あおむし
生き物が好きだった。小学校の頃。モンシロチョウの卵を集めて、虫かごに入れていた。ある日のぞくと、あおむしだらけ。うひゃーと思ったが、その中の一匹をセーターの胸のあたりに付けて、学校へ行っていた。お気に入りのあおむし。かわいいあおむし。
しかしある日。そのあおむしの身体からなにやらで出来た。ぎょぎょっ。なんとあおむしに寄生するハチの幼虫があおむしの身体を破って出てきたのだ。
わたしのかわいいともだち。わたしのあおむしは短い生涯を閉じたのだった。庭の角にお墓をつくり、墓標もたててお祈りした。
再び、虫かごをのぞくと、今度はさなぎだらけになっていた。うひゃー。私はむしかごのふたを開けて、庭の角に置いた。さなぎからちょうへ。私が学校に行っている間に、寝ている間に、きっと次々とチョウが我が家の小さな庭から飛び立っていっただろう。
短い一生を終えたわたしのあおむしもまた、仲間達といっしょに飛び立っていったにちがいない。さよならあおむし。わたしのあおむし。
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