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【絵日記】こんなコロナなご時世ですが#こんコロ2021

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2021年4月25日から、「こんなコロナのご時世ですが2 #こんコロ2 」を連載します。 2020年春、緊急事態宣言発令を受け、mokumoku studioはこの未曾有な時間を…
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#エッセイ

【絵日記#こんコロ-DAY147】 顔が足りない

文 掛田智子 絵 ちから 化粧箱ひっくり返して みるわたしの狂気 さみしさと あせりと 誤魔化すようなうっとりと 大切な順番がシャッフルされてる 意識の中の無意識が透けて見える 自分がかわいそうにこわい

【絵日記#こんコロ-DAY146】 大忠臣蔵

文 掛田智子 絵 ちから 大忠臣蔵を観ている 興味があるのは 自分の殿様のため 自分の命さえも投げ出す家臣がいて それは自分のアイデンティティを超えて まるで存在意義のように その忠誠心というのは なかなか想像がおよばない なぜ人はそうなれるのか そこまで捧げられるのか 現代の思想とはかけ離れつつも まったくいまどきありえない そう突き放すにはもったいない気がして なんだかヒントがある気がして 考えてる

【絵日記#こんコロ-DAY145】 秋の夜長に

文 掛田智子 絵 ちから 会議後のほてったからだと 煮えた頭を 秋の夜風で冷やす ああ気持ちいい 台風の影響か 今宵は良く風がはいる 仕事でむしゃくしゃして 自暴自棄になりそうでも 私はこの家で 丁寧に生きるんだ ご近所ではっくしょん わたしもはくしょん おんなじだね なんだかほっとする 秋もビール美味しい

【絵日記#こんコロ-DAY144】 時間とわたし

文 掛田智子 絵 ちから ぐっと息をとめて 今日が 今週が 今月が 今年が終わるのを待っていると すぐに歳をとってしまうよ 外では季節がうららかに巡っているよ 光を追いかけて 腕と脚を投げ出して 風に乗って生きていても 歳をとってしまうよ どうせ年齢を重ねるなら 風をとりこみ 光を掌に乗せて 無邪気にいきる

【絵日記#こんコロ-DAY143】 父を待つ犬

文 掛田智子 絵 ちから 父が東京に来ていた 過去数日用事で東京に滞在していた その分私たちは父とお酒を飲み楽しい時間を過ごせたのだが 問題は犬である 広島の犬である 父を何よりもの同士 いやマスターと考えているであろう犬が感じる寂しさは測り知れない 犬が幼児の頃からうちに来て父が数日間も留守にすることはなかっただろうコロナだし 玄関を見つめているという 毎時間見つめているという 父には そして母にも旅行に行ってほしいし いろんなところに連れて行きたい だけど犬が

【絵日記#こんコロ-DAY142】 買い物とは

文 掛田智子 絵 ちから 相方が悩んでいる かねがね欲しかったカメラを買うタイミングが来ているらしい しかし調べれば調べるほど 欲しいもの 必要なもの あったら良いもの 用途 必要な品質 求める品質 市場の品質 沼にはまるらしい とても念入りにリサーチするほうで 今回も例外なく しっかり悩んでいらっしゃる もう 見ているこちらが苦しくなるから 早く買ってしまいましょうよ 促したくなるのだけど 安い買い物ではないし このプロセスさえも愛でられる

【絵日記#こんコロ-DAY141】 週末はなぜ過ぎ去るのが早いのか

文 掛田智子 絵 ちから 待ちに待っても 心ゆくまで味わう前に 週末は過ぎ去ってゆく こんなに時間の流れがゆったりなのに 今日なんて昼寝もしたのに もう日曜日の夕方 1番憂鬱な時間 また早く会いたいよ 早く会いにきてね

