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【絵日記】こんなコロナなご時世ですが#こんコロ2021

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2021年4月25日から、「こんなコロナのご時世ですが2 #こんコロ2 」を連載します。 2020年春、緊急事態宣言発令を受け、mokumoku studioはこの未曾有な時間を…
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【絵日記#こんコロ-DAY32】 鳥を想う

鳥がよくやってくる おしゃべりな鳥 隣の家の屋根の上のアンテナだかなんだかにとまる かわいい声でぴいひょらぴぴくくぴー カクカクしたそのアンテナだかなんだかから聞こえる声としては とても自由で伸びやかで なにかを仲間に伝えようとしているんだ 風がくるぞ 雨がふるぞ 敵が来るぞ 猫が庭に出ているぞ どんなことを伝えようとしているのかな きっとこの頭のボックスで考えても行き着かない 言葉とは不便なもので 伝える表現道具でもあれば 自分たちの思考を縛る制約でもある 私

【絵日記#こんコロ-DAY31】 グレイはグレイのままに

以前も年齢に関して書いた。 社会が定義する年齢層に適した行動や身だしなみ、 私は誰かが決めた定規に影響されたくない。 私は私が自分の身体を定義したいと思っている。 それは簡単なことではない。 難関の一つはグレイヘアだ。 20代の前半から体質的に白髪があった。 ここ数年で著しく増えてきた。 気にして部分的に生えては染め生えては染め、 繰り返していた。本当の自分の身体を否定しているような気分で、なんだか恥ずかしかった。 最近伸ばしていた黒髪に ハイライトを入れた。全体的に

【絵日記#こんコロ-DAY30】 広島名物 メロンパン -坂の途中の緑の看板

私はあまりパン食いではないのだが 広島に帰省すると追い求めるパンがある 広島県呉市 メロンパン 看板商品のメロンパンはずっしり重く、甘いクッキー生地の中に メロン風味のクリームがたくさん詰まっている もったりずっしり感は他のメロンパンとは一線を画す。 ナナパン、平和パンという伝説の強者たちも名を連ねる 母の実家が呉であるため、祖父母宅への道中でよく立ち寄った 車で行ってもとても不便なところにある 決して洗練されていて、美しいと褒めたくなるような街ではなく 市民の派手で

【絵日記#こんコロ-DAY29】 今週は忙しい。(明日から働きたくない)

なんだってどうだって。 今週が終われば、来週だけは。 これこれは私のキャリアにどうのこうのでコロナだのなんの。もう正しいタイミングなんて。 ビールは梅雨の時期こそどうの。 オリンピックは今年は安全だとかどうの。 あなたは私の感情逆撫でていかが。 日も暮れあなたとわたし。

【絵日記#こんコロ-DAY28】 今日も洗濯物が乾かない

朝目覚めて、空を見上げる。 ああ、今日も洗濯物が乾かない。 いや、天気予報がどれだけ雨と叫ぼうとも どんより雲が空を覆ってても 決めたんだ。私は今日洗濯すると。 決心は揺るがない。 お風呂上がりにふわっとしたタオルに顔をうずめたい。私欲野望に溢れたこの世で、ささやかな望みじゃないか。それには太陽さんの力が必要なんだ。 私は洗濯が好き。 気持ちがさっぱり「やった感」があるからだ。 洗うが易し。干すが易し。 乾くのが、こんなに大変だとは。 少しだけ、おひさまがさして

【絵日記#こんコロ-DAY27】 もやもやをもやもやのままにする勇気

スーパーのお惣菜売り場をぐるぐるする。 お腹がすいていて、今日は何も作りたくないとわかっている。 他の店を探求する時間も体力もない。 お惣菜売り場に並ぶ品物は美味しそうではあるが、どれもピンとこない。 ぐるぐる何度まわっても品物が変わるわけではない。 結局妥協していくつか晩酌のつまみになりそうなお惣菜を選び、カゴにいれる。 何を食べてもしっくりこない。体も心も満足していない。 朝、出かける前に鏡の前で格闘する。 何を着ても似合わない。 何を着たいのかわからない。 この

【絵日記#こんコロ-DAY26】 年齢、ぐわんぐわん

私もいよいよ、社会的な定義だと「いい歳」と呼ばれる年齢になったのだろう。 大人がよく言う、歳のこと。 歳をとったから歳なのだから歳なのに。 私は無関係だし、これからも関係なく生きる。 身体の変化を感じる。 私の皮膚、血液、髪、爪。 一緒に生きて、呼吸してくれてる。 皮膚は私と社会を結びながら隔て、髪は私とは何者かを私の代わりに静かに叫び、胃は私の心が食べすぎたなにかを懸命に消化する。 時にははしゃぎすぎてる夏の子どもであり クリスマスを待ちわびる老婆であり 制服をカ

