マガジンのカバー画像

【絵日記】こんなコロナなご時世ですが#こんコロ2021

160
2021年4月25日から、「こんなコロナのご時世ですが2 #こんコロ2 」を連載します。 2020年春、緊急事態宣言発令を受け、mokumoku studioはこの未曾有な時間を…
運営しているクリエイター

#グラフィックデザイン

【絵日記#こんコロ-DAY37】 ショッピングの美学

オンラインでのショッピングは便利でよく利用するが、 やはり私は人から買うのが好きだ。 古い人間かもしれない。 だけど同じ商品を買うのであればその商品を好きだと言う人から買いたい。 その人が商品に情熱や思い入れがあれば尚更、私も熱が入る。その情熱に私も追い討ちをかけるように質問をしたり、考え抜かれたコメントをするので会話が盛り上がる。その盛り上がりの結果として、予定外の出費をする。計画になかったものを買う。でも後悔したり、失望したりしない。 先日など某化粧品店で、店員の

【絵日記#こんコロ-DAY36】 生理で不機嫌な日曜日

理由が明確であるだけ良いだろう 悲しみ 怒り 苛立ち そんなネガティブな感情が 生理というアンプを通して増大する 私にコントロールは ない 理由がわかっていても 私の中のメデューサが メラメラとした冷たい炎を吐き ただでさえ混沌とした感情と思考を 攪拌し続ける それに抵抗しても 身を委ねても その冷気と熱気を帯びた爆弾が いまかいまかと点火を待っている 午後はフルーツが贅沢に使われた洋菓子か 上品な甘みの和菓子を メデューサに献上する

【絵日記#こんコロ-DAY35】 曇り空は目が痛い

太陽がギラギラしている時よりも 厚い雲が空を覆っている時の方が 眩しくて 雲から分散された光の粉が フワフワ舞い落ちて 私のまぶたを成分が突き刺す 目の奥までずっと突き進む 酒を飲み 浪費し 自分を傷つけ 隠し 欲求まみれで 肉を喰らい 我先にプラットフォームに向かう 人間でしかいられないことを 戒められているような 反省し唇を噛むような 立ち止まらなければならないような 痛みを伴う光

【絵日記#こんコロ-DAY32】 鳥を想う

鳥がよくやってくる おしゃべりな鳥 隣の家の屋根の上のアンテナだかなんだかにとまる かわいい声でぴいひょらぴぴくくぴー カクカクしたそのアンテナだかなんだかから聞こえる声としては とても自由で伸びやかで なにかを仲間に伝えようとしているんだ 風がくるぞ 雨がふるぞ 敵が来るぞ 猫が庭に出ているぞ どんなことを伝えようとしているのかな きっとこの頭のボックスで考えても行き着かない 言葉とは不便なもので 伝える表現道具でもあれば 自分たちの思考を縛る制約でもある 私

【絵日記#こんコロ-DAY31】 グレイはグレイのままに

以前も年齢に関して書いた。 社会が定義する年齢層に適した行動や身だしなみ、 私は誰かが決めた定規に影響されたくない。 私は私が自分の身体を定義したいと思っている。 それは簡単なことではない。 難関の一つはグレイヘアだ。 20代の前半から体質的に白髪があった。 ここ数年で著しく増えてきた。 気にして部分的に生えては染め生えては染め、 繰り返していた。本当の自分の身体を否定しているような気分で、なんだか恥ずかしかった。 最近伸ばしていた黒髪に ハイライトを入れた。全体的に

【絵日記#こんコロ-DAY30】 広島名物 メロンパン -坂の途中の緑の看板

私はあまりパン食いではないのだが 広島に帰省すると追い求めるパンがある 広島県呉市 メロンパン 看板商品のメロンパンはずっしり重く、甘いクッキー生地の中に メロン風味のクリームがたくさん詰まっている もったりずっしり感は他のメロンパンとは一線を画す。 ナナパン、平和パンという伝説の強者たちも名を連ねる 母の実家が呉であるため、祖父母宅への道中でよく立ち寄った 車で行ってもとても不便なところにある 決して洗練されていて、美しいと褒めたくなるような街ではなく 市民の派手で

【絵日記#こんコロ-DAY29】 今週は忙しい。(明日から働きたくない)

なんだってどうだって。 今週が終われば、来週だけは。 これこれは私のキャリアにどうのこうのでコロナだのなんの。もう正しいタイミングなんて。 ビールは梅雨の時期こそどうの。 オリンピックは今年は安全だとかどうの。 あなたは私の感情逆撫でていかが。 日も暮れあなたとわたし。

