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【絵日記】こんなコロナなご時世ですが#こんコロ2021

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2021年4月25日から、「こんなコロナのご時世ですが2 #こんコロ2 」を連載します。 2020年春、緊急事態宣言発令を受け、mokumoku studioはこの未曾有な時間を…
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2021年8月の記事一覧

【絵日記#こんコロ-DAY129】 蝉つまみ出し

文 掛田智子 絵 ちから 今朝中央線に乗っていると 羽音が聞こえた  あたりの人達みな周囲を見回した でもどこにその音の主がいるかわからない 私は読んでいた本にまた目を向けた そのとき 立っている私の前に座っていたおにいちゃんが 隣に座っているおにいちゃんの背中から 蝉を指でつまみ 幸運にもコロナ対策で開けられている窓からその 蝉を逃した 素晴らしい技だった 落ち着きしかも迅速な技だった 本来なら拍手喝采するべき場面だが 日本の朝の電車社会は人と人のつながりをもとめ

【絵日記#こんコロ-DAY128】 夕暮れラン

文 掛田智子 絵 ちから 走ろうか いや疲れているしね 走ろう 暑さも落ち着いた夕暮れ時に走り出す 目標は全くアンビシャスではない ほんの2、3K 折り返し地点の公園まで辿り着き 今度は家に向かう登り坂 止まって初めて汗が身体の奥から流れ出るのを感じる 熱が身体に籠っている 熱を放出するように汗が噴き出る この感覚のために走るのだと思う つまり 不思議と走った後の方が体が軽い 疲労がとれている ほんの少しでも走ることで 身体のあらゆる滞留している物質が攪拌されて

【絵日記#こんコロ-DAY127】 最近は頭皮

文 掛田智子 絵 ちから スカルプマッサージにはまっている この蒸し蒸しもやもやした天気と世の中 頭皮にミントを使用したマッサージ/クレンジングを使用して 頭皮をマッサージしなきゃやってらんないぜ 頭までかちこちにこってるの 人間一枚の皮でつながっているのだから 頭皮をケアする事でリフトアップにもつながる  らしい 今マッサージをし終わってエッセンスを頭皮に置いたまま スースーを楽しんでいる

【絵日記#こんコロ-DAY126】 ピアノが弾きたい

文 掛田智子 絵 ちから ピアノを買うことを検討している 子供の頃に習っていて 高校ぐらいでやめてしまった 大人になっていまとてもピアノがやってみたい 私が子供の頃には候補にならなかった電子ピアノ 集合住宅暮らしにもやさしくボリュームコントロールもできるしヘッドホンで練習できる 鍵盤の重さも調整できる この日常の中に ピアノを弾くということを 組み入れられたら素晴らしい ああ ピアノを買おうよ

【絵日記#こんコロ-DAY125】 洗濯物の美学

文 掛田智子 絵 ちから 洗うはよし 干すはよし 洗濯が好きだ 天気予報をモニタリングし いつ洗濯をするのが最も効果的か 頻繁に 考えている そしてその行為が嫌いではない アメリカの出張者が移動中に聞いた 日本の人々は貧乏だから 乾燥機が買えないから 洗濯物を外に干しているの 怒り狂う思いを抑えながら答えた 我々は 太陽の恩恵を最大限得ているの 最近は数時間で乾く 快感そのものだ  太陽を浴びたタオルに顔を今夜も押し付ける

【絵日記#こんコロ-DAY124】 ちょうすけ

文 掛田智子 絵 ちから 今日はちょうすけの命日だ 3年前ちょうすけという愛のかたまり 愛の世界が わたしたち家族からすり抜けて その消えてしまった空虚がどうしようもなくつらく ただただちょうすけには わたしたち家族は 言葉にできないほど 愛しているよ うちに来てくれてありがとう 伝わっていてほしい なんて人間のエゴかもしれないけれど その存在が愛おしすぎて それはもう圧倒されるレベルであり 3年経った今でも ずっと泣いているよ 形あるものはいつかなくなるという

【絵日記#こんコロ-DAY123】 お父さんお誕生日おめでとう

文 掛田智子 絵 ちから 美大生だったころの父に会ってみたいと思う のっぽさん帽子に ベルボトムのパンツ 晴れの日に傘を差して歩いていた わたしが描く絵とは全く違うテイストだけれど 両者を知る人に言わせると わたしの絵に父のタッチを感じるらしい うすうす私も気づいていた 考え方や性格は違うけれど 私の背骨には父の思考やアイデンティティがしっかりと通っている そこから血管や関節に分岐してわたしになっているけれど  鏡には父が映る時がある 父という膨大な歴史の上にわた