【絵日記#こんコロ-DAY25】 雨の日のイノベーション

雨は嫌いではない。 雨音を聞くのが好きだし、雨のにおいも好き。 車が走り去る時の音も好き。 だけどどうしても雨の日はめんどくさい。 荷物がひとつ増えるからだ。 可愛い傘を広げればよい。だけど、雨という地球の歴史が始まってから変わらずあるであろう自然現象に対して、人間の雨を避けるという、あるいは濡れないようにする、という方法はどれぐらい進化しているのだろうか。 こんなにデジタル化が進み、不可能が可能になる世の中なのに、「傘をさして雨を避ける」という方法はあまりにも古典的

【絵日記#こんコロ-DAY24】 犬の耳の裏のにおい

新聞の記事で「動物園のにおいがきついのでなんとかして欲しい」という苦情に対して、その動物園の園長さんがブログで「消臭剤や芳香スプレーにあふれる現代では、ネットで動物の画像を検索して楽しめば良いのかもしれない。でもにおいは動物にとって大切なコミュニケーション方法で、『嗅ぐ』ことも楽しんで欲しい」と回答をしていた。 実家にいる犬に会いたくて、毎日のように写真を見てはニヤニヤしているのだが、やっぱりにおいはどうにもならない。あのなんとも言葉では説明できない、耳の裏の匂いを、肉

【絵日記#こんコロ-DAY23】 漂流教室と今年の梅雨

日本の一部では例年よりも随分早く梅雨入りしたそうだ。 これから去年のような長雨が続くと思うと、世界で指折りの楽観主義者の私でさえも気が落ち込んでしまう。 最近ふと思い立ち、楳図かずお先生の名作「漂流教室」を読み返した。最後に読んでから10年以上経過していると思う。 1970年代に描かれたその作品では、ある小学校が学校ごと未来の東京に移動してしまい、変わり果てた環境の中で小学生達が必死で生き延びようとする様が表現されている。 未来の世界は、スモッグで空が覆われているため

【絵日記#こんコロ-DAY22】 昼寝はべつ腹

私は昼寝が好きだ。 もっと正確に言うと昼寝で得られる感覚が好きだ。 昼寝は夜のそれとは異質で、より現実の体験を引きずっているのか夢を見ても妙になまなましい。 科学的な事はわからないが、脳がまだ半分覚醒している状態で眠りに落ちるからか、「映画を見ている感覚」で、夢を見ている自分を客観視している自分さえもいる。エンターテイメント性がある。ああ、興味深かった。と満足して目覚める時もある。 昼間の光を取り込んで、昼間の夢を見ることも多いし、奇妙にも明るい雰囲気に満ちているこ

【絵日記#こんコロ-DAY21】 私はさか上がりと跳び箱ができないそして今は誇りを持っている

体育の授業は苦痛だった。運動神経がそれはそれは悪い私は、何をやってもダメだった。ドッジボール、マット運動、徒競走。良い思い出が全くない。 さか上がりがどうしてもできなくて、母と放課後の学校の運動場で泣きながら特訓したのだけれど結局一回もできたことがない。 明日は跳び箱をやります。それは地獄への招待状。一晩中憂鬱な気分にさせた。家で布団を敷き詰めて、母にマット運動を教えてもらったっけ。後ろ回りができなくて。熱が入りすぎた母は、頸肩腕を痛めてしまった。 縄跳びの二重跳び

【絵日記#こんコロ-DAY4】4と5は両想いで7はキザ野郎

子供の頃は、いくつぐらいまでだろう、手のひらが自分のプレイグラウンドだった。 その得体の知れない物体を見つめ、始まったばかりの生命みたいな感覚と、自分という訳のわからない感覚と、そこにある身体とよばれる1部を恐れては、たまに忘れ、眺めてはぼうっと考えとは呼べない何か抽象的な物語を断片的に、その手のひらに投影していた。 持て余していたのかもしれない。世界という物が覆いかぶさって、大人は優しくも、訳がわからなかった。 考えとは呼べない抽象的な物語の断片は、数字から始まった

【絵日記#こんコロ-DAY3】こんなに飽きっぽい私が続けている唯一の事

朝食には納豆と目玉焼きとご飯を食べる。必ず食べる。 いや、1年に1、2度ほどスキップするかもしれない。体調が悪かったり、前日にあまりにもヘビーな物を食べすぎて膨満感にあふれている場合。海外にいる場合。 それ以外は毎日納豆と目玉焼きとご飯を食べる。海外に行って何より恋しくなる日本食が納豆、目玉焼き、ご飯である。これはもう儀式であり、作法がある。 まず目玉焼きを作る。フライパンに多めにオリーブオイルを入れ、低温のうちに卵を割り入れる。そして周りの白身が程よくカリカリになり、