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ドラマ「ザ・トラベルナース」

(ネタバレあり)

「ザ・トラベルナース」は2022年秋期のテレビ朝日のドラマです。全八話の医療ドラマで、他の民放連続ドラマよりちょっと早く結末を迎えました。

主演が岡田将生だと書いてありましたが、宣伝ポスターからストーリーまで見てみると、中井貴一とダブル主演のような感じがします。岡田将生が演じている那須田歩の役は、NP(Nurse Practitioner)として敏腕なスキルを持っていますが、まっすぐだけど短期な性格で、周りの人をよく怒らせてしまいます。それに対して、中井貴一が演じている九鬼静の役は、一見落ち着いていて、「人を見て人を治す」を旨として紳士的な態度で人に接していますが、裏では他人を脅迫してでも目的を成し遂げる一面もあるようです。こういう二人という設定で、ライバルの関係で、どちらがいいとははっきり言えず、互いに補っているような話だと私は期待していましたが、結局、中井貴一の九鬼静の方がうまく問題を解決できるし、財団の理事長として、ずっと岡田将生の那須田歩の役の成長を見守っていることも明らかになりました。ライバルというより、まるで師匠と弟子の関係のように見えます。

このドラマの平均視聴率、12,1%からすると、人気は結構ありそうです。脚本家中園ミホさんは、「やまとなでしこ」や「ハケンの品格」のような人気作品の脚本を担当したことがあります。そして、多くの人がよく「ザ・トラベルナース」と中園ミホさんが同じく書いた「Doctor-X 外科医・大門未知子」と比較しています。「観るならシーズン1から観なきゃ」というタイプの私は、まだ「Doctor-X」を観たことがないですが、利益だけ目指している病院側と対抗していることはこの二つのドラマの共通点みたいです。いつからか分からないのですが、多くの医療ドラマの管理層は悪人というパターンが多いように思えます。小さな存在である「ザ・トラベルナース」の看護師さんたちがそんな管理層に勝つシーンを観るたびに、すっきりした気分になります。それに、毎エピソードがたいてい「一話完結」の流れで、ストーリーが理解しやすくて、途中の一、二話を見逃しても平気です。視聴者の一日の仕事が終わり、どれにしようかなとドラマを選ぶ時、「ザ・トラベルナース」ならハズレがない選択だとおもいます。

でも、同期のドラマの競争は激しかったです。「ザ・トラベルナース」はよりよい視聴率を得られていても、オリコンドラマ満足度ランキングでずっとフジテレビ系の「silent」、「エルピス」、「PICU」、そしてTBSの「クロサギ」に負けています。「ザ・トラベルナース」の足りない部分と言ったら、上記ドラマの「連続感」とストーリーの深さです。同じ医療ドラマの「PICU」のあるシーンで、小児患者が移植待機について「(他の)子供が死ぬのを待つのが嫌だ」というセリフに、心を打たれました。今の視聴者が求めているのは、理解しやすさやスッキリとした気分だけではなく、もっと深いものではないか、と疑問を抱いています。

わざと「ザ・トラベルナース」のけちをつけるつもりはなくて、観たことは正解だと信じています。が、「ザ・トラベルナース」がフライドポテトなら、他の2022年秋期ドラマでゆっくり味わえるのはフレンチコースで、ドラマの栄養バランスとして、どちらも食べてみたいと思います。

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