ちかし

インスタとかに書いていたもののアーカイブ的な。消えゆく、あるいはすでに断絶せるなにかを…

ちかし

インスタとかに書いていたもののアーカイブ的な。消えゆく、あるいはすでに断絶せるなにかを残しておきます

最近の記事

木と市長と文化会館 または七つの偶然

映画は色々と漁るより、つい同じもの何度も観てしまう。そのわたしの心理には、寅さんの新作が公開されたといって映画館に観に行く人がそれが新作であるにもかかわらずいつもの美女に振られるお馴染みの寅さんを求めて観に行くように、知らぬふりをしてまたいつもの驚きと笑いを体験したい、そんな少し自己本位な動機が潜んでいるのかしれない。というより、それは元来歌舞伎といい、大衆が芸術に求めるところのものであった。迂路をへて、結局は馴染み深い感情に至るのである。予定調和だが、知らぬふりをして驚き笑

    • スイカのはなし

       スイカのはなし これほど日々のうぐいすの鳴き声に、敏感に生きた年もなかった。もうそういう年齢なんだな。初音を昨日のごとく聴いて、気がつけば夏の暑さも盛りにちかく、みな鳥の声など聞きもあえず、あたまから水に浸かっている。一昨日くらいまでは村雨がこれば洗濯物をしまい、やめば、また干す日々。それが晴れたらもう耐えられない暑さだ。動きたくないから、することと言えば夏の思い出に浸るくらい。なぜか記憶は汗びっしょりかいて糺(ただす)の森を友達と歩いている情景に運ぶ。道徳の弛んだ十九の

    木と市長と文化会館 または七つの偶然