物や乗り物とかをテーマに切手を集めている人が多い」とアドバイスされた。私は若気の至りでムッとしてしまい「切手収集にテーマが必要なのか?」と疑問に思った。言われてみれば確かに私の切手収集にはテーマがなかった。未使用使用済問わず郵便局で買える普通切手や記念切手をひたすらストックブックに放り込むだけのコレクションだった。切手収集関連の書籍を見ても「切手をストックブックに入れてるだけではコレクターとは言えない」などと書かれていてチクチクした思い出がある。案の定、私の切手収集は永く続かなかった。テーマを持たなければコレクションの焦点が定まらず、ひたすら延々と切手を買うだけの沼にハマる。だからこそテーマが必要と言いたかったのだろう。これはレコード収集にも通じることでテーマ(ジャンル)を絞ることで収集の密度を高める重要性を痛感させられる。その後、友達の影響で同人誌を描き始めてからは次第にそっちのけになって集めていた記念切手も同人活動(文通)に使う始末だ。ただ明治大正時代の切手は今も大事に持っている。当時の私はおじさんにテーマを伝えられなかったが今なら言えるだろう。「レトロな切手を集めてます」、と。

CDケース型ストックブック
解説書
明治大正昭和(戦前)時代の普通切手を集めていた。

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