【絵日記#こんコロ-DAY140】 虫 本 コーヒー

文 掛田智子 絵 ちから 本にどっぷりつかる時間を作りたくて でも運動もしたくて 考えこむ時間も欲しくて クオリティ高きティータイムもしたくて では全部してしまおう 名高き善福寺公園に向かうことに決め まずはおやつを Kiesさんで香り高いクッキーを買い込み 抹茶やココナッツ カルダモンのクッキーなんて 最高に決まってるじゃないですか Chava Coffeeさんで  ありとあらゆる産地と銘柄からひとつだけえらんで おねえさん 楽しいおしゃべりと わたしのわがま

【絵日記#こんコロ-DAY139】 耳の穴に水

文 掛田智子 絵 ちから 風呂に入った 久しぶりに耳に水が入っている 風呂の中でぴょんぴょん跳ねてみる だめだ 抜けない 風呂の外でも跳ねてみる 必ずいるのにな 水滴が だめだ まずバスローブを着よう 今もまだ抜けない 片耳がほわんとしている まあいいか 今夜はしごとはないし ほわんとさせとくか 子供の頃は怖かったな 耳や鼻の穴は 自分のものなのに 暗黒の闇

【絵日記#こんコロ-DAY138】 大切な友人の誕生日

文 掛田智子 絵 ちから 大切な友人の誕生日だ 9.9 一度覚えたら忘れない 20代前半で知り合って 振り返ってみるとたくさんの奇跡のあつまりなのだけど すべては当然のごとく自然に起こってきた 夕方から夜中まで飲んで 居酒屋さんを困らせたね それだけ話が尽きないってすごい 周りの人達を笑わせて 気遣いも半端なく素晴らしいけれど どこかで寂しさを抱えている そんな友人はとても魅力的だ これからどんどん年齢を重ねて 人生いろんなことが起きるけれど 一緒にいれたら良い

【絵日記#こんコロ-DAY137】 お花畑を探しに

文 掛田智子 絵 ちから 絵本やアニメで見たお花畑が見たかった 一面に広がる どこまでも続くお花畑 おじいちゃんにお花畑が見たいと伝え おじいちゃんは自転車の荷台に私を乗せ 考えつく限りのお花畑らしい場所を探した 広島市のど真ん中に 絵本で描かれるようなお花畑なんてない わかりきっていただろうに おじいちゃんは探し続けてくれた 水たまりほどに広がるシロツメクサ わたしはこんなんじゃない みたいのはこんな草むらじゃないと言った おじいちゃんごめんね それに加えて

【絵日記#こんコロ-DAY136】 今夜のサヨナラ

文 掛田智子 絵 ちから 言いたいことはいろいろあるのだが やはりここで言えるのが  私は生まれ変わったら野球選手になる 明らかな劣勢で 多くの人がチャンネルを変えていて ため息混じりに横目で試合を見ていて サヨナラ逆転ホームランなんて 明日の新聞が楽しみだし きっと多くの人が興奮して眠れない あるいは気持ちよく眠れる いいなあ野球て

【絵日記#こんコロ-DAY135】 前髪とリモートワークルージュ

文 掛田智子 絵 ちから 伸ばしていた前髪を切り 眉毛あたりのぱっつん 鏡を見るたびに新鮮だ 前髪をおろすだけで ぐっと気持ちが変わるのなぜだろう リモートだけど しっかりお化粧するタイプ 今日はきゅっと紅ひいて 前髪との組み合わせを楽しむ 誰も見てるわけじゃないのですよ 私と鏡の中の私と ときどき相方 私が鏡を横切るときに ちらっと私を確認して よし わたしかわいい そんなモーメントがあるから がんばれたりする

【絵日記#こんコロ-DAY134】  テクマクマヤコンコンパクト

文 掛田智子 絵 ちから 小さい頃どうしても欲しくて でもとても人気があったのだろう どの玩具屋さんでも売り切れだった だってどんな自分にでもなれる コンパクトの中央に人差し指と中指をあてて テクマクマヤコンテクマクマヤコン なりたい自分に変身できる 私が強く欲しがるものだから 母も必死で探してくれた ある日おじいちゃんといつものように 自転車を走らせて近所の古びた駄菓子屋に行ったらば あるではないか テクマクマヤコンコンパクト おじいちゃん 駄菓子と比べたら突発