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たとえば、雲を描いているとき。
こう描けば、雲っぽくなるという型がある。それを反復して描き続きる。描いているうちに、引く線が遊んできて、雲というフレームからだんだんブレてくる。「雲」から派生した形が複数できてくる。
「雲」自体よりも、そうしたズレを感じることが楽しくて、ずっと線を引き続ける。正しい形からの逸脱。解答の後回し。そして、この表現の余剰から生まれるものの方が、雲が持つイメージに近かったりする。
形を変えて、その形が、その名前の外に名前を持つ。雲の面白さ。ちゃんと生きようとしても、寄り道ばかり。
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