【絵日記#こんコロ-DAY122】 リモート業務における服装についての考察

文 掛田智子 絵 ちから リモートでの仕事が増えると 服選びに困る 一日中座っているならゆるい服がよいし 締めつけない心地よい素材がよいし なにより暑いし かといってゆるすぎると 気持ちがゆるむ きがする 勝って兜の尾を締めるとも言うぐらい 気持ちとアウトフィットは相互関係がある 鏡をふとみた時に よしわたしきょうもかわいい 少しでも思えるように でもゆるいのがいいんだ でもゆるすぎるのはだめなんだ バランスはむずかしい

【絵日記#こんコロ-DAY121】 水出しアイスコーヒーの最高峰

文 掛田智子 絵 ちから 近所に老舗のコーヒー豆屋さんがあって 引越してきてからというものかなりの頻度で通う 今年の夏はおじさんの水出しアイスコーヒーが最高で 10時間かけて一滴一滴丁寧に抽出しているらしく ミルクと割っても最高 氷を入れても全く薄くならない これもかなりの頻度で買いに行ってる 明日から数日定休日なので アイスコーヒーがないと生きていけないので 閉店間際駆け込むと いつもの冷蔵庫に入っていない するとおじさんが 「一本とっておいたよ」と裏から出して

【絵日記#こんコロ-DAY120】 なんにもしないことを全力でした日

文 掛田智子 絵 ちから のび太の名言のひとつである 一生懸命のんびりする なかなかできることじゃないか 今日は二日酔いも手伝って 洗濯はしたものの それ以外はパジャマで 一日中ごろんごろん 二日酔いがなければ 疲れているはずなのに生産性をもとめ きっとじっとしていられなかっただろう 二日酔いを肯定しているのではないが たまには良いか 一日中ごろんごろん

【絵日記#こんコロ-DAY119】 Head to toe

文 掛田智子 絵 ちから ぽわんとしている 全身がおもだるい 目を閉じてみると イグアナの滝が全身を駆け巡る つぶつぶが勢いよく 頭からつま先まで ひと方向に流れる 音はない 足の指につぶつぶを感じる 肩にも移動する 肩のあたりは特に重い こめかみにもつぶがある おでこから後頭部に移動する 今日はつぶつぶが消えるまで 観察する

【絵日記#こんコロ-DAY118】 かわいいわたし

文 掛田智子 絵 ちから 何か今日わたし理由もなく美しいじゃん と思う日がたまにある 久しぶりに現場に向かった 久しぶりに人と顔を合わせて仕事をする 昨日の夜はお酒を飲まなかったし 生理もひとやま超えて むくみも落ち着いてきていたし 髪型も特別何かしたわけじゃないけど 今日の顔にあっていたし 服も特別なものを選んでないないのだけど 今日の身体に似合っていたし 肌の調子も良くて 金曜日だし そんな特別ではない日の少しの自分へのきらめきが 結構原動力になる そうやっ

【絵日記#こんコロ-DAY117】 想像する広島

文 掛田智子 絵 ちから 今日は久しぶりに広島に太陽が戻ったと 母から連絡がきた これだけ雨が続くと 太陽のもたらす効果に驚くけれど 太陽の戻った広島を 目を閉じて想像してみる 実家のそばを流れる川がきっと青い そして水面がきらきらしているのだろう 南に見える山もくっきり緑が見えるかな 母は洗濯をすればよかったと後悔し 犬は天気もお構いなしに しっぽを激しく振って 喜んで歩く 父は暑いと文句を言いながらも 思う存分散歩をさせるだろう 広島 わたしの広島 青い空

【絵日記#こんコロ-DAY116】 Undercooled

文 掛田智子 絵 ちから 仕事でもやもやしていたかもしれない 生理も重なっていらいらしていたかもしれない その時流れたのは Ryuichi SakamotoのUndercooled 韓国語のラップなので 意味はわかりきらないのだけど そのメロディに助けられた 少し涙がでるような パワーがあるけど物悲しいような 世の中が嫌いだけど愛おしくなるような そんな瞬間をもたらしてくれた