【絵日記#こんコロ-DAY28】 今日も洗濯物が乾かない

朝目覚めて、空を見上げる。 ああ、今日も洗濯物が乾かない。 いや、天気予報がどれだけ雨と叫ぼうとも どんより雲が空を覆ってても 決めたんだ。私は今日洗濯すると。 決心は揺るがない。 お風呂上がりにふわっとしたタオルに顔をうずめたい。私欲野望に溢れたこの世で、ささやかな望みじゃないか。それには太陽さんの力が必要なんだ。 私は洗濯が好き。 気持ちがさっぱり「やった感」があるからだ。 洗うが易し。干すが易し。 乾くのが、こんなに大変だとは。 少しだけ、おひさまがさして

【絵日記#こんコロ-DAY27】 もやもやをもやもやのままにする勇気

スーパーのお惣菜売り場をぐるぐるする。 お腹がすいていて、今日は何も作りたくないとわかっている。 他の店を探求する時間も体力もない。 お惣菜売り場に並ぶ品物は美味しそうではあるが、どれもピンとこない。 ぐるぐる何度まわっても品物が変わるわけではない。 結局妥協していくつか晩酌のつまみになりそうなお惣菜を選び、カゴにいれる。 何を食べてもしっくりこない。体も心も満足していない。 朝、出かける前に鏡の前で格闘する。 何を着ても似合わない。 何を着たいのかわからない。 この

【絵日記#こんコロ-DAY26】 年齢、ぐわんぐわん

私もいよいよ、社会的な定義だと「いい歳」と呼ばれる年齢になったのだろう。 大人がよく言う、歳のこと。 歳をとったから歳なのだから歳なのに。 私は無関係だし、これからも関係なく生きる。 身体の変化を感じる。 私の皮膚、血液、髪、爪。 一緒に生きて、呼吸してくれてる。 皮膚は私と社会を結びながら隔て、髪は私とは何者かを私の代わりに静かに叫び、胃は私の心が食べすぎたなにかを懸命に消化する。 時にははしゃぎすぎてる夏の子どもであり クリスマスを待ちわびる老婆であり 制服をカ

【絵日記#こんコロ-DAY25】 雨の日のイノベーション

雨は嫌いではない。 雨音を聞くのが好きだし、雨のにおいも好き。 車が走り去る時の音も好き。 だけどどうしても雨の日はめんどくさい。 荷物がひとつ増えるからだ。 可愛い傘を広げればよい。だけど、雨という地球の歴史が始まってから変わらずあるであろう自然現象に対して、人間の雨を避けるという、あるいは濡れないようにする、という方法はどれぐらい進化しているのだろうか。 こんなにデジタル化が進み、不可能が可能になる世の中なのに、「傘をさして雨を避ける」という方法はあまりにも古典的

【絵日記#こんコロ-DAY24】 犬の耳の裏のにおい

新聞の記事で「動物園のにおいがきついのでなんとかして欲しい」という苦情に対して、その動物園の園長さんがブログで「消臭剤や芳香スプレーにあふれる現代では、ネットで動物の画像を検索して楽しめば良いのかもしれない。でもにおいは動物にとって大切なコミュニケーション方法で、『嗅ぐ』ことも楽しんで欲しい」と回答をしていた。 実家にいる犬に会いたくて、毎日のように写真を見てはニヤニヤしているのだが、やっぱりにおいはどうにもならない。あのなんとも言葉では説明できない、耳の裏の匂いを、肉

【絵日記#こんコロ-DAY23】 漂流教室と今年の梅雨

日本の一部では例年よりも随分早く梅雨入りしたそうだ。 これから去年のような長雨が続くと思うと、世界で指折りの楽観主義者の私でさえも気が落ち込んでしまう。 最近ふと思い立ち、楳図かずお先生の名作「漂流教室」を読み返した。最後に読んでから10年以上経過していると思う。 1970年代に描かれたその作品では、ある小学校が学校ごと未来の東京に移動してしまい、変わり果てた環境の中で小学生達が必死で生き延びようとする様が表現されている。 未来の世界は、スモッグで空が覆われているため

【絵日記#こんコロ-DAY22】 昼寝はべつ腹

私は昼寝が好きだ。 もっと正確に言うと昼寝で得られる感覚が好きだ。 昼寝は夜のそれとは異質で、より現実の体験を引きずっているのか夢を見ても妙になまなましい。 科学的な事はわからないが、脳がまだ半分覚醒している状態で眠りに落ちるからか、「映画を見ている感覚」で、夢を見ている自分を客観視している自分さえもいる。エンターテイメント性がある。ああ、興味深かった。と満足して目覚める時もある。 昼間の光を取り込んで、昼間の夢を見ることも多いし、奇妙にも明るい雰囲気に満ちているこ