保険金と受取人

保険商品は、保険法の規律に従う。
ただ、保険法では強行法規となる部分は明示されている。
従って、保険法で定める強行法規に違反しない限りは、各保険商品の保険約款でルールを定めることができることとなる。
そして、保険約款で定められていない場合に、保険法及び民法の定めるルールに従うこととなる(強行法規となっているルール以外)。

死亡保険金を受け取ることができるのは・・・
1 受取人と指定された者
2 受取人無指定の場合は、保険約款の記載に従う。
  保険約款に記載がない場合は、当該保険契約が契約者自身の利益のためのものなのか、第三者の利益のためだったのかについてのケースバイケースでの判断になる。

【事件番号】 東京地方裁判所判決/平成7年(ワ)第22958号
【判決日付】 平成8年7月30日
本判決は、保険金受取人の指定が無効とされた場合の生命保険金請求権は、保険契約者(被保険者)自身に帰属するものと解すが相続分の割合で取得するとしているが、公序良俗違反により受取人の指定か無効な場合は、結局受取人の指定がなかったことに帰するので、契約締結の当初から保険契約者(被保険者)が保険利益を享受すべき自己のためにするとで、自己のためにする生命保険契約における保険金請求権の帰属に関する通説(大森忠夫『保険法〔補訂版〕』二七三頁、西嶋梅治『保険法〔新版〕』三六〇頁等)に従った結論を導いたものと思われる(公序良俗違反を理由に保険契約者の意思を排除する場合には、第三者のためにする生命保険契約であると解する余地はないであろう)。その点で、本件は、受取人の指定があったものとされた事案における保険金請求権の帰属についての判断を示した最近の判例(最二小判平6・7・18民集四八五号一二三三頁・本誌一四〇七号七一頁。保険契約において保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合は、特段の事情のない限り、右指定には相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれ、各保険金受取人の有する権利の割合は相続分の割合になると判示。)とは事案を異にする。
 類似の裁判例が見当たらないなか、本判決の保険金請求権の帰属に関する処理は、実務上参考となろう。    (金融法務事情1468号45頁)

3 受取人を「相続人」としていた場合は、法定相続分に従って相続人が受け取る。
4 受取人として指定された者が保険契約者より先に死亡していた場合は、約款の定めに従う。約款に定めがなければ、保険法第46条、民法427条により、保険金受取人の相続人が均等に頭割で受け取る。
 ※ 受取人が被保険者の場合も同様。

(保険金受取人の死亡)
保険法第46条 保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。


(分割債権及び分割債務)
民法第427条 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

参照





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