ドラマ「表参道高校合唱部!」
(ネタバレあり)
前の「妻、小学生になる。」のことを調べていた時、「TBS金曜ドラマが切り開く“視聴率”だけではないテレビの未来」という記事を見かけました。その著者はTBS「金曜ドラマ」の魅力を語って、色々なTBS「金曜ドラマ」を紹介してくれています。褒めている作品の一つは2015年の「表参道高校合唱部!」です。
若手俳優を輩出した学園ドラマと言ったら、近年の「3年A組」が一番印象に残っています。担任の先生役の菅田将暉はさておき、生徒役の川栄李奈、上白石萌歌、永野芽郁、今田美桜、森七菜、福原遥など、今はもう朝ドラやプライム帯の主役になっています。でも、上記文章で書いた「表参道高校合唱部!」の若手俳優陣も結構豪華です。ヒロインの芳根京子を始め、葵わかな、志尊淳、森川葵、高杉真宙など、テレビファンならきっと彼らを知っています。一瞬だけど、永野芽郁も一つのシーンに出ました。今人気がある赤楚衛二は「表参道高校合唱部!」の第1話から最終話までセリフがまったくないですけど、彼の笑顔が100人の名俳優の出演にあたる、と妻はそう思っていますから、「表参道高校合唱部!」で赤楚衛二の出演を知ったら、見逃すわけがなくなりました。
赤楚衛二の出番はともかく、合唱団で知り合った妻と私は、もっと早く「表参道高校合唱部!」を観るべきでした。音楽の描写は「のだめカンタービレ」よりそんなに深くないですが、合唱のウォームアップや、呼吸のテクニックや、コンクールの曲選びのコツなど、ぜんぶ妻と私が経験したものです。ネットの資料によると、撮影現場で収録した声ではなかったですが、ドラマの収録曲はキャスト自身が歌っていました。ある1話のストーリーの中でも、感情なしと感情たっぷりのシーンがあり、その対比が上手く表現できていて、役者たちの合唱力に脱帽しました。
他の役も、まるでディズニーの作品のように、全員歌うことができます。合唱団顧問役の城田優は歌手としても活躍していますが、堀内敬子や高畑淳子の歌唱力に驚きました。多分、ドラマで言っている「歌(うた)の語源は訴える(うったえる)」のとおり、経験がある役者なら、歌で感情を表すことも上手にできます。
でも、合唱部副顧問の女優の歌は断然桁違いでした。他のドラマでその女優を観た印象はないですが、彼女の声は絶対プロのレベルだと思います。あるシーンで、合唱団の前で踊ったり歌ったりして、あっけなく全員の声を圧倒しました。それは彼女の声量と関係なく、リード・ボーカルとしてのクオリティーです。調べたら、彼女は数ヶ月前に訃報が出た神田沙也加さんです。残念ですが、彼女の声や出演を観るチャンスはもうなくなりました。
「表参道高校合唱部!」のストーリーは予測できる展開ですが、「信念があれば何でもできる」という熱血ドラマはいくら観ても飽きません。芳根京子の役が両親の関係を修復させるために、探しているのは「愛の歌」そのものというより、両親の「愛の思い出」です。この合唱ドラマを観たら、私も妻と一緒に合唱したことを思い出しました。いや、もうちょっと前の高校時代に、合唱と共に当時好きだった同級生のことも思い出しました。その歳月の記憶に吸い込まれてしまうとは、「表参道高校合唱部!」が描いた、合唱の力です。
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